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第二章 ~魔王勇者課~リプタリア編
第20話 「決断」
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CS2番艦ノアニクスⅡが完成し、選ばれた人々が乗り込んでいく中、ベルトは悩んでいた。
「……シャトルの状況は?」
「住民の収容作業は順調、予定通り13:00までに完了する見込みです」
「そうか、」
「どうかされましたか? ベルト大統領?」
「よしてくれ、誰も引き継ぐ人間がいないから暫定的に肩書を預かっているだけだ。私などが大統領と呼ばれる資格はないよ」
「いえ、あれだけ怒り狂っていた市民達を説き伏せ、2隻目のCS完成までこぎつけられたのはベルト大統領の活躍があってこそです。あなたは間違いなく我々のリーダーですよ」
「リーダー…か、」
――2番艦を完成させはしたが計算上、どう急いでも3番艦が完成するまでに恒星の膨張影響範囲はリプタリアに届いてしまう。居住ブロックのみを優先させたとしても外宇宙を航行しながら残りの区画を完成させるのは至難の業だ。いや、それ以前に星の気温が完成前に生存困難な値になる可能性も高い。私の行動は結局は限られた椅子を奪い合う争いを増やしただけだったのでは…?
「…統領、ベルト大統領!」
「ん!? だ、だから大統領と呼ぶのは」
「ベルト大統領、シャトルの準備が整いました」
「……どうしても私が乗らないとダメか? 軍部の誰かが総指揮をとっても大丈夫だと思うのだが、」
「何を言うのです。これからのリプタリアにはあなたが必要です」
「ここもリプタリアなんだぞ?」
「ですが、滅びゆく運命です。ならば残すべきものを残さねば」
「決断するしかないのか」
「それこそがリーダーに求められる資質ですから」
「やはりリーダーなどなるものではないな、裏方で支える仕事をしていた方がずっとやりがいがある」
「…ベルト大統領」
「分かっている。行こうか」
ベルトは部下達と共にシャトルに乗り込むべく宇宙港へ移動する車両へと乗り込んだ。
・
・
・
・
・
・
-数か月後-
「お疲れ~デスフレア」
「先輩~もう無理です~」
「あとちょっとでリプタリアに届くからガンバ」
「し、死んじゃいます~」
「質量が足りないとかいうから適当な大きさの小天体引っ張ってきたのよ。あとちょっと根性見せなさい」
「根性で核融合が捗ったら苦労しませんよ~」
リプタリアに転移してからというものずっと恒星の周辺で核融合を促進させ、膨張を促してきたデスフレアは四六時中魔法を使い続けてすっかりやつれていた。
「で、具体的にあとどれくらいでリプタリアに届くの?」
「…ん、っとあと、数週間ってとこですね」
「…そう」
「どうかしました?」
「いえ、…ノアニクスⅡもそろそろ安全圏に達したころね」
メアリーベルは魔法で引っ張ってきた小天体を恒星に向かって投げつけると、新たに魔法を展開した。
「せ、先輩! それって核融合魔法じゃないですか! 先輩も使えたんですか!?」
「出来ないとは言ってないでしょ?」
「手伝ってくれればよかったのに~~!!」
「その代わりあんたが面倒な裏工作とか箱舟作りをリプタリア人達にさせる仕事する羽目になってたけど、どっちが楽だったか後で考えてごらんなさい」
「うぅ~~」
「さ、仕上げよ」
