MAGIC JOKER

卯月春吉

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~裁判篇~

036:復帰

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   祖父は2人を連れて来た。
   その場所は孫と遊びに来た唯一の場所をこの話の場所にしたのだ。
   海を久しぶりに見るオールズは言った。



   「懐かしいな~この地平線を見たの!」
   「そうだね~・・・」



    猫おじさんは興味無さそうな感じだが、祖父は2人が何故来たのか不思議に思い質問する。



  「アトラに何か用か?」
  「謝罪をする構えで来ました
    まさか貴方が来ると思っていなかったものですから」
  「そうか・・・
    孫は今、機嫌が余り良くなくてな出て来れない状況なんだ
    アイツは法廷でなんかありましたか?」
  「アトラ君の魔力が調子が悪かったみたいで、私のせいでアトラに罪を着させられて本当に酷いことをしたと思っています・・・」



     自分のせいだと責めるオールズ。
   第三審もアトラが出廷する事になるが、そのアトラがこの状況では何ともできない状況である。

    アトラと長年接してきた祖父がその気持ちを明らかにした。



   「アトラは真っ直ぐで真面目な人思いの優しい子だが短所がある、それは生かしきれない傷ついた気持ちだ
   アイツは1番大きな絶壁が現れた時、登ろうとしますが、何度もトライしても諦めて投げ出したいような傷付き奴なのです
    それにアイツを元気にするにはどうしたらいいのか分からず、儂だけじゃあ彼奴を立ち直る事すらできない・・・」



   猫おじさんは祖父の気持ちを察するかのように答えを出した。



   「私達じゃあどうしようもできないので、ミューラという子に任せて元気付け作戦をするという作戦を考えています」
  「そうすれば、アイツは元気になるのですか?」
  「“はい”とは言いずらいですが、男子は女子の一言に弱いという私の独自の考えですから」
  「成程な・・・」


   
   猫おじさんはスマートフォンでホテルにいるミューラの所へと電話をかけた。



  「もしもし」
  「猫おじさん?アトラは何処にいるか知ってるのか?」
  「アトラのおじいさんの家の中だ
    そこでだ、ミューラを呼び出してアトラをちょっと元気付けさせてくれないか?」
  「いいけど、どうして?」
  「理由は後だ、場所は西の海浜公園に来てくれ」
  「分かった連れて行くよ」
  「待ってる」



   そして電話を切り、その電話の内容が気になって聞いてくる。



   「アトラの家族がなんて?」
   「“分かった連れて行くよ”って」
   「なんだ、それだけか?
     もっと深いものだと思っていたのだが、違ったか・・・」
   


    そして10分後、ミューラを連れてきてラウルが手を振ってやって来た。



  「猫おじさん!!」
  「ラウル・・・ありがとうな」
  「いえ
    このおじいさんは?」



   アトラの祖父とは初めての2人は少々緊張気味であり、硬い表情である。



  「儂はアトラの祖父のマルドー・オルキス、元魔法騎士団の隊長で今は医師として働いておる
   そうえば、お前さん達は?」
  「ラウル・アイランです」
  「ミューラ・アイランです」
  「アトラがいつも世話になってるな」
  「いいえ、アトラ君はいつも僕達を元気にしてくれる明るい子です」
  「そうか良かった良かった」



   なんだか優しい人だと思った2人は本題のアトラの事についてミューラが聞いた。



  「アトラはどんな様子ですか?」
  「儂が言っても全然聞こうとしなくなったからきっとショックを受けているだろうな」
  「そうですか・・・アトラ君に会わせてもいいですか?」
  「いいとも
    リビングの所で元気を無くしているからな、ひょっとしたらお前さんの一言で元気になるかもしれない」



    5人は家へと戻り、4人は廊下で2階へ登る階段の所で待機。
   ミューラだけリビングの中へと入り、2人きりとさせる。
    恐る恐るミューラは声を優しく語りかけるような感じで名前を呼んだ。



  「アトラ・・・」
  「ミューラ?
    どうしてここにお前が来ているんだ?」
  「猫おじさんに呼ばれて私とお兄ちゃんで来たの、何かために出来ることがないかなって思って・・・」



   ミューラは手の指先をクロスさせその間を擦りながら視線から外して話した。
   怒られるかと思いながらどうしようか考えながらアトラの顔をちらっと見つめている。



   「出来る事なんかないよ、俺はもう負けたようなもので法廷には戦えないって思っている
   それに被害者に対して俺はいつまでも容疑者呼ばわりだし、それに俺はもう戦えないって思っているから・・・
   悪いけど、俺を呼び出そうとしたって無理かもしれないから諦めて帰った方がいいよ
    明日俺は欠席して休む事にするよ 」



    アトラは負けていると完全に思っている。
   いつもの気合いはどこへ行ったのやら行方知れずの彼の心を探そうとミューラは言った。



  「容疑者呼ばわりされたから来ないって事?」
  「うん・・・」
  「そんなのアトラじゃない」
  「俺は俺だよ?」
  「アトラはもっと気合いがあって何クソというばかりに敵と戦っているようなそんな強い所を憧れていた・・・
    容疑者呼ばわりされて傷ついたから逃げる?
    そんなの勝ちから逃げているだけじゃない!
     私が見たアトラはそんな事で負けているようなものじゃないって知っているんだから!最後まで勝ってよ・・・」



    ミューラの気持ちは既にもう1人の心のアトラが住んでいるようなもの。
    アトラはそんなミューラが自分の事をそんな目で見ていたなんて知らないまま時を過ごしていた。
    そんな大事な相手に逆ギレを起こす事も無く、ただ彼女の震える手を見つめるしかなかった。
    
    ミューラが帰った後、アトラは1人寝室で考えた。



──────“ミューラが熱く俺に元気つけるだなんて初めて見るが、俺はどうも情けない所をみせてしまった・・・
   どうしようも無いくらい落ち込んでいた・・・
   明日は第三審の裁判だ、何とかこの裁判に勝ってやる!”──────



  
    そう思いながら翌日、第三審の裁判が始まった。
   最初はアトラを謝罪したハリガネが証言台へと立ち、裁判長は振った。
  


  「ハーメリー・ガーネット警部補、貴方は1度アトラ・オルキスを逮捕した刑事
    その逮捕でアトラを裁判で魔法界追放をしたのにどうして彼をもう一度聴取をしたのか証言して下さい」


    
   ハリガネは緊張をほぐすために大きく息を吐き、そして証言した。



  「猫おじさんという探偵が、アトラ・オルキスが無実だと証言してくれました
    最初は嘘を付いていると思いましたが、その探偵の本人の視覚の映像を見て分かったのです
    彼は無実だったと、その証拠が弁護士に渡しました
    上部の警察は信用にならないと」



   上部の警備が信用にならない理由、それは一体どんな事なのかまた次回へと続く──────
    

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