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最恐ドラゴンが、最強賢者に出会う時。(2)
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全てが初めての体験だった。
私の背丈の2倍以上もある、そんあ大きなドラゴンにあったのは初めてだ。
内在する魔力の量も凄まじく、一瞬慄く自分がいた。そんな感情も初めてだ。
そして、その灼熱色の美しい体躯に一瞬、見惚れた。そんな自分も初めてだ。
あっという間に倒してしまった弱すぎる魔王から得た情報で、ファフニールのいる山に来た。すると鏡(?)に体を映しているドラゴンがいた。そんなドラゴンを見たのも初めてだったが、まぁそれは良い。誰だって死ぬ時には美しくありたいものだ。ましてやこれだけ立派なドラゴンなのだから。
最恐ドラゴン・ファフニール。
400年ほど前に世界で大暴れし、国をいくつも滅ぼした存在。だがある日を境に忽然と姿を消し、その後はたまに目撃情報が入るくらいだ。だが奴の手配書は世界中にあり、倒すと多額の報奨金が手に入る。
だが、それだけでここに来たわけではない。
どうせなら強い相手と戦いたい。血湧き肉躍る体験をしたい。戦うこと以外の楽しみを、私は知らない。もっと、もっと強くなるために私は国を出てきたのだ!それはこんな相手と戦うため!
武器を手にもつと、ファフニールが炎を放った。さすが最恐ドラゴン!切り替えの速さも良いが、その炎の練度もかなりのものだ。だが様子見で放つとは舐められたものだ!お前ならもっと強い炎を吐けるはずだ!
頭に来たので、氷の魔法で炎は相殺した。更にその見事な体躯を凍り付かせる。水色の氷に包まれた灼熱色の体。私の目の色に似た氷の中に閉じ込められた最恐ドラゴンは美しく、まるで氷のオブジェのようだ。
「いいね、実に美しい。このまま持ち帰ろうか……」
愉悦に満ちた笑みで氷をそっと触ると、指先からファフニールの脈動が聞こえた。
◇◇◇
凍っちゃったよ。俺様氷漬け!カッチーン、わぁ、びっくりだね!
なんて余裕こいてるのは訳がある。だって、俺はこのくらいじゃ死なないからね!
俺の炎を相殺して、更に俺を凍らせる魔力があるのにはびっくりした。人間のくせにすごいね。俺びっくり。感心して語彙力0になっちゃうよ。
氷越しに息を殺して女の人をみる。なんか悦に入って俺を見ている女の人は……変態だ。
きっとSとMではSの人なんだろう。俺とは合わない感じだ。だって俺は痛めつけられるの嫌だしね!
いやいや、だからと言って痛めるつけるのも嫌だけど。女の子には優しくしたいし、優しくされたい。優しく腕枕してあげたいし、優しく膝枕して欲しい。
なんて色々妄想してると脳内ピンクになって、生きてることがバレちゃうから、落ち着け!俺!
まだ見ぬ彼女のためにもこの程度の攻撃で死ぬわけにはいかない!まぁ、死なないけど。
さて、どうしよう。このまま息を殺していたら、討伐したって思って帰ってくれるかな?そうしたら、俺はこの氷から出て、家にある大量の漫画と小説を持って、ここから出ていこうかな?この活火山の家は大好きだけど、バレちゃったんなら仕方ない。
そうやって見ていると、女の人が俺を包んでいる氷に触った。
「いいね、実に美しい。このまま持ち帰ろうか……」
いや――!変態のセリフ!怖い!変態怖い!SMプレーとか純粋なドラゴンの俺には無理です!
俺は全身の力をたぎらせる。俺は最恐ドラゴンだ。こんな氷は簡単に破壊できる。
パンっと音を立てて弾かれる氷の礫。この氷の礫に当たって死んでくれないかな?って女の人を見ると、血のように赤い唇が、満足気に持ち上がった。
残念ながら元気そうだ。身体を包み込み様に魔法の障壁を張っている。物理攻撃無効化、魔法攻撃無効化、状態異常無効化……なんかいっぱい張ってる。
「さすが最恐ドラゴン。この程度で死なれては困るな」
「貴様も人間にしてやるな……」
なんて言ってるけど心臓はバクバクだ。変態様はお帰りください!童○の俺には刺激が強すぎます!
