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勇者と魔王の息子は一般人です。
第9話「過去話3」
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女友達二人と別れた真央は一人きりで人気の少ない近場の自然公園内に入り、目的の人物が現れるのを待ち、そしてそれは現れた。
「…………やはり貴様だったか」
「僕が誰か言う必要はないみたいだね」
「忘れいでか! 貴様のおかげで我がこの十数年どんな思いをしたと思っとる!! すべて貴様のせいだ勇者!!!」
「結構苦労したみたいだね」
「軽くいうな!軽く!」
「ごめんごめん、ホントに大変だったんだよね。僕もこっちに来て苦労したからわかるよ」
「貴様のニヤケ顔を見とると欠片も苦労が感じられん」
「そんなことないよ」
「知るか! わざわざ貴様から出向いてくれて手間が省けたわ! 今こそあの時の決着をつけてやる!!」
「うん、決着つけよっか。魔王、いや真央ちゃん、改めて僕と結婚してください」
「まだ言うか貴様!」
「それが今のところ、僕の人生最大の目標だからね」
「答えは変わらん! 断る!」
「どうして?」
「どうしてだと!? それは我が魔王で貴様が勇者だからだ!」
「元でしょ? お互い今世ではただの一般人じゃない」
「………そうか、貴様はもはや只人であるのか、ならば死ね!!」
その瞬間、真央は掛け値なしに骨まで焼き尽くすだけの威力をもった火炎魔法を放ち、その火球は寸分の狂い無く勇者に命中した。
「……ふん、情けだ、燃えカスの片付けくらいはしてやろう」
「その必要はないよ」
「な!?」
火球が命中して発生した煙が晴れると、そこには平然とした顔で勇者が立っていた。
「思った通りそっちも前世の力は使えるみたいだね」
「ちぃ、貴様も力を取り戻していたか」
「ま、一応ね」
「なら今度こそ全力で貴様を葬るまでだ!」
そう言い放つと全身から魔力の渦を発生させながら魔王は臨戦態勢を取った。
「その前に一ついいかな?」
だが、これから戦おうとしていた魔王に勇者は変わらない態度で話を続ける。
「……なんだ? もはやあの時のような時間稼ぎはさせんぞ?」
以前の決戦で自分を殺した魔法陣に警戒しながら魔王は問い返す。
「君の魔力、どうも不自然に感じられるところがあるんだけど、体調が悪かったりしない?」
「!?」
その質問に思い当たる節があった魔王は驚いた。
――――確かに、最近魔法の鍛錬を行いすぎたのか、魔法の発動や身体を動かす時に妙な違和感はあったが、勇者の奴、それに気づいたのか? まずい、不調を見破られた状態で戦うのは危険だ。
「ふん、我は魔王ぞ? そのようなことあるはずもない」
「う~ん、気のせいかな~?」
「くどい! さあ、今ここで貴様の息の根、止め…!?」
気づかれないように虚勢を張って魔法を放とうとした魔王はしかし、突然の虚脱にさいなまれてがくんと膝をついた。
「ああ。やっぱりか」
膝をついた魔王を前にして勇者は予想通りという感じでゆっくりと近づいてきた。
――――まずい、敵の前で膝をつくなど、早く立って戦わねば……、
――――その役目は余がもらおう
――――!!?
