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§04 根濁してマロウブルー
三択邪魔立てピースオブラック
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『おい、あの火柱は何だ! 今何が起きている! 報告しろ! 絶対に独断で動くな賢木響! あ、貴様何をして……』
蜘蛛が紅い糸を吐く。
ぽん。賀茂瓶児が紙の器を被せると、静かになった。
「簡単な結界や。式壊すだけのウィルスに、相撲は気ぃ重いやろ」
「相撲ね……はは……」
響は青い火柱を見上げた。
奥で暴れているのだろうミツダマの本体はよく見えない。その一番の原因は、山全体を覆い、焔へ黒い触手を伸ばす黒い塊のせいだった。焔を押さえ込み、木々への延焼を防ぎ、響達の方へも火が行かないよう抑えている……意図があるかは分からないが、そう見える。
「影」
呼びかけると、わずかに闇が揺らいで黒い腕が伸びてきた。響ひとり丸ごとわし掴みできそうな大きさで、実際響をわし掴みにしてくる。右腕が痛んだ。
「……響くん」
「何?」
「また勝手に身体を使わせて。私はきみにもっと癒着していなければならないんですか? こんなに離れがたいのに」
「何言ってんのか分かんねえ。疲れてんの」
思いの外弱々しい声が聞こえて、つい問えば、肯定らしきうめき声が返ってきた。
「煩わしいんですよ。きみはもっと有害で無才無能に生まれるべきだった」
「ひでぇ。不可抗力ばっかなんだけど。あんた含め」
「それは……いえ、そうですね」
「降りてえの?」
「いえ、続けましょう。きみにも降りる気はなさそうだ」
手が緩んで、響の前に崩れたリボンの山のような形のピオニィが吐き出された。灰にまみれ、焦げた野菜の臭いを発している。
「あ~きっちぃぜ主ぃ~……」
「ピオニィ、働け」
それだけ言って黒い手は完全に引っ込んでいく。響がもう一度呼び掛けても、もう返事は無い。
「んで~? あの炎に飛び込もうっつ~馬ぁ鹿で勇敢な馬鹿は誰だって~の?」
ピオニィはリボン状の身体をかき集め、人間姿に戻してから立ち上がった。つい伸ばした響の手にも灰がどさっと落ちる。
「行きたいってだけなら俺だけど」
「あぁん~?」
「だから俺」
「……オイ~神死に晒せ~。んでこの馬~鹿に根でも生やせ~誰か……」
露骨に面倒そうに言いながら、ピオニィは響の肩に髪を掛けた。
「事態は至極面倒になっちゃったんすよ、ピオニィっち」
よろよろ歩いてきたバンダちゃんが、緑髪とこぼれる灰をはねのけた。フードを被り、着物の上掛けを身を隠すように羽織り隠している。
見回してみれば、少し離れて、こちらに背を向けうずくまるものが二つ。先ほど少しだけ声を発して力尽きたらしい墓標と、着物を着た小さな子供。話で聞いていた胡蝶というビーセトルドのメンバーだろうか。隣に馬喰が屈み、慌てもせず背に手を当てている。命に別条は無さそうだ。と思っていたらバンダちゃんが響の視界に入ってきた。
「……こっちは大丈夫っす。まずこの場のメンバーに必要なのは速やかな情報整頓っすよ。ミツダマっちは、身体を取り戻して、確かに記憶を取り戻してるっす」
「!」
「その直後に暴走。響っち、意味分かるっすか」
「……そのくらい、思い出したのが嫌な記憶だったって事だよな」
言葉を選んで言うと頷かれる。
「だから、響っち。この場を収めるには瓶児様のご助力が必要っすよ。簡単に言うとミツダマっちは暴走した式神みたいな状態になってるっすから」
その辺りは賀茂瓶児に聞いたものが正しいのだろう。
「で、お疲れの瓶児様をミツダマっち本体まで届ける役が必要、っすね?」
「……」
「全部お願いするのは心苦しいんすけど、今ある程度動けるのが響っちしかいないっすね! こちら全滅して申し訳ないっす」
「そうなるにゃろな。今は青闇も呼べん」
瓶児はため息ひとつを扇子の裏からこぼして立ち上がる。
「そ~れも俺様を使ってな」
ピオニィの腕がリボン状にほどけて青い炎の中に飛び込む。グルグルと渦を作って螺旋を描くと、その中に火から守られた筒状の空間が作られた。人ひとりくらいは通れそうだ。
「天才の俺様にゃ~多少『火』に耐性があんだよなぁ~。モノ送り込むくれ~ならしてやるぜぇ~っと、きゃは」