メアリーベルが核融合魔法を恒星に向かって打ち込むと、恒星は今まで以上に急激な反応を見せて活性化し始めた。
「せ、先輩なにしたんですか?」
「手っ取り早く帰りたいでしょ? ゆっくり膨らますより爆発させた方がすぐ済むわよ」
「爆発させるって、超新星爆発させるのにどれだけの魔力とコントロールがいると思って…」
「魔王なんだからこれくらいはできないとね」
それからしばらくしてリプタリア星系から半径数光年の星々は超新星爆発によってそのことごとくが衝撃波や大量の放射線を浴びて生物の生存は不可能な場所となった。
・
・
・
・
・
・
-邪神人材派遣会社内邪神教会室-
「さあ、目覚めなさい」
ゴトッ
「あ~、久々の復活ね~」
「先輩、お疲れ様です~」
「課長、一体何したんですか? お日様が破裂してましたよ?」
「なかなか見れるものじゃないからそのうち誰かに自慢してもいいわよ」
「いえ、あの、」
「それよりメアリーさん、邪神様への報告が終わったら溜まった書類お願いしますね」
復活したばかりのメアリーベルに邪神官は厳しい現実を突きつける。
「…ちなみにどれくらい溜まってるの?」
「次の依頼案件が21件、会議や決済の確認案件が14件、あとは…」
「しばらく有休取るからよろしく」
「あ、メアリーさん!」
転移して逃走を図ったメアリーベルを追いかけて、邪神官はどこへ向かったのか部屋を後にした。
「……ところでルーク君、結局ノアニクスⅡはどうなったの? 私先輩から完成した事までしか聞いてないから知らなくて」
「無事に住民を乗せて発進しました。ワームホーム航法、確かワープでしたっけ?、あれの実用化もしてましたからあの爆発の影響圏外へも無事に出られたハズです」
「残った星の人たちはどうだった?」
「みんな落ち着いてましたよ。もうすぐ自分達の居る星が火の中に飲み込まれるのが分かっててもあと少し生き延びられる人を増やそうと3番艦の建造を急いでました。まぁ、間に合いませんでしたけど」
「生き残ったのは結局ノアニクスⅡの一握りだけかぁ」
「でも彼らはあきらめた表情ではありませんでしたからきっとやり直すことは出来ると思います」
「だねぇ、せめて私たちが再び彼らの元に派遣される依頼がこないように祈っとこうか?」
「あ、ボク、邪神様にお祈りするの初めてなんです」
「実は私も~」
ルークとデスフレアは邪神像の前で膝をつくと、リプタリアの人々の為にほんのわずかな時間祈りをささげていつもの日々へと戻って行った。
「……シャトルの状況は?」
「住民の収容作業は順調、予定通り13:00までに完了する見込みです」
「そうか、」
「どうかされましたか? ベルト大統領?」
「よしてくれ、誰も引き継ぐ人間がいないから暫定的に肩書を預かっているだけだ。私などが大統領と呼ばれる資格はないよ」
「いえ、あれだけ怒り狂っていた市民達を説き伏せ、2隻目のCS完成までこぎつけられたのはベルト大統領の活躍があってこそです。あなたは間違いなく我々のリーダーですよ」
「リーダー…か、」
――2番艦を完成させはしたが計算上、どう急いでも3番艦が完成するまでに恒星の膨張影響範囲はリプタリアに届いてしまう。居住ブロックのみを優先させたとしても外宇宙を航行しながら残りの区画を完成させるのは至難の業だ。いや、それ以前に星の気温が完成前に生存困難な値になる可能性も高い。私の行動は結局は限られた椅子を奪い合う争いを増やしただけだったのでは…?