唐突に頭の中に聞こえてきた声に魔王は驚き、さらに自分の意志に反して勝手に動く身体に再び驚いた。
「こ、これは一体、」
「余は歴代魔王の思念が集まり生まれ出た集合体。本来は魔王たる証の首飾りの宝玉に封じられ、当代の魔王に莫大な魔力を与えるだけの魔道具であったが、あの魔法陣によって我も解放され、お主の集めた魔力の影響でようやくこの身体に干渉できるようになった」
「貴様があの魔王継承の儀の首飾りだと!?」
「いかにも、もはやここに我らが支配すべき魔族は存在せぬが、眼前の勇者を倒し、そして人間どもを奴隷としたあらたな王国づくりは余が果たそうではないか」
「ふざけるな! そんななんの益も生まぬただ破壊の為だけの破壊など我は容認せん!」
「ぬかせ、貴様も魔族の本能に従い、闘争の欲求を満たすために人族と戦争を始めただろうが」
「違う! 我は不毛な大地で日々減っていく同胞の未来のために戦いを選択したのだ! その咎は未来を勝ち得たのち、我が全てを捧げてでも受けるつもりだった!」
「そんなものはただの綺麗事だ、支配するとは下の者を踏みつけて上に立つということ。咎などいちいち気にしていてはできる支配もできんわ」
「なぜ同胞とともに肩を並べて歩もうという考えが出来ん!?」
「もうよい、どれだけ魔法の才があろうとお主は魔王の器ではない、これより先、余が魔王とはなにかをたっぷりと見せてくれるわ!!」
「や、やめろおぉぉぉぉぉぉ!!」
魔王の身体の主導権を完全に集合思念が乗っ取ると、魔王(集合思念)はゆっくりと立ち上がり、不敵に笑い始めた。
「話は終わったかな?」
魔王と集合思念の会話が終わった所を見計らい、距離を詰めていた勇者が問いかける。
「待たせたな勇者よ、さあ、余の偉大な歴史に刻む最初の犠牲者にしてやろう」
「お断りだね」
魔王(集合思念)は先ほどとは比べ物にならない数の火球や氷塊、岩石に雷球、竜巻まで発生させ、怒涛の魔法攻撃を仕掛けるが、そのことごとくを勇者は躱していった。
「ぬう、これでどうだ!」
攻撃が当たらず苛立った魔王(集合思念)は勇者のまわりをぐるりとリング状に氷壁で囲むと、上からフタをするように連続で魔法攻撃を叩き込んだ。
「もはや、欠片も残っては居まい」
粉々になった氷壁と煙の中に勇者の姿はなく、魔王(集合思念)は勝利を確信した。
「後始末する方の身にもなってほしいな」
「!?」
急に後ろから聞こえた声に魔王(集合思念)は驚きながらも振り向きざまに電撃魔法で反撃を行ったが、その軌道は腕を掴まれて逸らされた。
「待っててね真央ちゃん、すぐに開放するから」
「解放だと? 不可能だな。この身体に宿った我の魂に干渉する魔法などあちらの世界のどこにも存在して…」
「大丈夫、もう作ってあるから」
「なに!? う、うおおぉぉぉ!?」
勇者は歴代魔王の知識を有する集合思念でも見たことがない魔法陣を展開すると、瞬く間に魔王の身体から集合思念の魂だけを切り離してしまった。
「真央ちゃん、大丈夫?」
「…………ど、どうなっている?」
集合思念から切り離されたおかげで身体の主導権を取り戻した魔王は自分に起こっていることに理解が追い付いてこず、困惑してた。
「こっちに転生した時に使った魔法陣の応用だよ。もともと魂に干渉して別の世界に飛ばす魔法だからね。ちょっといじればこういう使い方も出来るんだよ」
「…………つくづく規格外だな貴様は」
「褒められると照れちゃうなぁ」
「褒め取らんわ! それよりも貴様、その手にある人魂のようなものは……」
「うん、君の中に寄生してた集合思念とかいう奴だね。どうする?」
「こんなものに我が乗っ取られたなど屈辱もいいところだ。潰して構わん」
「ほい、了解」グシャッ
魔王の了承を得た勇者はなんの躊躇いもなく集合思念の魂を握り潰した。
「さて、これで君も本調子に戻るだろうけど、今日はもう日も暮れるし、帰えろっか?」
「…………いいのか? ここで見逃せばまた我は貴様を襲うぞ?」
「集合思念なんてつまらないものになら願い下げだけど、君にだったら襲われようが夜這いを掛けられようがウェルカムだよ」
「なぜ我が貴様に夜這いをせねばならんのだ!? 仮に集合思念が復活して身体を再び乗っ取ったとしてもそれだけは命に代えて阻止するぞ!!?」
「はは、真央ちゃんは頑固だなぁ」
「それから貴様! さっきから気安く真央ちゃんなどと呼ぶな!」
「じゃあなんて呼べばいい?」
「……………えぇい! どうしても呼びたいなら苗字で、平川と呼べ」
「わかったよ。こっちでの僕の名前は勇介だ。呼び捨てでもいいけど、勇ちゃんとかで呼んでくれたらうれしいな」
「誰が呼ぶか!!」