「どう見てもあんた焦げてるけど」
「オイ面倒っ臭ぇなぁ知らねぇ~の苗床ベビーの試験期間中~?」
「今の方が『温度』が低いんすよ多分。外部から大幅なエネルギー投下しないタイプの火はおおむね着火の瞬間が一番温度が高いって話っすよ。発火点までのエネルギーが必要っすから。マッチの温度変化とかで明確な現象っすね」
「はぁ」
「まあピオニィっちの温度変化はマッチと全然違うんっすけど。そしてそしてこういう火は普通の火と燃焼過程が違うんで全く別物……あー駄目っすね。バンダちゃん頭回ってないっす」
「大丈夫か?」
「目の前の問題と治療で回復可能って意味ではOKっすよ」
「あともう一つ分かんねえのが、あの、式神の暴走の火? って火傷するもんなのか?」
「響っち」
バンダちゃんに手を握られる。
「紙が燃えているのを見たら、まずは火傷するものと思って欲しいっす」
「でもあれって幻覚みたいな……」
「火に触れて火傷しなかったら、成功体験じゃなくて再現性の怪しい異常事態っすよ。お子様の教育とかにも多分良くないっす。あと今のバンダちゃんには何が起きたのか分析する余裕がないっす。理解いただけるっすよね?」
「は、はい」
「じゃあ、話を戻して!」
響の手を離して少女は水色の髪をひるがえす。
「①ピオニィっちが道を作る、②響っちが近づく、④は瓶児様にお任せとして、③もう一押し必要っすね。ミツダマっちの隙を作るというか、己を取り戻させる魔法の言葉が必要っす。あ、本当に魔法じゃないっすよ。言葉の綾取りっす」
「魔法の言葉って?」
バンダちゃんは響に囁く。
「は?」
「お願いしてもいいっすか?」
「……いいけど」
「作戦確定っすね」
響の右腕を薄羽蜉蝣の羽のように折り畳んで、その間に賀茂瓶児の式神が収まる。
「枝葉の方が安定した造形なんにゃけんど」
「植物形なんかにしたら腕砕くからな」
「おのれの腕やで」
……身体にしっかりと羽を巻きつけて、ピオニィの作る緑のリボンの筒に身を乗せる。丈夫だ。少し沈む感触があるが安定している。そして火の中に入っても熱くない。
「……気持ち悪ぃ……」
植物性の何かに周囲をギチギチに覆われているという点を除けば怖くない。あと、それがうねって響を火の奥へと押しこんでいく事を除けば。
「このくらいで酔うよなやわやないやろ、おのれ」
「酔ってはねえ」
「……ああ、昔蔓草で死に損なったんやっけ。ほんならおのれ、美路道影はええの?」
「は?」
暇なのか呑気な口調で瓶児は話しかけてくる。
「あれも植物みたいなもんにゃろ。握り潰されてのほほんとしとんのは、なあ」
「あ?」
思ったより大声が出た。
「あれがのほほんとしてるように見えたって!? お前式神ぶっ壊れて視界おかしくなってんじゃねえのか?」
あれほど。あれほど悍ましく、慣れる事のない痛みと恐怖を与えてくる存在を見て、式神越しとはいえ目にして、よくもそんな事が言える。
(……俺のせいもあるけど)
恐怖心を消す変な紋様の紙。あれは、影の優しさだろうか。素直に受け入れていれば今こんなに怯えることにはなっていなかった。だから受け入れる、というつもりは無いが……。
「……ややこしい奴っちゃなぁ。何がしたいん? 悪神頼っても、いっこもええ事あらへんで」
「あ?」
「まあ神やあらへんな。けんど、仲良しこよしとちゃうんなら、信仰にゃろ」
「信仰じゃねえ」
何故か、それまでと違って響の心中がざわついた。
(悪神……いや、あの変な男がそんな事言ってたような……いや、それは大した話じゃなくて……他に何か……)
「……さて、移動中に少しだけ、バンダちゃんの見逃し聞き逃しポイントを探って整理しとくターン取るっすよ。馬喰っち」
水色髪の女子はパンと手を叩いた。呼びかけられた少年は身を引く。
「彼らの助力はしないと言いました」
「お願いっすよ! さっきの春樹っちの通信、何か聞き逃しがたいコメント混ざってた気がしたんすけど、バンダちゃん不調にも聞き逃しちゃったんっす! ウチを助けると思って、記憶の限り復唱して欲しいっす!」
「……わたくしにはそう重要なものには聞こえませんでしたが」
たいそう嫌そうに、少年は棒読みで赤蜘蛛から流れた小折春樹の言葉を繰り返した。
