廻道めぐるは決まった道しか散歩しない

卯月春吉

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第6話:上ノ江結人の気持ち

本物のデート

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   夏の日差しはとても簡単じゃあ出られないくらい暑い。
   それにしても東京都心はどうして暑いんだ!
    馬鹿にならないくらい暑いし、すぐにソバカスができるぞって言ってるようなものだろうが!

    私はそう叫びたい。

  
   「オーッス待ったか~!」
   

     気楽にやって来た彼は紺色のタンクトップに緑のチェックの半袖ワイシャツとベージュの半ズボンという流行りの格好をしていた。
    それに比べて私はトレンドの格好はしておらず、小学生の時から着ているキャミソールのピンクの花柄ワンピースというなんとも普通の感じである。

  
   「ううん。」
   「そうか行こうか!」


     渋谷という人混みが密集している街をどうして待ち合わせにしたのか彼なりの理由があった。


     それは1週間前の事────


    
  「なあ!渋谷に行かねぇ?」
  「どうして夏に渋谷なのよ…。」
  「どうせ人なんてあんま来てなさそうだし、それに遠出して旅行へ行く人の方が多いだろ?」
  「そんな事ある訳無いでしょ?遠出しようが何しようが人は沢山いるし、外国人だってちらほら来る事だってあるんだから!」
  


  ────と言ったって聞きゃあしないのが頑固で楽しい事がしたいアイツの事だ…仕方が無いと、私は思った。


     そしてスクランブル交差点へ入るとやはり人がわんさか来る。
    前に後ろにと人が多いとなれば暑さも倍増、それに汗が滝のように流れ込み止まらないのがこの夏の渋谷というものである。



  「なあ中に入って服でも見に行こうか?
    きっとお前に似合う服きっとあるかもしれないぞ?」
   

   “どうせダサい服なんだろ、あたしなんて…”
    

    そんなネガティブな気持ちで私の手が強引に中へと引っ張っていく。
   なんだか勝手に好き放題にやられている気がするとそう思っていると彼はその服を私の方へ向く。



   「う~ん、どれだったらイケるんだろうな…。」



   “ 結局買う気かコイツは!?”



    なんだかまるでショッピングデートじゃんかと思った。
    
    昼食は安いイタリアンファミリーレストランで食べる事となる。



   「いや~お前の服を買っておいて良かった~!」
  「あたし、買って欲しいって言ってないと思うけど?」
  「だってさ、お前の服はいつもお下がりのような格好だからイマドキの女子中学生が着たら馬鹿にされるぞ?」
  「いいの!あたしはその服が一番好きなんだから…。」
  「まったく…。」

  
   “これだから仁花は服装がダサいんだよな…いつも思うけどさ…”


    そう思いながら私達は黙ってパスタを食べた。

    そして複雑な気持ちのまま切り替えて行こうと映画館を誘う。



   「ねぇ!これ見に行こうよ!」
   「何コレ、恋愛ものじゃねぇか…。」
   「ベタだと思うけど、観るととても面白いと思うから見に行こう!」



    そして上映して観ていると、彼は必死に目を開けようと努力して前のめりになって観ている。



   「何、眠いの?」
   「うるせえ、真面目に見ているんだ。」
    

  
     そう言いながら映画を必死に見ようとする。

     最後は主人公の女子高生が好きだった男の子にキスして終わるというハッピーエンドだったが、私は感動して涙が出た。



   「あ~良かった~あの優那っていう人見知りの激しい女の子がやっと好きになって♪」
  「うん、まあな。」
  「うんまあなって…。」
  「俺だったらああいう映画を観るけどな。」


   
    彼が指したのは“人影のバスケ”というものだった。



  「確かにめぐるちゃん好きそう…。」
  「だろ?俺一応アニオタだし、スポーツ系の王道アニメが一番好きなんだ!」
  「そうなんだ…。」
  「今度、アイツら連れて見に行ってこよっ!」


    なんかめぐるちゃんと気が合いそうなきがして私となんか気が合わないんじゃないかと思った。
    
   スイーツを食べ、夕飯を食べてゲームセンターで遊んでなんとか1日が終えた。

   私は最後まで楽しいというものが無く、終わったと思っていたが、彼が私の前に現れて言った。



    「俺、ああいう態度で最後まですれ違いだったけど、楽しかったぜ。
    それにさ、俺は自由奔放でゲーム好きのアニメオタクだったけどお前と初めてのデート、悪くないって思ってきたんだ!
   今日はおしまいだけど、今度は海デートでもしようか!」
  「うん!」

   私はその笑顔でなんだか癒されたように感じた。



     

                                                               続

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