こうして勇者と魔王は地球での再会を果たし、それから二人は度々衝突を繰り返しながら同じ大学へと進学していくのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「考えてみれば貴様、どうやってこうなる事を予想して魂に干渉する魔法を用意していたのだ?」
「……今だから言うけど、用意っていうかママが集合思念に身体を乗っ取られたのを見てから急いで助ける方法考えて組み上げたんだ」
「ちょっと待て、じゃあなにか? 組み上げられなかったら今頃我は乗っ取られたままだったと?」
「そうなるね。僕もママごと集合思念をどうこうしようとは考えてなかったから放置になってたかも」
「…………貴様が規格外でよかったと思う日が来るとはな」
「いやぁ、褒められると照れちゃうな」
「だから褒めとらんと十何年も前から言っておろうが! ……それにしてもこのテキーラというのはなかなか強い酒だな」
「本来はストレートじゃなくて水割りやロックで飲むものだよ。はい、スモークチーズとスモークベーコンできたよ」
燻製用の構造になっている鍋を持って勇者がテーブルにやってくると、鍋の蓋が開かれ、香りのよい煙と共にチーズとベーコンが姿を現した。
「専用の道具とはいえこんな小さい鍋で手軽に燻製ができるとは、本当にこの国は便利な物に溢れておるの」
「むこうの世界じゃ燻製小屋以外でつくるなんて発想自体なかったからねぇ」
「もぐもぐ、ごくん、うむ、以前はメスのミノタウロスから作ったチーズが最高だとおもっておったが、このチーズもなかなかに美味だ」
「日本の牛は牛乳やチーズも良いけど、牛肉もおいしいよね」
「……そういわれると肉が食べたくなるな。…………明日はすき焼きにするか」
「わぉ、じゃあダッシュで帰らないとね」
「なら帰りに美味い牛肉を買ってこい。まーくんがたくさん食べられるようにたっぷりとな」
「りょー解」
明日の夕食を決めながら晩酌を楽しむ勇者と魔王の夜は今日も平和に過ぎてゆく。
「…………やはり貴様だったか」
「僕が誰か言う必要はないみたいだね」
「忘れいでか! 貴様のおかげで我がこの十数年どんな思いをしたと思っとる!! すべて貴様のせいだ勇者!!!」
「結構苦労したみたいだね」
「軽くいうな!軽く!」
「ごめんごめん、ホントに大変だったんだよね。僕もこっちに来て苦労したからわかるよ」
「貴様のニヤケ顔を見とると欠片も苦労が感じられん」
「そんなことないよ」
「知るか! わざわざ貴様から出向いてくれて手間が省けたわ! 今こそあの時の決着をつけてやる!!」
「うん、決着つけよっか。魔王、いや真央ちゃん、改めて僕と結婚してください」
「まだ言うか貴様!」
「それが今のところ、僕の人生最大の目標だからね」
「答えは変わらん! 断る!」
「どうして?」
「どうしてだと!? それは我が魔王で貴様が勇者だからだ!」
「元でしょ? お互い今世ではただの一般人じゃない」
「………そうか、貴様はもはや只人であるのか、ならば死ね!!」
その瞬間、真央は掛け値なしに骨まで焼き尽くすだけの威力をもった火炎魔法を放ち、その火球は寸分の狂い無く勇者に命中した。
「……ふん、情けだ、燃えカスの片付けくらいはしてやろう」
「その必要はないよ」
「な!?」
火球が命中して発生した煙が晴れると、そこには平然とした顔で勇者が立っていた。
「思った通りそっちも前世の力は使えるみたいだね」
「ちぃ、貴様も力を取り戻していたか」
「ま、一応ね」
「なら今度こそ全力で貴様を葬るまでだ!」
そう言い放つと全身から魔力の渦を発生させながら魔王は臨戦態勢を取った。
「その前に一ついいかな?」
だが、これから戦おうとしていた魔王に勇者は変わらない態度で話を続ける。
「……なんだ? もはやあの時のような時間稼ぎはさせんぞ?」
以前の決戦で自分を殺した魔法陣に警戒しながら魔王は問い返す。
「君の魔力、どうも不自然に感じられるところがあるんだけど、体調が悪かったりしない?」
「!?」
その質問に思い当たる節があった魔王は驚いた。
――――確かに、最近魔法の鍛錬を行いすぎたのか、魔法の発動や身体を動かす時に妙な違和感はあったが、勇者の奴、それに気づいたのか? まずい、不調を見破られた状態で戦うのは危険だ。
「ふん、我は魔王ぞ? そのようなことあるはずもない」
「う~ん、気のせいかな~?」
「くどい! さあ、今ここで貴様の息の根、止め…!?」
気づかれないように虚勢を張って魔法を放とうとした魔王はしかし、突然の虚脱にさいなまれてがくんと膝をついた。
「ああ。やっぱりか」
膝をついた魔王を前にして勇者は予想通りという感じでゆっくりと近づいてきた。
――――まずい、敵の前で膝をつくなど、早く立って戦わねば……、
――――その役目は余がもらおう
――――!!?