「『あ、貴様何をして』!?……貴様何をして。……」
「バンダちゃん?」
「多分緊急事態っす」
バンダちゃん……芽咲万朶は、封じられた蜘蛛に手を伸ばした。
「春樹っちはもう、響っちやウチを『貴様』と呼ばないっす。ウチの見立てでは、最近、気を抜くと人をそう呼んでしまう事を自覚して、かなーり慎重になってたっす。緊急時でもああいう風に呼んだりしない、賀茂様に対しては元々呼ばない、ミツダマっちの現状も知らない。なら、こっちに呼びかけたんじゃないっすよ、その『貴様』は。向こうで春樹っちに何か起きたんっす」
簡単な結界を破る。被せられた紙の器をひっくり返す。
「十分気を付けているのに、未だに咄嗟に出てしまう『貴様』呼び。相手はお身内っすね!?」
「今何か変な音しなかったか?」
「火ぃの音にゃろ」
「違う音だよ。分かるだろ。とりあえずあんたしばらく黙っててくれ」
だまし絵のように先回りして火を遮ってゆくリボンの筒の奥へ、「ミツダマか?」と声を張る。返事は無いが、燃え方が明らかに変わった。
「ミツダマ、聞こえてるな! いや、聞いてく……」
『っだ!』
急にラジオの音域が合ったように、ミツダマの声が場をつんざいた。思わず耳を押さえれば、手の肉を通り抜けてくる。
『嫌だやだやだもうやめろどうして! 僕がそんなに悪いことをしたか! してないじゃないかふざけるな! だから嫌だって言って仲良くなれたと思ったのに裏切り者! 酷い、ひどい、ただの、僕はただの、助けてくれよあれだけで何をしたっていうんだ僕が! 全部お前のせいだもうどうでもいい! お前がそんなに偉いのか!? こんな酷い事をなんで、お前、お前だけは許さない!!! 許さないゆるさな』
「ミツダマ!」
『ゆるさない――』
「海と山ならどっちがいい!?」
一瞬声が止んだ。
「バンダちゃんは離島巡りもおすすめって言ってる!」
『……?』
声ははっきりと止まった。確かに聞こえている。火が重なって人のような姿が、ちらりと見えた。
「ふたりで約束してたんだろ、自縛から解放されて好きに動けるようになったら、一緒に旅行行こうって! 最初にどこ行きたい?」
『……』
「今決めろってさ」
『今……!?』
「適当でいいだろ。どこがいい?」
そん、な、の。小さく声が聞こえた。必死に耳を澄ます。
『…………し、ま……』
「島だな! 分かった。俺も期末試験全部受かってたら行ってもいいか?」
『あ……』
焔が首を振った。もうほとんど、人間の姿が見えている。
「えーと、それで、その前に色々あって……ミツダマ、とりあえず落ち着いてるうちにこの手に触ってくれないか?」
『っひ、手が……!』
そういえば手ではなく今はトンボの羽だった。
「あーいやこれは……」
『きっ、きみも、紙、なの…… か……』
焔が揺らぐ。
『そ、そうだ、駄目だこんなとこに来ちゃ! 君は逃げて!』
「あ?」
焔が勢いを増した。ピオニィのリボンが巧みに熱気を塞いでくれるが、代わりにミツダマの人影は見えなくなってしまう。
「ピオニィ、これ開け! ミツダマ、聞いてくれ! 陰陽師の奴らはどうにかできる! だから今だけ!」
『違う! 違う、ちがう、ちが、』
「何がだよ! っおい式神って少しなら火大丈夫か? 一か八か風でぶち破ったら触れねえか?」
「無茶苦茶言いよる」
「やるぞ!」
リボンの渦巻きに風を起こして叩きつける。パッと開いた隙間から、ミツダマの顔が見えた。
『違う、びゃくから逃げて!』
「びゃく?」
陰陽師関連のリストにそんな苗字も名前も無かった。ニックネームにもなりそうにない。
『僕のせいだ、君が、君が』
「ミツダマ、落ち着け」
『そもそも僕が、僕の方がよっぽど大人だったのに、君に全部、ああ、あいつさえ、あいつを、』
「ミツダマ!」
また人の形が消えかけている。響は羽の腕を焔の中に突っ込んだ。
「こっちを見ろ!」
重ねられた二枚羽の隙間から賀茂瓶児の式神の紙片が、さら、とこぼれ落ちる。風に舞うようにひらめいて、触れた。
「――やっぱり三又やんか。積もる話は後や、早ぅお還り」
焔が破れる。割れる。砕ける。元からやはり普通の火では無かったのだろう。熱気が急に引き、辺りが静まり返る。宙にふわりと浮き上がったミツダマは、今度は半透明ではない。
(これって、もう触って大丈夫なのか……?)
