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第4話 願いは曖昧、かつ具体的に
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「王妃教育とは大変なものと聞くわ。なのにヒルデガルド嬢はあっさり任を降りたの?悔しがっていらっしゃるんじゃないかしら?」
「ぼ……私の前では強がって肩の荷が降りたと仰っていますが、そんなわけありません。王太子妃と公爵夫人では大きな差があります。ましてやヒルデガルド嬢ほど王太子妃に相応しい方を僕は知りません。きっと、内心では悔しがっているはずです!」
うーん、お坊ちゃんは思い込みが強いタイプかな?
正直、堅苦しくて一日中誰かに見られているような王太子妃より公爵夫人の方がよっぽど気楽だと思うのは、私が魔女だからかしら?
まぁ、そこも坊ちゃんの憶測っぽいから契約内容を変えないと。ヒルデガルド嬢が王太子妃になりたいのなら良いけど、心の底から嫌がっていたらヒルデガルド嬢がお気の毒だし……そもそもこの感じから行くと、お坊っちゃんはかなりヒルデガルド嬢にゾッコンラブ(古い!)っぽいし。
「『本来の婚約者と結婚』とアウグスティン様は仰っていますが、ヒルデガルド嬢の本当の望みは知らない訳ですわね?では『ヒルデガルド嬢の望みの相手』と言い換えて宜しいですか?」
「オルガ様は先ほどから望みの言い回しを随分と気にしていますが、何か問題でもあるんでしょうか?」
「良いところに気が付きましたわね」
年齢の割には聡い。今回の訪問者もなかなか良い人物だ。
「『魔女の贈り物』は訪問者の願いを必ず遂行しなければいけないという厳しい掟がありますの。その為、曖昧なところは曖昧に、具体的なところは具体的にしておかないと契約不履行となってしまうわ。そうなると私は訪問者が死ぬまで願いを叶えるために人間界にいることになるの。永久に生きる魔女ではあるけれど、それはとても苦痛だし、時間の無駄だわ。私たち魔女は魔法の研究の為に生きているんだもの」
まぁ、実際は生きる理由なんて魔女それぞれで、魔法の研究もしたりしなかったりしてるけれど、人間相手にはこう言っておきましょう……と言うのが魔女達で決めたルールだ。
「そうなんですね。魔女の皆さんは真理を追及するために異界の間にいると聞いたことがあります。それは本当だったんですね」
何それ!かっこいい!
真理の追求って、言葉はなんだか知的で響きも良い!今度魔女の集会の時に、みんなに教えてあげよう!
なんて心の中では興奮してるけど、私はおくびにも出さず、少し怪しい雰囲気を作り微笑んで見せる。
「ええ、そうよ。その合間を縫って願いを叶えるのだもの。だからアウグスティン様も願いが本当にそれで良いのか考えてくださいね。契約してしまったら、変更することはできないし、願いを叶えるのは一生に一度……どのような理由があろうと変更は不可よ」
「はい。大丈夫です!ぼく……私はヒルデガルド嬢の幸せだけを願ってここに導かれたのですから」
「あら?そうなのね、人のために願いを使うなんて優しい人なのね」
ふふふと笑うと坊ちゃんは顔を赤くして恥ずかしそうに微笑む。罪な可愛さだわ……。
と・は・言えど、実は『魔女の施し』を受けることができる人間は根っからの善人と決まっている。そう言うところだけは安心だ。
「では、アウグスティン様の願いは『マリア嬢が火傷を負った(もしくは負いそうになった)原因を調べ、ヒルデガルド嬢を相思相愛の相手と結ばせる』で宜しいですか?」
「はい、よろしくお願いいたします」
お坊ちゃんが頷いたところで契約が発動する。私とお坊ちゃんの周囲が眩しく輝きだす。それは無数に輝く光の礫。キラキラと輝くそれは私とお坊ちゃんの間をふわふわと飛び回り、周囲の景色を溶かしていく。
「オ――オルガ嬢!!」
叫ぶお坊ちゃんはなんと私の身を案じているらしい。やはり善良だ。
だけど問題ない。これは私が人間の世界に現れる合図。契約が成立した証。
「また後でお会いましょう……ひとときのご主人……アウグスティン様」
さて、久しぶりの人間界!せっかくなので楽しみましょう!