唐突に頭の中に聞こえてきた声に魔王は驚き、さらに自分の意志に反して勝手に動く身体に再び驚いた。
「こ、これは一体、」
「余は歴代魔王の思念が集まり生まれ出た集合体。本来は魔王たる証の首飾りの宝玉に封じられ、当代の魔王に莫大な魔力を与えるだけの魔道具であったが、あの魔法陣によって我も解放され、お主の集めた魔力の影響でようやくこの身体に干渉できるようになった」
「貴様があの魔王継承の儀の首飾りだと!?」
「いかにも、もはやここに我らが支配すべき魔族は存在せぬが、眼前の勇者を倒し、そして人間どもを奴隷としたあらたな王国づくりは余が果たそうではないか」
「ふざけるな! そんななんの益も生まぬただ破壊の為だけの破壊など我は容認せん!」
「ぬかせ、貴様も魔族の本能に従い、闘争の欲求を満たすために人族と戦争を始めただろうが」
「違う! 我は不毛な大地で日々減っていく同胞の未来のために戦いを選択したのだ! その咎は未来を勝ち得たのち、我が全てを捧げてでも受けるつもりだった!」
「そんなものはただの綺麗事だ、支配するとは下の者を踏みつけて上に立つということ。咎などいちいち気にしていてはできる支配もできんわ」
「なぜ同胞とともに肩を並べて歩もうという考えが出来ん!?」
「もうよい、どれだけ魔法の才があろうとお主は魔王の器ではない、これより先、余が魔王とはなにかをたっぷりと見せてくれるわ!!」
「や、やめろおぉぉぉぉぉぉ!!」
魔王の身体の主導権を完全に集合思念が乗っ取ると、魔王(集合思念)はゆっくりと立ち上がり、不敵に笑い始めた。
「話は終わったかな?」
魔王と集合思念の会話が終わった所を見計らい、距離を詰めていた勇者が問いかける。
「待たせたな勇者よ、さあ、余の偉大な歴史に刻む最初の犠牲者にしてやろう」
「お断りだね」
魔王(集合思念)は先ほどとは比べ物にならない数の火球や氷塊、岩石に雷球、竜巻まで発生させ、怒涛の魔法攻撃を仕掛けるが、そのことごとくを勇者は躱していった。
「ぬう、これでどうだ!」
攻撃が当たらず苛立った魔王(集合思念)は勇者のまわりをぐるりとリング状に氷壁で囲むと、上からフタをするように連続で魔法攻撃を叩き込んだ。
「もはや、欠片も残っては居まい」
粉々になった氷壁と煙の中に勇者の姿はなく、魔王(集合思念)は勝利を確信した。
「後始末する方の身にもなってほしいな」
「!?」
急に後ろから聞こえた声に魔王(集合思念)は驚きながらも振り向きざまに電撃魔法で反撃を行ったが、その軌道は腕を掴まれて逸らされた。
「待っててね真央ちゃん、すぐに開放するから」
「解放だと? 不可能だな。この身体に宿った我の魂に干渉する魔法などあちらの世界のどこにも存在して…」
「大丈夫、もう作ってあるから」
「なに!? う、うおおぉぉぉ!?」
勇者は歴代魔王の知識を有する集合思念でも見たことがない魔法陣を展開すると、瞬く間に魔王の身体から集合思念の魂だけを切り離してしまった。
「真央ちゃん、大丈夫?」
「…………ど、どうなっている?」
集合思念から切り離されたおかげで身体の主導権を取り戻した魔王は自分に起こっていることに理解が追い付いてこず、困惑してた。
「こっちに転生した時に使った魔法陣の応用だよ。もともと魂に干渉して別の世界に飛ばす魔法だからね。ちょっといじればこういう使い方も出来るんだよ」
「…………つくづく規格外だな貴様は」