びぃん。
その時、音を立てて、赤い糸が眼前を横切った。
『っ賢木響! ミツダマを守れ!』
糸電話。震えて届く小折春樹の声。響はとっさに、ためらっていた手をミツダマに伸ばした。
『ひび……』
「悪い!」
蜻蛉の羽と手を打ち合わせるものではない。破けた羽からだいぶ漏れてしまった衝撃は、それでもミツダマをその場から弾き飛ばしてくれた。
……同時に起きた事は二つ。
咄嗟のことに、賀茂瓶児の式神も、ただの紙切れのように吹き飛ばされた。
そして、自動反撃をすり抜け、ひどく細い金属の矢が響の肩に突き刺さった。
「あ……!?」
激痛は後からやってくる。その矢が、矢羽根の付け根で傷口を押し広げ、裂きながら肉を突き抜けていくことで。
「がぁっ」
身体から抜けようとする矢を掴む。触れた所から痺れが広がった。右腕が解ける。解ける? ……蜻蛉の羽が勝手にゆるみ、折り目が広げられ、傷だらけの人間の腕に戻っていく。
(この矢、何だ)
矢は、掴まれても止まらない。響の身体ごと引きずり、金属の軸をしならせながら、その向きをぐるりと変えた。……急に吹き飛ばされ、まだ体勢を整えることもできずにいるミツダマへと。
「んなのありかよ……!」
小折の赤い糸が引き留めるように矢に絡み付く。止まらない。響の両手で掴み、押さえ込んでも止まらない。手が滑る。
身体を折って転がり、ミツダマと矢尻の間にねじ込む。肩から勢い良く外れた矢が、今度は胸に刺さっていく。どこかの骨に刺さって、わずかに動きが鈍る。
「ミツダマ! 逃げ、」
背中に何かが当たった。
「えっ」
『うご、けな……』
骨が折れる。肺をすとんと突き抜けて、矢が背中から飛び出した。矢羽根を掴んだ手の、指先も身に食い込む。
「やめろ」
ざく、と、軽い音がした。クッキーのように脆く。
「やめろ!」
振り向く。身をよじる。身体をひねったことで矢も向きを変える。穴が広がって、肺からどっと息が抜けた。
……それからやっと、怯えた顔のミツダマが目に入る。首から上へ、ひびが入っていくのも。
「ミツダマ!」
咄嗟に響は両手で割れた頭を挟んだ。やけに脆く軽く、がさついたそれは、瞬きをひとつだけ、する。
「や、やるから、分けてやるから……」
「いけません、響くん。もう手遅れです」
身体の内側から、胸の穴から声が聞こえた。
「嘘、だろ……?」
「それより君の手当を。危険な状態ですよ」
心臓から飛び出した黒い蔦が、まだ動こうとする金属の矢を絡め取り、響から抜き取る。肩の傷まで這い伸びて塞ぐ。葉が目を覆った。
そんな事はどうでもいい。自分の身体がどうなっていようと、今はどうでもいい。
「ミツダマ。ミツダマ」
見えずとも分かる。ミツダマの身体はさくさくと砕け、響の手から滑り落ちた。
蜘蛛が紅い糸を吐く。
ぽん。賀茂瓶児が紙の器を被せると、静かになった。
「簡単な結界や。式壊すだけのウィルスに、相撲は気ぃ重いやろ」
「相撲ね……はは……」
響は青い火柱を見上げた。
奥で暴れているのだろうミツダマの本体はよく見えない。その一番の原因は、山全体を覆い、焔へ黒い触手を伸ばす黒い塊のせいだった。焔を押さえ込み、木々への延焼を防ぎ、響達の方へも火が行かないよう抑えている……意図があるかは分からないが、そう見える。
「影」
呼びかけると、わずかに闇が揺らいで黒い腕が伸びてきた。響ひとり丸ごとわし掴みできそうな大きさで、実際響をわし掴みにしてくる。右腕が痛んだ。
「……響くん」
「何?」
「また勝手に身体を使わせて。私はきみにもっと癒着していなければならないんですか? こんなに離れがたいのに」
「何言ってんのか分かんねえ。疲れてんの」
思いの外弱々しい声が聞こえて、つい問えば、肯定らしきうめき声が返ってきた。
「煩わしいんですよ。きみはもっと有害で無才無能に生まれるべきだった」