この人は服装といい、さっきの魔法をいい、きっと魔法が得意なんだろう。だったら!
「ほう……こんなことまでできるのか」
女の人が顎を掴み、余裕な態度で空を見上げる。
本当に、気障ったらしい人だなぁ。しかもなんで余裕な態度なんだろう。俺はこの周辺に魔法無効空間を作ったのに。
「貴様の魔法は封じたぞ?もう戦うことはできまい」
だよね?そうだと言って?だってあなた神官でしょう?衣装は法衣だもん。まさか物理攻撃まで、できるとか言わないよね?
俺の内心の声は、焦りを感じて、もううまく言葉が出てこない。だって怖い。女の人は余裕の態度だ。俺の足元で俺を見上げているにも関わらず、その表情には焦りがない。俺は心臓バックバクだし、背中に汗がびっしょりで、頭の中ではちっこい俺が、ワーワー警報鳴らしながら走り回っているのに!
「甘いな……」
ああ、なんなの!この悪役っぽいセリフ!物語で主人公が戦う強い敵(しかも魔王!)みたいじゃない!なんで?なんでこの人間はこんなにキザなの!サブイボ立っちゃうよ!
女の人は再びポニーテールに手を伸ばし櫛を交換する。くるくる回して大きくなったのは、ぶっとい槍だ!一般的に槍は竜退治の必須アイテム!選択肢は間違ってない!
でも俺は最恐ドラゴン!そんな槍は怖くない!だって俺の体は世界最強の金属、オリハルコンですら弾くもんね!
ドス!
「へ?」
間抜けな声と共に音がした方を見る。
なんか刺さってる。
刺さってるのは俺の体。
俺の体は貫かれている。
貫かれた先から赤い血が噴き出ている。
噴き出た血が、地面を赤く染めている。
ええ――――!!俺刺された!俺ピンチ!
お父さん、お母さん、助けてー!!
私の背丈の2倍以上もある、そんあ大きなドラゴンにあったのは初めてだ。
内在する魔力の量も凄まじく、一瞬慄く自分がいた。そんな感情も初めてだ。
そして、その灼熱色の美しい体躯に一瞬、見惚れた。そんな自分も初めてだ。
あっという間に倒してしまった弱すぎる魔王から得た情報で、ファフニールのいる山に来た。すると鏡(?)に体を映しているドラゴンがいた。そんなドラゴンを見たのも初めてだったが、まぁそれは良い。誰だって死ぬ時には美しくありたいものだ。ましてやこれだけ立派なドラゴンなのだから。
最恐ドラゴン・ファフニール。
400年ほど前に世界で大暴れし、国をいくつも滅ぼした存在。だがある日を境に忽然と姿を消し、その後はたまに目撃情報が入るくらいだ。だが奴の手配書は世界中にあり、倒すと多額の報奨金が手に入る。
だが、それだけでここに来たわけではない。
どうせなら強い相手と戦いたい。血湧き肉躍る体験をしたい。戦うこと以外の楽しみを、私は知らない。もっと、もっと強くなるために私は国を出てきたのだ!それはこんな相手と戦うため!
武器を手にもつと、ファフニールが炎を放った。さすが最恐ドラゴン!切り替えの速さも良いが、その炎の練度もかなりのものだ。だが様子見で放つとは舐められたものだ!お前ならもっと強い炎を吐けるはずだ!
頭に来たので、氷の魔法で炎は相殺した。更にその見事な体躯を凍り付かせる。水色の氷に包まれた灼熱色の体。私の目の色に似た氷の中に閉じ込められた最恐ドラゴンは美しく、まるで氷のオブジェのようだ。
「いいね、実に美しい。このまま持ち帰ろうか……」
愉悦に満ちた笑みで氷をそっと触ると、指先からファフニールの脈動が聞こえた。
◇◇◇
凍っちゃったよ。俺様氷漬け!カッチーン、わぁ、びっくりだね!
