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第6章:ギルド編
対話
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『おーい、いい加減に起きなよジンくん』
軽薄そうな声が聞こえてくる。彼はその声を知っている。だが目を開けるのも億劫なほどに体が疲れていた。だからその声をジンは無視して目を閉ざし続けた。
『もう起きてるのバレてるって、いい加減に起きなよ~。ねえ、ねえねえ、ねえねえねえ』
それでもジンは無視し続ける。
『ねえねえねえねえねえねえねえねえ、あれ、本当に寝てる?』
このままいけば相手はいなくなるかもしれない。そう考えたジンは一層強く目をつぶった。
『ねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえおいシスコン』
「あああああうるっせえな!いい加減空気読めよ!」
『やっぱり寝たふりじゃん。君、幾ら何でも神様を無視しようだなんて烏滸がまし過ぎない?』
ラグナが呆れたような目をジンに向けた。
「仕方ねえだろ。体がだるいんだよ」
『そうそう、それだよそれ。君、このままだと死んじゃうレベルで結構ヤバイ状態だったんだけど自覚ある?』
その言葉にジンはすぐさま思い当たる。自身の内にある強大な力のことだ。それがまだうまく扱えないのが原因だということをラグナは言いたいのだろう。
『まあ、僕が何か言っても君は聞く耳持たないんだろうけどさ。君は僕たちが長い間待ち望んだ最高の作品なんだ。だからおばさん…フィリアを倒すまで死んでは困るんだよ』
「だけど、それならどうすりゃいいんだ?敵はどんどん強くなっていくのに、今の俺には倒すだけの力がない」
今までに向かい合った敵の数々を思い出す。そのどれもが凶悪で、今の自分では到底太刀打ち出来ない者もいた。とりわけ一人の少年の顔を思い浮かべる。彼から多くのものを奪い去った。フィリアに次いで彼が心の底から殺したいと思う相手だ。
『そこは残念だけど僕にはどうしようもないよ。今以上に君を強くしてあげられる力は僕にはないからね。でも本来ならば君に与えた権能である【強化】は最強に至る力だ。それを十全に扱える様に君は力を身につけなければならないのさ』
「……わかったよ。だが今の俺じゃあ、この力を使えば反動で大怪我しちまうだろう。さっきお前が言ってたみたいにさ」
力を発動することはできる様になったが、それをコントロールすることが、ジンにはまるで出来る気がしなかった。開放する度に死にかけては、いずれ確実に命を落とすだろう。今までが幸運だっただけだ。偶然近くに誰かがいて助けてくれた。しかしそれもいつもそうだとは限らない。最低限、死なない程度に力をコントロール出来なければ、彼は今後【強化】の権能を使おうとは思えなかった。自爆して復讐を果たせないなど、愚かしいにもほどがある。
『それなんだけどね。君、運がいいよ。ミーシャちゃんだっけ。あの子が君の力に対して微力ではあるけど、結界領域を展開してくれたおかげで肉体に枷ができた。あとは僕がそれをちょちょいと弄って、君の肉体に酷い負荷が出ない様に力を制限してあげる。そうすれば力をもっとコントロールしやすくなるはずだ。ただし無茶はしないこと。あとは徐々にその力を自分に馴染ませていけばいい』
「わかった。すまないな」
ラグナの言葉にジンは力強く頷いた。ラグナはそれを見て軽薄そうな笑みを浮かべる。
『そんなこと気にしないでいいよ。僕と君は協力関係にあるんだ。本当なら僕は可能な限り君をサポートしてあげたいんだけど、それが出来ない。だからせめてこれぐらいはさせて欲しいんだ』
ラグナの言葉は表情とは異なって誠実さを帯びている様にジンは感じた。
「それで、これからどうすればいい?とりあえず、今現在魔人に襲われているんだが」
『魔人の倒し方は覚えているかい?』
「ああ、体内を動き回っている魔核を破壊すればいいんだろ?だけどそれなら俺は確かにあの時一つ砕いたはずだ」
