月鏡の畔にて

ruri

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第四話 霞立つ湖

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 ◯

さとるちゃんは偉いよねぇ~~」

 で、その日の昼下がり。伸びきった語尾でニヤけるのは北方きたかたさんだ。珍しく図書館にやって来たので、図書を配架中の私とちょっとした世間話をする。
 何のことだろうと思っていたのがどうやら顔に出ていたらしく、北方さんはさらに目を細めて言う。

「だってさ、暁ちゃんて御影さん一筋でしょう?」
「はっ……は? ハァ!?」
「俺みたく口軽くないし。付き合ってることも他の人に言いふらしたりしてないよねぇ。違う?」

 この人は突然、変なことを言い出したかと思ったら……!
 私をからかうためというよりかは、心の底からそう思っているから出てきた言葉のようだ。逆にタチが悪い。いやいや……どこ見てそんなこと考えてしまうんだろう。あんたの目は節穴ですか!
「付き合ってねえ!」とわめきつつ、あの野郎よりも背の低い北方さんのお腹を軽く何度かぽかぽか殴る。痛い痛いと言うが、にこにこ笑って許してくれた。

「結構バレバレだよ~。俺の職場でも連日話題になってるくらいだもん。お似合いの美男美女だって」
「びなっ、本当ですか。あり得ねぇ……美女? ないない」
「うん。別にウソつく理由ないでしょ?」
「そ、そうですけど! でもあいつの秘密だって知らないことばかりですよ、まだ」
「大丈夫大丈夫、いつかちゃ~~んと教えてくれるよ。暁ちゃんなら絶対いける! 俺も手伝うよ!」

 スキンシップ多めでお馴染みの北方さんが、私の背中を二度ポンポン叩く。中々人慣れしない私からすると恐怖だ。いきなり示されたグッドサインにはたじろいだ。一体どのへんが良かったの? どういうことなの。

「応援してるからね~。御影さんと暁ちゃんからは供給頂いてるよっ」

 満面の笑みでとどめの一言を放たれた。耳疑ったわ。ヤバくない? 過激派でしょ。まさか裏があるんじゃ……。
 応援してくれるのはありがたい。でも果たして相談相手にふさわしいのか? とか今更思ってしまった。ごめんなさい。
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