「ひでぇ。不可抗力ばっかなんだけど。あんた含め」
「それは……いえ、そうですね」
「降りてえの?」
「いえ、続けましょう。きみにも降りる気はなさそうだ」
手が緩んで、響の前に崩れたリボンの山のような形のピオニィが吐き出された。灰にまみれ、焦げた野菜の臭いを発している。
「あ~きっちぃぜ主ぃ~……」
「ピオニィ、働け」
それだけ言って黒い手は完全に引っ込んでいく。響がもう一度呼び掛けても、もう返事は無い。
「んで~? あの炎に飛び込もうっつ~馬ぁ鹿で勇敢な馬鹿は誰だって~の?」
ピオニィはリボン状の身体をかき集め、人間姿に戻してから立ち上がった。つい伸ばした響の手にも灰がどさっと落ちる。
「行きたいってだけなら俺だけど」
「あぁん~?」
「だから俺」
「……オイ~神死に晒せ~。んでこの馬~鹿に根でも生やせ~誰か……」
露骨に面倒そうに言いながら、ピオニィは響の肩に髪を掛けた。
「事態は至極面倒になっちゃったんすよ、ピオニィっち」
よろよろ歩いてきたバンダちゃんが、緑髪とこぼれる灰をはねのけた。フードを被り、着物の上掛けを身を隠すように羽織り隠している。
見回してみれば、少し離れて、こちらに背を向けうずくまるものが二つ。先ほど少しだけ声を発して力尽きたらしい墓標と、着物を着た小さな子供。話で聞いていた胡蝶というビーセトルドのメンバーだろうか。隣に馬喰が屈み、慌てもせず背に手を当てている。命に別条は無さそうだ。と思っていたらバンダちゃんが響の視界に入ってきた。
「……こっちは大丈夫っす。まずこの場のメンバーに必要なのは速やかな情報整頓っすよ。ミツダマっちは、身体を取り戻して、確かに記憶を取り戻してるっす」
「!」
「その直後に暴走。響っち、意味分かるっすか」
「……そのくらい、思い出したのが嫌な記憶だったって事だよな」
言葉を選んで言うと頷かれる。
「だから、響っち。この場を収めるには瓶児様のご助力が必要っすよ。簡単に言うとミツダマっちは暴走した式神みたいな状態になってるっすから」
その辺りは賀茂瓶児に聞いたものが正しいのだろう。
「で、お疲れの瓶児様をミツダマっち本体まで届ける役が必要、っすね?」
「……」
「全部お願いするのは心苦しいんすけど、今ある程度動けるのが響っちしかいないっすね! こちら全滅して申し訳ないっす」
「そうなるにゃろな。今は青闇も呼べん」
瓶児はため息ひとつを扇子の裏からこぼして立ち上がる。
「そ~れも俺様を使ってな」
ピオニィの腕がリボン状にほどけて青い炎の中に飛び込む。グルグルと渦を作って螺旋を描くと、その中に火から守られた筒状の空間が作られた。人ひとりくらいは通れそうだ。
「天才の俺様にゃ~多少『火』に耐性があんだよなぁ~。モノ送り込むくれ~ならしてやるぜぇ~っと、きゃは」
「どう見てもあんた焦げてるけど」
「オイ面倒っ臭ぇなぁ知らねぇ~の苗床ベビーの試験期間中~?」
「今の方が『温度』が低いんすよ多分。外部から大幅なエネルギー投下しないタイプの火はおおむね着火の瞬間が一番温度が高いって話っすよ。発火点までのエネルギーが必要っすから。マッチの温度変化とかで明確な現象っすね」
「はぁ」
「まあピオニィっちの温度変化はマッチと全然違うんっすけど。そしてそしてこういう火は普通の火と燃焼過程が違うんで全く別物……あー駄目っすね。バンダちゃん頭回ってないっす」
「大丈夫か?」
「目の前の問題と治療で回復可能って意味ではOKっすよ」
「あともう一つ分かんねえのが、あの、式神の暴走の火? って火傷するもんなのか?」
「響っち」
バンダちゃんに手を握られる。
「紙が燃えているのを見たら、まずは火傷するものと思って欲しいっす」
「でもあれって幻覚みたいな……」