ジンは魔人アイザックとの戦闘を思い出す。確かに魔核の様なものを破壊した感触があった。しかしそれなのに魔人は復活したのだ。
『君は一つ忘れているよ。あの魔人が元は二人の魔物だったっていうことをね』
ラグナのその言葉の意図にジンはすぐさま気がついた。
「そうか!そもそも魔核が二つあったのか!」
『正解!あれは魔人でも珍しい融合体っていうんだ。僕も今までで数えるほどしか見たことがないぐらいレアなんだぜ?まあそれはともかく、融合体は通常の魔人よりも強力である上に厄介なことがもう一つあるんだけど、何かわかるかな?』
「なんだよ、勿体振らずにさっさと言えよ」
ニヤニヤと笑うラグナを見てイラつき怒鳴りそうになるも、ジンはそれを堪えて質問する。なぜか分からないが、ラグナと話していると心が掻き乱されるのだ。まるで正体不明の何かに包まれている不安な気分に苛まれる時がジンにはあった。
『えー、少しは考えて欲しいなぁ。まあいいや。融合体の魔核はね。両方を同時に破壊しない限り、延々と再生し続けるのさ。つまり君がどんなに一つを破壊しても、もう一つが有る限り、相手はいつまでも復活するというわけだ』
「それじゃあどうすればいいんだ?そんな奴をどうやって倒せばいい?」
『だからこその無神術と【強化】の権能なんじゃないか。あらゆるものを創造する力を強化すればいいのさ』
「ああ、なるほどな」
確かに先ほどの戦いでは黒炎に力を変換させた。つまりあれをもっと別の力に転じさせるということだ。炎では足止めは出来ても、倒すには至らないことは既に実証済みだ。
『それじゃあ期待しているよジン君。そろそろ起きる時間だ』
ジンは頷くと徐々にラグナの体が薄れ始め、周囲の白い空間が崩壊を始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~
『それにしても、【領域】に閉じこもっていたカムイ君の血統が次々に中から出てきた上に、そのうちの一人が不完全ながらカムイ君の力を引き継いでいるとは。しかも完成品と同じ時期に現れるなんて、これから物語が加速していきそうだよね。そう思わないかい父さん?』
ラグナは結界を維持し続けているために弱り切っているオルフェにそう呼びかけた。オルフェは疲労から青ざめた顔でラグナを見た。
『何を考えているのだ?』
『もちろんフィリアおばさんを倒すことだけど?』
飄々と言いながら、無邪気に笑うラグナを見て言葉にオルフェは言葉を飲み込んだ。今のオルフェには彼を信じる以外に道がない。それほどまでに力を失い、弱っているのだ。そうこうしている内にラグナが歩き出す。
『どこに行くのだ?』
『ちょっと下界にね。こんなショーは最前列で見ないと、もったいないじゃん』
オルフェの咎める様な目をラグナは受け流し、天界から人間界へと降りていく。それをオルフェは目を細めながら見ていた。
『本当に一体何を考えているのだ』
オルフェのつぶやきを聴くものは誰もいなかった。
~~~~~~~~~~~~~
目覚めると街はあちらこちらで炎が舞っていた。ジンが横になっていたベッドから起きると、近くにあったテーブルにメモが置かれている事に気がついた。それには簡潔な状況の説明と、行われている作戦等の詳細が書かれていた。それから体の隅々に意識を集中させてみる。ラグナが言っていた通り、体の奥に何か力が溢れでるのを抑える枷がある様に感じられた。ラグナの言う通りならこれで肉体にくるダメージをある程度防ぐ事が出来るはずだ。
体の様子をチェックし、違和感が無いか、何か体に問題が起こっていないかを隅々まで確認する。
「よし、行けるな」
数分かけて全ての確認を終えるとジンは近くに置かれていた自分の荷物を確認する。失った短剣の替わりに新しいものをハンゾーか誰かが置いていってくれたらしい。ただし、敵の性質上あまり効果はないかもしれないのだが。念のためにジンはそれを装備した。
ジンが宿を出ると辺り一面焼け焦げた人間が転がっていた。近くに武器などが落ちていたことからおそらく冒険者か兵士であるということを、ジンは推察した。遠くの方ではいくつもの悲鳴が聞こえる。噎せ返る様な血臭と肉の焼け焦げた匂いに、吐きそうになるのをなんとか堪えて戦闘音のする方へと向かって駆け始めた。