「ぼ……私の前では強がって肩の荷が降りたと仰っていますが、そんなわけありません。王太子妃と公爵夫人では大きな差があります。ましてやヒルデガルド嬢ほど王太子妃に相応しい方を僕は知りません。きっと、内心では悔しがっているはずです!」
うーん、お坊ちゃんは思い込みが強いタイプかな?
正直、堅苦しくて一日中誰かに見られているような王太子妃より公爵夫人の方がよっぽど気楽だと思うのは、私が魔女だからかしら?
まぁ、そこも坊ちゃんの憶測っぽいから契約内容を変えないと。ヒルデガルド嬢が王太子妃になりたいのなら良いけど、心の底から嫌がっていたらヒルデガルド嬢がお気の毒だし……そもそもこの感じから行くと、お坊っちゃんはかなりヒルデガルド嬢にゾッコンラブ(古い!)っぽいし。
「『本来の婚約者と結婚』とアウグスティン様は仰っていますが、ヒルデガルド嬢の本当の望みは知らない訳ですわね?では『ヒルデガルド嬢の望みの相手』と言い換えて宜しいですか?」
「オルガ様は先ほどから望みの言い回しを随分と気にしていますが、何か問題でもあるんでしょうか?」
「良いところに気が付きましたわね」
年齢の割には聡い。今回の訪問者もなかなか良い人物だ。
「『魔女の贈り物』は訪問者の願いを必ず遂行しなければいけないという厳しい掟がありますの。その為、曖昧なところは曖昧に、具体的なところは具体的にしておかないと契約不履行となってしまうわ。そうなると私は訪問者が死ぬまで願いを叶えるために人間界にいることになるの。永久に生きる魔女ではあるけれど、それはとても苦痛だし、時間の無駄だわ。私たち魔女は魔法の研究の為に生きているんだもの」
まぁ、実際は生きる理由なんて魔女それぞれで、魔法の研究もしたりしなかったりしてるけれど、人間相手にはこう言っておきましょう……と言うのが魔女達で決めたルールだ。
「そうなんですね。魔女の皆さんは真理を追及するために異界の間にいると聞いたことがあります。それは本当だったんですね」
何それ!かっこいい!
真理の追求って、言葉はなんだか知的で響きも良い!今度魔女の集会の時に、みんなに教えてあげよう!
なんて心の中では興奮してるけど、私はおくびにも出さず、少し怪しい雰囲気を作り微笑んで見せる。
「ええ、そうよ。その合間を縫って願いを叶えるのだもの。だからアウグスティン様も願いが本当にそれで良いのか考えてくださいね。契約してしまったら、変更することはできないし、願いを叶えるのは一生に一度……どのような理由があろうと変更は不可よ」
「はい。大丈夫です!ぼく……私はヒルデガルド嬢の幸せだけを願ってここに導かれたのですから」
「あら?そうなのね、人のために願いを使うなんて優しい人なのね」
ふふふと笑うと坊ちゃんは顔を赤くして恥ずかしそうに微笑む。罪な可愛さだわ……。
と・は・言えど、実は『魔女の施し』を受けることができる人間は根っからの善人と決まっている。そう言うところだけは安心だ。
「では、アウグスティン様の願いは『マリア嬢が火傷を負った(もしくは負いそうになった)原因を調べ、ヒルデガルド嬢を相思相愛の相手と結ばせる』で宜しいですか?」
「はい、よろしくお願いいたします」
お坊ちゃんが頷いたところで契約が発動する。私とお坊ちゃんの周囲が眩しく輝きだす。それは無数に輝く光の礫。キラキラと輝くそれは私とお坊ちゃんの間をふわふわと飛び回り、周囲の景色を溶かしていく。
「オ――オルガ嬢!!」
叫ぶお坊ちゃんはなんと私の身を案じているらしい。やはり善良だ。
だけど問題ない。これは私が人間の世界に現れる合図。契約が成立した証。
「また後でお会いましょう……ひとときのご主人……アウグスティン様」
さて、久しぶりの人間界!せっかくなので楽しみましょう!
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