「褒められると照れちゃうなぁ」
「褒め取らんわ! それよりも貴様、その手にある人魂のようなものは……」
「うん、君の中に寄生してた集合思念とかいう奴だね。どうする?」
「こんなものに我が乗っ取られたなど屈辱もいいところだ。潰して構わん」
「ほい、了解」グシャッ
魔王の了承を得た勇者はなんの躊躇いもなく集合思念の魂を握り潰した。
「さて、これで君も本調子に戻るだろうけど、今日はもう日も暮れるし、帰えろっか?」
「…………いいのか? ここで見逃せばまた我は貴様を襲うぞ?」
「集合思念なんてつまらないものになら願い下げだけど、君にだったら襲われようが夜這いを掛けられようがウェルカムだよ」
「なぜ我が貴様に夜這いをせねばならんのだ!? 仮に集合思念が復活して身体を再び乗っ取ったとしてもそれだけは命に代えて阻止するぞ!!?」
「はは、真央ちゃんは頑固だなぁ」
「それから貴様! さっきから気安く真央ちゃんなどと呼ぶな!」
「じゃあなんて呼べばいい?」
「……………えぇい! どうしても呼びたいなら苗字で、平川と呼べ」
「わかったよ。こっちでの僕の名前は勇介だ。呼び捨てでもいいけど、勇ちゃんとかで呼んでくれたらうれしいな」
「誰が呼ぶか!!」
こうして勇者と魔王は地球での再会を果たし、それから二人は度々衝突を繰り返しながら同じ大学へと進学していくのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「考えてみれば貴様、どうやってこうなる事を予想して魂に干渉する魔法を用意していたのだ?」
「……今だから言うけど、用意っていうかママが集合思念に身体を乗っ取られたのを見てから急いで助ける方法考えて組み上げたんだ」
「ちょっと待て、じゃあなにか? 組み上げられなかったら今頃我は乗っ取られたままだったと?」
「そうなるね。僕もママごと集合思念をどうこうしようとは考えてなかったから放置になってたかも」
「…………貴様が規格外でよかったと思う日が来るとはな」
「いやぁ、褒められると照れちゃうな」
「だから褒めとらんと十何年も前から言っておろうが! ……それにしてもこのテキーラというのはなかなか強い酒だな」
「本来はストレートじゃなくて水割りやロックで飲むものだよ。はい、スモークチーズとスモークベーコンできたよ」
燻製用の構造になっている鍋を持って勇者がテーブルにやってくると、鍋の蓋が開かれ、香りのよい煙と共にチーズとベーコンが姿を現した。
「専用の道具とはいえこんな小さい鍋で手軽に燻製ができるとは、本当にこの国は便利な物に溢れておるの」
「むこうの世界じゃ燻製小屋以外でつくるなんて発想自体なかったからねぇ」
「もぐもぐ、ごくん、うむ、以前はメスのミノタウロスから作ったチーズが最高だとおもっておったが、このチーズもなかなかに美味だ」
「日本の牛は牛乳やチーズも良いけど、牛肉もおいしいよね」
「……そういわれると肉が食べたくなるな。…………明日はすき焼きにするか」
「わぉ、じゃあダッシュで帰らないとね」
「なら帰りに美味い牛肉を買ってこい。まーくんがたくさん食べられるようにたっぷりとな」
「りょー解」
明日の夕食を決めながら晩酌を楽しむ勇者と魔王の夜は今日も平和に過ぎてゆく。
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