「…統領、ベルト大統領!」
「ん!? だ、だから大統領と呼ぶのは」
「ベルト大統領、シャトルの準備が整いました」
「……どうしても私が乗らないとダメか? 軍部の誰かが総指揮をとっても大丈夫だと思うのだが、」
「何を言うのです。これからのリプタリアにはあなたが必要です」
「ここもリプタリアなんだぞ?」
「ですが、滅びゆく運命です。ならば残すべきものを残さねば」
「決断するしかないのか」
「それこそがリーダーに求められる資質ですから」
「やはりリーダーなどなるものではないな、裏方で支える仕事をしていた方がずっとやりがいがある」
「…ベルト大統領」
「分かっている。行こうか」
ベルトは部下達と共にシャトルに乗り込むべく宇宙港へ移動する車両へと乗り込んだ。
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-数か月後-
「お疲れ~デスフレア」
「先輩~もう無理です~」
「あとちょっとでリプタリアに届くからガンバ」
「し、死んじゃいます~」
「質量が足りないとかいうから適当な大きさの小天体引っ張ってきたのよ。あとちょっと根性見せなさい」
「根性で核融合が捗ったら苦労しませんよ~」
リプタリアに転移してからというものずっと恒星の周辺で核融合を促進させ、膨張を促してきたデスフレアは四六時中魔法を使い続けてすっかりやつれていた。
「で、具体的にあとどれくらいでリプタリアに届くの?」
「…ん、っとあと、数週間ってとこですね」
「…そう」
「どうかしました?」
「いえ、…ノアニクスⅡもそろそろ安全圏に達したころね」
メアリーベルは魔法で引っ張ってきた小天体を恒星に向かって投げつけると、新たに魔法を展開した。
「せ、先輩! それって核融合魔法じゃないですか! 先輩も使えたんですか!?」
「出来ないとは言ってないでしょ?」
「手伝ってくれればよかったのに~~!!」
「その代わりあんたが面倒な裏工作とか箱舟作りをリプタリア人達にさせる仕事する羽目になってたけど、どっちが楽だったか後で考えてごらんなさい」
「うぅ~~」
「さ、仕上げよ」
メアリーベルが核融合魔法を恒星に向かって打ち込むと、恒星は今まで以上に急激な反応を見せて活性化し始めた。
「せ、先輩なにしたんですか?」
「手っ取り早く帰りたいでしょ? ゆっくり膨らますより爆発させた方がすぐ済むわよ」
「爆発させるって、超新星爆発させるのにどれだけの魔力とコントロールがいると思って…」
「魔王なんだからこれくらいはできないとね」
それからしばらくしてリプタリア星系から半径数光年の星々は超新星爆発によってそのことごとくが衝撃波や大量の放射線を浴びて生物の生存は不可能な場所となった。
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-邪神人材派遣会社内邪神教会室-
「さあ、目覚めなさい」
ゴトッ
「あ~、久々の復活ね~」
「先輩、お疲れ様です~」
「課長、一体何したんですか? お日様が破裂してましたよ?」
「なかなか見れるものじゃないからそのうち誰かに自慢してもいいわよ」
「いえ、あの、」
「それよりメアリーさん、邪神様への報告が終わったら溜まった書類お願いしますね」
復活したばかりのメアリーベルに邪神官は厳しい現実を突きつける。
「…ちなみにどれくらい溜まってるの?」
「次の依頼案件が21件、会議や決済の確認案件が14件、あとは…」
「しばらく有休取るからよろしく」
「あ、メアリーさん!」
転移して逃走を図ったメアリーベルを追いかけて、邪神官はどこへ向かったのか部屋を後にした。
「……ところでルーク君、結局ノアニクスⅡはどうなったの? 私先輩から完成した事までしか聞いてないから知らなくて」
「無事に住民を乗せて発進しました。ワームホーム航法、確かワープでしたっけ?、あれの実用化もしてましたからあの爆発の影響圏外へも無事に出られたハズです」
「残った星の人たちはどうだった?」
「みんな落ち着いてましたよ。もうすぐ自分達の居る星が火の中に飲み込まれるのが分かっててもあと少し生き延びられる人を増やそうと3番艦の建造を急いでました。まぁ、間に合いませんでしたけど」
「生き残ったのは結局ノアニクスⅡの一握りだけかぁ」
「でも彼らはあきらめた表情ではありませんでしたからきっとやり直すことは出来ると思います」
「だねぇ、せめて私たちが再び彼らの元に派遣される依頼がこないように祈っとこうか?」
「あ、ボク、邪神様にお祈りするの初めてなんです」
「実は私も~」
ルークとデスフレアは邪神像の前で膝をつくと、リプタリアの人々の為にほんのわずかな時間祈りをささげていつもの日々へと戻って行った。
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