なんて余裕こいてるのは訳がある。だって、俺はこのくらいじゃ死なないからね!
俺の炎を相殺して、更に俺を凍らせる魔力があるのにはびっくりした。人間のくせにすごいね。俺びっくり。感心して語彙力0になっちゃうよ。
氷越しに息を殺して女の人をみる。なんか悦に入って俺を見ている女の人は……変態だ。
きっとSとMではSの人なんだろう。俺とは合わない感じだ。だって俺は痛めつけられるの嫌だしね!
いやいや、だからと言って痛めるつけるのも嫌だけど。女の子には優しくしたいし、優しくされたい。優しく腕枕してあげたいし、優しく膝枕して欲しい。
なんて色々妄想してると脳内ピンクになって、生きてることがバレちゃうから、落ち着け!俺!
まだ見ぬ彼女のためにもこの程度の攻撃で死ぬわけにはいかない!まぁ、死なないけど。
さて、どうしよう。このまま息を殺していたら、討伐したって思って帰ってくれるかな?そうしたら、俺はこの氷から出て、家にある大量の漫画と小説を持って、ここから出ていこうかな?この活火山の家は大好きだけど、バレちゃったんなら仕方ない。
そうやって見ていると、女の人が俺を包んでいる氷に触った。
「いいね、実に美しい。このまま持ち帰ろうか……」
いや――!変態のセリフ!怖い!変態怖い!SMプレーとか純粋なドラゴンの俺には無理です!
俺は全身の力をたぎらせる。俺は最恐ドラゴンだ。こんな氷は簡単に破壊できる。
パンっと音を立てて弾かれる氷の礫。この氷の礫に当たって死んでくれないかな?って女の人を見ると、血のように赤い唇が、満足気に持ち上がった。
残念ながら元気そうだ。身体を包み込み様に魔法の障壁を張っている。物理攻撃無効化、魔法攻撃無効化、状態異常無効化……なんかいっぱい張ってる。
「さすが最恐ドラゴン。この程度で死なれては困るな」
「貴様も人間にしてやるな……」
なんて言ってるけど心臓はバクバクだ。変態様はお帰りください!童○の俺には刺激が強すぎます!
この人は服装といい、さっきの魔法をいい、きっと魔法が得意なんだろう。だったら!
「ほう……こんなことまでできるのか」
女の人が顎を掴み、余裕な態度で空を見上げる。
本当に、気障ったらしい人だなぁ。しかもなんで余裕な態度なんだろう。俺はこの周辺に魔法無効空間を作ったのに。
「貴様の魔法は封じたぞ?もう戦うことはできまい」
だよね?そうだと言って?だってあなた神官でしょう?衣装は法衣だもん。まさか物理攻撃まで、できるとか言わないよね?
俺の内心の声は、焦りを感じて、もううまく言葉が出てこない。だって怖い。女の人は余裕の態度だ。俺の足元で俺を見上げているにも関わらず、その表情には焦りがない。俺は心臓バックバクだし、背中に汗がびっしょりで、頭の中ではちっこい俺が、ワーワー警報鳴らしながら走り回っているのに!
「甘いな……」
ああ、なんなの!この悪役っぽいセリフ!物語で主人公が戦う強い敵(しかも魔王!)みたいじゃない!なんで?なんでこの人間はこんなにキザなの!サブイボ立っちゃうよ!
女の人は再びポニーテールに手を伸ばし櫛を交換する。くるくる回して大きくなったのは、ぶっとい槍だ!一般的に槍は竜退治の必須アイテム!選択肢は間違ってない!
でも俺は最恐ドラゴン!そんな槍は怖くない!だって俺の体は世界最強の金属、オリハルコンですら弾くもんね!
ドス!
「へ?」
間抜けな声と共に音がした方を見る。
なんか刺さってる。
刺さってるのは俺の体。
俺の体は貫かれている。
貫かれた先から赤い血が噴き出ている。
噴き出た血が、地面を赤く染めている。
ええ――――!!俺刺された!俺ピンチ!
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