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第四話 霞立つ湖
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数日して、私は風邪を引いた。しかも結構たちの悪いやつで、急に高熱にうかされ、丸一日休みをとって家(集合住宅の借り部屋)で寝込む程だった。
でも、最近私の周りに体調が優れないと訴える人はいなかったと思う。同僚も上司も元気。昨日会った親友のユーリは風邪なんて滅多に引かないし。
そういえば、三日に一回は必ず喧嘩をふっかけにくる『彼』の姿を最近見ていないような。
不鮮明な脳内にある考えが下りてくる。
ひょっとするとこの風邪は、あの時あいつが本当に熱を出していて、それが移ったのではないか。
ああ。
彼は咄嗟に誤魔化したのだ。
後先考えないで、あの場で私に心配させないために。
「ばかじゃん。うつってんだけど……」
なんだか可笑しい。怒りっぽい性格をしているはずなのに、今は胸の中に負の感情がない。この浮ついた気分や妙に早い心臓の拍動は、熱だけのせいではないのだろう。
あとで絶対にバレる嘘をついて、なんてつめの甘い。逆に愛しいとさえ思えてきた。
これが恋? 生まれて初めての恋愛?
……違う。もう、そんな陳腐な言葉で片付けられる感情じゃない。
四六時中あいつのことを考えてながら、あいつ自身にどう思われようと構いやしない私の、この暴走する心は、一般常識的な恋愛からはかけ離れてるんじゃないのか。ただの独りよがりを血の通った人間にぶつけて、いつだって自分だけが可愛くて、勝手に自己嫌悪して、人を傷つける。
これは、他人の心に神経質過ぎるあまり人に踏み入ることを避け、自分以外の人間を知らないまま大人になってしまったがゆえなのだ。
いびつだ。でももう戻せない。
あいつは結局私の元へ戻って来るから。
こんな感情の化け物みたいな本当の私を、彼が最後には受け入れてくれると、私はなぜかわかっている。これも私の質だ。彼の本心なんて、私にはお見通しだから……。
「……いや、なに考えてんだ。そんなわけないわっ」
そうだ。熱のせいでおかしくなってる。
布団を頭まで被って、丸くなって寝てやった。
数日して、私は風邪を引いた。しかも結構たちの悪いやつで、急に高熱にうかされ、丸一日休みをとって家(集合住宅の借り部屋)で寝込む程だった。
でも、最近私の周りに体調が優れないと訴える人はいなかったと思う。同僚も上司も元気。昨日会った親友のユーリは風邪なんて滅多に引かないし。
そういえば、三日に一回は必ず喧嘩をふっかけにくる『彼』の姿を最近見ていないような。
不鮮明な脳内にある考えが下りてくる。
ひょっとするとこの風邪は、あの時あいつが本当に熱を出していて、それが移ったのではないか。
ああ。
彼は咄嗟に誤魔化したのだ。
後先考えないで、あの場で私に心配させないために。
「ばかじゃん。うつってんだけど……」
なんだか可笑しい。怒りっぽい性格をしているはずなのに、今は胸の中に負の感情がない。この浮ついた気分や妙に早い心臓の拍動は、熱だけのせいではないのだろう。
あとで絶対にバレる嘘をついて、なんてつめの甘い。逆に愛しいとさえ思えてきた。
これが恋? 生まれて初めての恋愛?
……違う。もう、そんな陳腐な言葉で片付けられる感情じゃない。
四六時中あいつのことを考えてながら、あいつ自身にどう思われようと構いやしない私の、この暴走する心は、一般常識的な恋愛からはかけ離れてるんじゃないのか。ただの独りよがりを血の通った人間にぶつけて、いつだって自分だけが可愛くて、勝手に自己嫌悪して、人を傷つける。
これは、他人の心に神経質過ぎるあまり人に踏み入ることを避け、自分以外の人間を知らないまま大人になってしまったがゆえなのだ。
いびつだ。でももう戻せない。
あいつは結局私の元へ戻って来るから。
こんな感情の化け物みたいな本当の私を、彼が最後には受け入れてくれると、私はなぜかわかっている。これも私の質だ。彼の本心なんて、私にはお見通しだから……。
「……いや、なに考えてんだ。そんなわけないわっ」
そうだ。熱のせいでおかしくなってる。
布団を頭まで被って、丸くなって寝てやった。
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