「火に触れて火傷しなかったら、成功体験じゃなくて再現性の怪しい異常事態っすよ。お子様の教育とかにも多分良くないっす。あと今のバンダちゃんには何が起きたのか分析する余裕がないっす。理解いただけるっすよね?」
「は、はい」
「じゃあ、話を戻して!」
響の手を離して少女は水色の髪をひるがえす。
「①ピオニィっちが道を作る、②響っちが近づく、④は瓶児様にお任せとして、③もう一押し必要っすね。ミツダマっちの隙を作るというか、己を取り戻させる魔法の言葉が必要っす。あ、本当に魔法じゃないっすよ。言葉の綾取りっす」
「魔法の言葉って?」
バンダちゃんは響に囁く。
「は?」
「お願いしてもいいっすか?」
「……いいけど」
「作戦確定っすね」
響の右腕を薄羽蜉蝣の羽のように折り畳んで、その間に賀茂瓶児の式神が収まる。
「枝葉の方が安定した造形なんにゃけんど」
「植物形なんかにしたら腕砕くからな」
「おのれの腕やで」
……身体にしっかりと羽を巻きつけて、ピオニィの作る緑のリボンの筒に身を乗せる。丈夫だ。少し沈む感触があるが安定している。そして火の中に入っても熱くない。
「……気持ち悪ぃ……」
植物性の何かに周囲をギチギチに覆われているという点を除けば怖くない。あと、それがうねって響を火の奥へと押しこんでいく事を除けば。
「このくらいで酔うよなやわやないやろ、おのれ」
「酔ってはねえ」
「……ああ、昔蔓草で死に損なったんやっけ。ほんならおのれ、美路道影はええの?」
「は?」
暇なのか呑気な口調で瓶児は話しかけてくる。
「あれも植物みたいなもんにゃろ。握り潰されてのほほんとしとんのは、なあ」
「あ?」
思ったより大声が出た。
「あれがのほほんとしてるように見えたって!? お前式神ぶっ壊れて視界おかしくなってんじゃねえのか?」
あれほど。あれほど悍ましく、慣れる事のない痛みと恐怖を与えてくる存在を見て、式神越しとはいえ目にして、よくもそんな事が言える。
(……俺のせいもあるけど)
恐怖心を消す変な紋様の紙。あれは、影の優しさだろうか。素直に受け入れていれば今こんなに怯えることにはなっていなかった。だから受け入れる、というつもりは無いが……。
「……ややこしい奴っちゃなぁ。何がしたいん? 悪神頼っても、いっこもええ事あらへんで」
「あ?」
「まあ神やあらへんな。けんど、仲良しこよしとちゃうんなら、信仰にゃろ」
「信仰じゃねえ」
何故か、それまでと違って響の心中がざわついた。
(悪神……いや、あの変な男がそんな事言ってたような……いや、それは大した話じゃなくて……他に何か……)
「……さて、移動中に少しだけ、バンダちゃんの見逃し聞き逃しポイントを探って整理しとくターン取るっすよ。馬喰っち」
水色髪の女子はパンと手を叩いた。呼びかけられた少年は身を引く。
「彼らの助力はしないと言いました」
「お願いっすよ! さっきの春樹っちの通信、何か聞き逃しがたいコメント混ざってた気がしたんすけど、バンダちゃん不調にも聞き逃しちゃったんっす! ウチを助けると思って、記憶の限り復唱して欲しいっす!」
「……わたくしにはそう重要なものには聞こえませんでしたが」
たいそう嫌そうに、少年は棒読みで赤蜘蛛から流れた小折春樹の言葉を繰り返した。
「『あ、貴様何をして』!?……貴様何をして。……」
「バンダちゃん?」
「多分緊急事態っす」
バンダちゃん……芽咲万朶は、封じられた蜘蛛に手を伸ばした。
「春樹っちはもう、響っちやウチを『貴様』と呼ばないっす。ウチの見立てでは、最近、気を抜くと人をそう呼んでしまう事を自覚して、かなーり慎重になってたっす。緊急時でもああいう風に呼んだりしない、賀茂様に対しては元々呼ばない、ミツダマっちの現状も知らない。なら、こっちに呼びかけたんじゃないっすよ、その『貴様』は。向こうで春樹っちに何か起きたんっす」
