100回目の口付けを

ぽんちゃん

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その後

35 気持ち良くて満たされる

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 硬くなる陰茎を押し当ててしまい、慌てて腰を引いたけど、ユーリはぴたりと隙間なく僕と身体を密着させる。

 耳を愛撫され、その流れで首筋を舐められて、ユーリのざらりとした熱い舌が気持ち良くて、ぶるっと体が震えてしまう。

 「ヴィー、怖い?」

 すぐさま顔を上げて優しく髪を撫でてくれるユーリは、不安そうな表情で僕の様子を伺っていた。

 僕がビクビク震えているから、怖がっていると勘違いしているみたいだ。

 むしろ気持ち良くて、もっと触って欲しいと思っている僕は、ゆるゆると首を横に振る。

 「んっ……、気持ち、いいっ……」
 「っ、そっか。良かった……」

 愛おしそうに目を細めたユーリは、すごく色っぽくて、心臓がドキドキと高鳴る。

 僕が怖がらないようにと、優しく口付けながらシャツのボタンをゆっくりと外していくユーリに、僕は安心して身を委ねた。

 ユーリとの朗読会をしなくなってからも、恋愛小説を読み続けていた僕は、この先の行為を活字でだけならなんとなく知っている。

 相手がユーリなら大丈夫だと安心してお任せしていた僕は、指の腹で胸の飾りを優しく擦られて、ビクッと大きく跳ねてしまう。

 「痛かった?」
 「っ……ぅぅん、」
 「嫌だったら言って。すぐにやめるから」

 真っ赤な顔でこくりと頷くと、穏やかな笑顔を見せてくれたユーリの指先は、僕の尖った胸の飾りを優しくクルクルとなぞる。

 活字を読んでいるのと、実際に好きな人に触られるのとでは、全然違う。

 焦ったいような快感に、僕はうっとりとした吐息を吐き出した。

 「ゆーり、好き……大好き……ぁあっ」
 「っ……俺もだよ、ヴィー。すごく可愛い」

 美しい金髪が僕の頬を撫でて、熱い舌が口内に差し込まれる。

 同時に胸の飾りをくにくにと弄られて、すごく気持ち良くて、たまらずユーリの腕にしがみつく。

 優しい眼差しも、優しく触れる手も、僕を気にかけてくれる優しい言葉も……。

 僕は、ユーリの全てが愛おしい。

 ユーリの舌を味わいながらちゅぷちゅぷと吸っていると、口内に二人の混ざり合う唾液が溜まっていき、それをこくりと飲む。

 するとユーリの舌が激しく蠢いて、飲みきれなかった唾液が口の端から溢れていく。

 僕はユーリからの愛にとろっとろに蕩かされて、口の端から二人の唾液がつーっと垂れていくその僅かな刺激にさえ、感じてしまっていた。

 「はぁ……ゆーり……僕、もう、ダメ……」
 「ヴィー、大丈夫? もうやめる?」

 目元を赤らめながら、指先で口の端から垂れていた唾液を拭ってくれたユーリは、少し息が上がっていて、黄金色の瞳がギラギラと光っていた。

 「気持ち良くて……、もう、限界っ」
 
 ぐっと眉間に皺が寄るユーリは、僕のベルトを外して、下着の上から硬くなる陰茎を摩る。

 「あっ! ゆ、ゆーりっ、だめっ、んぁっ、や、やぁ……」
 「可愛い、すごく可愛いよ、ヴィー」
 「やぁ、恥ずかしっ、ん、んんんぅーーっ!」

 少し擦られただけで限界が近づいていた僕は、ユーリの大きな手に陰茎を握られて、呆気なく射精を迎えていた。

 射精した後も、全部出し切るようにゆっくりと扱かれて、僕はたまらず腰を浮かせてしまう。

 くたりと全身の力が抜けて、はぁはぁと荒い息を吐いていると、ユーリは顔中に優しい口付けを落とした。

 好きな人との触れ合いは、こんなに気持ちが良くて満たされた気持ちになるんだ……。

 うっとりとしていたけど、ユーリの手が僕の出した白濁でベトベトだ。

 すごく申し訳なくて、僕はだらしない顔のままおろおろしてしまう。

 「あっ、ごめ、ん、ユーリ……」
 「気持ち良くなってくれて嬉しいよ」
 「…………ぅん。すごく気持ち良くて、いっぱい出ちゃった」
 「っ、もう本当可愛いなぁ……、ヴィーは」

 嬉しそうに頬を緩ませて、何度も口付けてくれるユーリに、僕は幸せな気持ちで胸がいっぱいになった。

 丁寧に身体を拭き取ってくれたユーリは、僕の横に寝転んで優しく抱きしめてくれる。

 ユーリの温かな熱を感じながらぼーっとしていた僕は、そういえばユーリは僕を気持ち良くしてくれたけど、僕はなにもしていないことに気づいた。
 
 ユーリの胸元に顔を埋めていた僕は、ひょっこりと顔を出して綺麗なお顔を見上げる。

 「僕も、ユーリを気持ち良くしたい」
 「っ……それは嬉しいけど、無理しなくて良いよ?」
 「やったことないけど、僕はユーリのためならなんだって出来るよ?」

 こてりと首を傾げると、ユーリは天を仰いで深いため息を吐く。

 「…………ヴィー。あんまり煽るようなこと言わないで? これでもめちゃくちゃ我慢してるんだから。……俺は、ヴィーを怖がらせたくないんだよ」
 
 慈愛のこもる笑みで白銀の髪に指を通すユーリは、ぴったりとくっついている今も下半身が硬くなっている。

 それでも一向に首を縦に振らない様子に、僕は気づいてしまった。

 ユーリは、僕が子供の頃に悪戯されたことを知っているんだ、と。

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