軽薄そうな声が聞こえてくる。彼はその声を知っている。だが目を開けるのも億劫なほどに体が疲れていた。だからその声をジンは無視して目を閉ざし続けた。
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それでもジンは無視し続ける。
『ねえねえねえねえねえねえねえねえ、あれ、本当に寝てる?』
このままいけば相手はいなくなるかもしれない。そう考えたジンは一層強く目をつぶった。
『ねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえおいシスコン』
「あああああうるっせえな!いい加減空気読めよ!」
『やっぱり寝たふりじゃん。君、幾ら何でも神様を無視しようだなんて烏滸がまし過ぎない?』
ラグナが呆れたような目をジンに向けた。
「仕方ねえだろ。体がだるいんだよ」
『そうそう、それだよそれ。君、このままだと死んじゃうレベルで結構ヤバイ状態だったんだけど自覚ある?』
その言葉にジンはすぐさま思い当たる。自身の内にある強大な力のことだ。それがまだうまく扱えないのが原因だということをラグナは言いたいのだろう。
『まあ、僕が何か言っても君は聞く耳持たないんだろうけどさ。君は僕たちが長い間待ち望んだ最高の作品なんだ。だからおばさん…フィリアを倒すまで死んでは困るんだよ』
「だけど、それならどうすりゃいいんだ?敵はどんどん強くなっていくのに、今の俺には倒すだけの力がない」
今までに向かい合った敵の数々を思い出す。そのどれもが凶悪で、今の自分では到底太刀打ち出来ない者もいた。とりわけ一人の少年の顔を思い浮かべる。彼から多くのものを奪い去った。フィリアに次いで彼が心の底から殺したいと思う相手だ。
『そこは残念だけど僕にはどうしようもないよ。今以上に君を強くしてあげられる力は僕にはないからね。でも本来ならば君に与えた権能である【強化】は最強に至る力だ。それを十全に扱える様に君は力を身につけなければならないのさ』
「……わかったよ。だが今の俺じゃあ、この力を使えば反動で大怪我しちまうだろう。さっきお前が言ってたみたいにさ」
力を発動することはできる様になったが、それをコントロールすることが、ジンにはまるで出来る気がしなかった。開放する度に死にかけては、いずれ確実に命を落とすだろう。今までが幸運だっただけだ。偶然近くに誰かがいて助けてくれた。しかしそれもいつもそうだとは限らない。最低限、死なない程度に力をコントロール出来なければ、彼は今後【強化】の権能を使おうとは思えなかった。自爆して復讐を果たせないなど、愚かしいにもほどがある。
『それなんだけどね。君、運がいいよ。ミーシャちゃんだっけ。あの子が君の力に対して微力ではあるけど、結界領域を展開してくれたおかげで肉体に枷ができた。あとは僕がそれをちょちょいと弄って、君の肉体に酷い負荷が出ない様に力を制限してあげる。そうすれば力をもっとコントロールしやすくなるはずだ。ただし無茶はしないこと。あとは徐々にその力を自分に馴染ませていけばいい』
「わかった。すまないな」
ラグナの言葉にジンは力強く頷いた。ラグナはそれを見て軽薄そうな笑みを浮かべる。
『そんなこと気にしないでいいよ。僕と君は協力関係にあるんだ。本当なら僕は可能な限り君をサポートしてあげたいんだけど、それが出来ない。だからせめてこれぐらいはさせて欲しいんだ』
ラグナの言葉は表情とは異なって誠実さを帯びている様にジンは感じた。
「それで、これからどうすればいい?とりあえず、今現在魔人に襲われているんだが」
『魔人の倒し方は覚えているかい?』
「ああ、体内を動き回っている魔核を破壊すればいいんだろ?だけどそれなら俺は確かにあの時一つ砕いたはずだ」
ジンは魔人アイザックとの戦闘を思い出す。確かに魔核の様なものを破壊した感触があった。しかしそれなのに魔人は復活したのだ。
『君は一つ忘れているよ。あの魔人が元は二人の魔物だったっていうことをね』
ラグナのその言葉の意図にジンはすぐさま気がついた。
「そうか!そもそも魔核が二つあったのか!」