簡単な結界を破る。被せられた紙の器をひっくり返す。
「十分気を付けているのに、未だに咄嗟に出てしまう『貴様』呼び。相手はお身内っすね!?」
「今何か変な音しなかったか?」
「火ぃの音にゃろ」
「違う音だよ。分かるだろ。とりあえずあんたしばらく黙っててくれ」
だまし絵のように先回りして火を遮ってゆくリボンの筒の奥へ、「ミツダマか?」と声を張る。返事は無いが、燃え方が明らかに変わった。
「ミツダマ、聞こえてるな! いや、聞いてく……」
『っだ!』
急にラジオの音域が合ったように、ミツダマの声が場をつんざいた。思わず耳を押さえれば、手の肉を通り抜けてくる。
『嫌だやだやだもうやめろどうして! 僕がそんなに悪いことをしたか! してないじゃないかふざけるな! だから嫌だって言って仲良くなれたと思ったのに裏切り者! 酷い、ひどい、ただの、僕はただの、助けてくれよあれだけで何をしたっていうんだ僕が! 全部お前のせいだもうどうでもいい! お前がそんなに偉いのか!? こんな酷い事をなんで、お前、お前だけは許さない!!! 許さないゆるさな』
「ミツダマ!」
『ゆるさない――』
「海と山ならどっちがいい!?」
一瞬声が止んだ。
「バンダちゃんは離島巡りもおすすめって言ってる!」
『……?』
声ははっきりと止まった。確かに聞こえている。火が重なって人のような姿が、ちらりと見えた。
「ふたりで約束してたんだろ、自縛から解放されて好きに動けるようになったら、一緒に旅行行こうって! 最初にどこ行きたい?」
『……』
「今決めろってさ」
『今……!?』
「適当でいいだろ。どこがいい?」
そん、な、の。小さく声が聞こえた。必死に耳を澄ます。
『…………し、ま……』
「島だな! 分かった。俺も期末試験全部受かってたら行ってもいいか?」
『あ……』
焔が首を振った。もうほとんど、人間の姿が見えている。
「えーと、それで、その前に色々あって……ミツダマ、とりあえず落ち着いてるうちにこの手に触ってくれないか?」
『っひ、手が……!』
そういえば手ではなく今はトンボの羽だった。
「あーいやこれは……」
『きっ、きみも、紙、なの…… か……』
焔が揺らぐ。
『そ、そうだ、駄目だこんなとこに来ちゃ! 君は逃げて!』
「あ?」
焔が勢いを増した。ピオニィのリボンが巧みに熱気を塞いでくれるが、代わりにミツダマの人影は見えなくなってしまう。
「ピオニィ、これ開け! ミツダマ、聞いてくれ! 陰陽師の奴らはどうにかできる! だから今だけ!」
『違う! 違う、ちがう、ちが、』
「何がだよ! っおい式神って少しなら火大丈夫か? 一か八か風でぶち破ったら触れねえか?」
「無茶苦茶言いよる」
「やるぞ!」
リボンの渦巻きに風を起こして叩きつける。パッと開いた隙間から、ミツダマの顔が見えた。
『違う、びゃくから逃げて!』
「びゃく?」
陰陽師関連のリストにそんな苗字も名前も無かった。ニックネームにもなりそうにない。
『僕のせいだ、君が、君が』
「ミツダマ、落ち着け」
『そもそも僕が、僕の方がよっぽど大人だったのに、君に全部、ああ、あいつさえ、あいつを、』
「ミツダマ!」
また人の形が消えかけている。響は羽の腕を焔の中に突っ込んだ。
「こっちを見ろ!」
重ねられた二枚羽の隙間から賀茂瓶児の式神の紙片が、さら、とこぼれ落ちる。風に舞うようにひらめいて、触れた。
「――やっぱり三又やんか。積もる話は後や、早ぅお還り」
焔が破れる。割れる。砕ける。元からやはり普通の火では無かったのだろう。熱気が急に引き、辺りが静まり返る。宙にふわりと浮き上がったミツダマは、今度は半透明ではない。
(これって、もう触って大丈夫なのか……?)