『正解!あれは魔人でも珍しい融合体っていうんだ。僕も今までで数えるほどしか見たことがないぐらいレアなんだぜ?まあそれはともかく、融合体は通常の魔人よりも強力である上に厄介なことがもう一つあるんだけど、何かわかるかな?』
「なんだよ、勿体振らずにさっさと言えよ」
ニヤニヤと笑うラグナを見てイラつき怒鳴りそうになるも、ジンはそれを堪えて質問する。なぜか分からないが、ラグナと話していると心が掻き乱されるのだ。まるで正体不明の何かに包まれている不安な気分に苛まれる時がジンにはあった。
『えー、少しは考えて欲しいなぁ。まあいいや。融合体の魔核はね。両方を同時に破壊しない限り、延々と再生し続けるのさ。つまり君がどんなに一つを破壊しても、もう一つが有る限り、相手はいつまでも復活するというわけだ』
「それじゃあどうすればいいんだ?そんな奴をどうやって倒せばいい?」
『だからこその無神術と【強化】の権能なんじゃないか。あらゆるものを創造する力を強化すればいいのさ』
「ああ、なるほどな」
確かに先ほどの戦いでは黒炎に力を変換させた。つまりあれをもっと別の力に転じさせるということだ。炎では足止めは出来ても、倒すには至らないことは既に実証済みだ。
『それじゃあ期待しているよジン君。そろそろ起きる時間だ』
ジンは頷くと徐々にラグナの体が薄れ始め、周囲の白い空間が崩壊を始めた。
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『それにしても、【領域】に閉じこもっていたカムイ君の血統が次々に中から出てきた上に、そのうちの一人が不完全ながらカムイ君の力を引き継いでいるとは。しかも完成品と同じ時期に現れるなんて、これから物語が加速していきそうだよね。そう思わないかい父さん?』
ラグナは結界を維持し続けているために弱り切っているオルフェにそう呼びかけた。オルフェは疲労から青ざめた顔でラグナを見た。
『何を考えているのだ?』
『もちろんフィリアおばさんを倒すことだけど?』
飄々と言いながら、無邪気に笑うラグナを見て言葉にオルフェは言葉を飲み込んだ。今のオルフェには彼を信じる以外に道がない。それほどまでに力を失い、弱っているのだ。そうこうしている内にラグナが歩き出す。
『どこに行くのだ?』
『ちょっと下界にね。こんなショーは最前列で見ないと、もったいないじゃん』
オルフェの咎める様な目をラグナは受け流し、天界から人間界へと降りていく。それをオルフェは目を細めながら見ていた。
『本当に一体何を考えているのだ』
オルフェのつぶやきを聴くものは誰もいなかった。
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目覚めると街はあちらこちらで炎が舞っていた。ジンが横になっていたベッドから起きると、近くにあったテーブルにメモが置かれている事に気がついた。それには簡潔な状況の説明と、行われている作戦等の詳細が書かれていた。それから体の隅々に意識を集中させてみる。ラグナが言っていた通り、体の奥に何か力が溢れでるのを抑える枷がある様に感じられた。ラグナの言う通りならこれで肉体にくるダメージをある程度防ぐ事が出来るはずだ。
体の様子をチェックし、違和感が無いか、何か体に問題が起こっていないかを隅々まで確認する。
「よし、行けるな」
数分かけて全ての確認を終えるとジンは近くに置かれていた自分の荷物を確認する。失った短剣の替わりに新しいものをハンゾーか誰かが置いていってくれたらしい。ただし、敵の性質上あまり効果はないかもしれないのだが。念のためにジンはそれを装備した。
ジンが宿を出ると辺り一面焼け焦げた人間が転がっていた。近くに武器などが落ちていたことからおそらく冒険者か兵士であるということを、ジンは推察した。遠くの方ではいくつもの悲鳴が聞こえる。噎せ返る様な血臭と肉の焼け焦げた匂いに、吐きそうになるのをなんとか堪えて戦闘音のする方へと向かって駆け始めた。
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