びぃん。
その時、音を立てて、赤い糸が眼前を横切った。
『っ賢木響! ミツダマを守れ!』
糸電話。震えて届く小折春樹の声。響はとっさに、ためらっていた手をミツダマに伸ばした。
『ひび……』
「悪い!」
蜻蛉の羽と手を打ち合わせるものではない。破けた羽からだいぶ漏れてしまった衝撃は、それでもミツダマをその場から弾き飛ばしてくれた。
……同時に起きた事は二つ。
咄嗟のことに、賀茂瓶児の式神も、ただの紙切れのように吹き飛ばされた。
そして、自動反撃をすり抜け、ひどく細い金属の矢が響の肩に突き刺さった。
「あ……!?」
激痛は後からやってくる。その矢が、矢羽根の付け根で傷口を押し広げ、裂きながら肉を突き抜けていくことで。
「がぁっ」
身体から抜けようとする矢を掴む。触れた所から痺れが広がった。右腕が解ける。解ける? ……蜻蛉の羽が勝手にゆるみ、折り目が広げられ、傷だらけの人間の腕に戻っていく。
(この矢、何だ)
矢は、掴まれても止まらない。響の身体ごと引きずり、金属の軸をしならせながら、その向きをぐるりと変えた。……急に吹き飛ばされ、まだ体勢を整えることもできずにいるミツダマへと。
「んなのありかよ……!」
小折の赤い糸が引き留めるように矢に絡み付く。止まらない。響の両手で掴み、押さえ込んでも止まらない。手が滑る。
身体を折って転がり、ミツダマと矢尻の間にねじ込む。肩から勢い良く外れた矢が、今度は胸に刺さっていく。どこかの骨に刺さって、わずかに動きが鈍る。
「ミツダマ! 逃げ、」
背中に何かが当たった。
「えっ」
『うご、けな……』
骨が折れる。肺をすとんと突き抜けて、矢が背中から飛び出した。矢羽根を掴んだ手の、指先も身に食い込む。
「やめろ」
ざく、と、軽い音がした。クッキーのように脆く。
「やめろ!」
振り向く。身をよじる。身体をひねったことで矢も向きを変える。穴が広がって、肺からどっと息が抜けた。
……それからやっと、怯えた顔のミツダマが目に入る。首から上へ、ひびが入っていくのも。
「ミツダマ!」
咄嗟に響は両手で割れた頭を挟んだ。やけに脆く軽く、がさついたそれは、瞬きをひとつだけ、する。
「や、やるから、分けてやるから……」
「いけません、響くん。もう手遅れです」
身体の内側から、胸の穴から声が聞こえた。
「嘘、だろ……?」
「それより君の手当を。危険な状態ですよ」
心臓から飛び出した黒い蔦が、まだ動こうとする金属の矢を絡め取り、響から抜き取る。肩の傷まで這い伸びて塞ぐ。葉が目を覆った。
そんな事はどうでもいい。自分の身体がどうなっていようと、今はどうでもいい。
「ミツダマ。ミツダマ」
見えずとも分かる。ミツダマの身体はさくさくと砕け、響の手から滑り落ちた。
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