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16と開かれてない謎
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「洗わないと……」
「起きて最初に考えることがそれか」
夕方。目が覚めると自室のベッドに寝ていた。やはり病院に送られるような怪我ではなかったらしい。すぐに頭を起こす。パジャマを着ているのは……服は汚れていたし捜査の証拠品にもなるから、仕方ない。でもこの人がここにいるのは納得がいかない。
「おはよう安全装置。青丹は元気に自宅からの警備に戻ってるよ。今日は来なくていいらしい」
「丹生子さん……」
「いいじゃないか。わたしは一番お前の家にいて安全な人間だよ。少なくとも青丹より」
「青丹さんは危険ではありません」
「そう言うのはお前だけかもな……」
丹生子さんは笑った。抑揚なく。そして僕の頭を叩くように触る。その間一切、甘さも弱さも見せない。いつもの丹生子さんだ。全てを知って余裕を見せている。
「……丹生子さんはご無事でしたか」
「うん。最初に言っておこう。お前と青丹の誘拐は『アドベント』絡みだよ。裏でも事件は起きてたが解決した。詳細を聞くのは回復してからにしてくれ」
「かしこまりました。それから、青丹さんの服に血がついてしまって……」
「さっきから実はそのことばっかり考えてるな、お前。青丹にも、汚れが服に染みて落ちにくくなる前に脱出しようって言ったんだって?」
ばれていた。少し頭に衝撃を受けた程度で、ずいぶん言葉をとり繕えなくなっていたものだ。今なら客観視できる。
「その根性に免じて、丹生子さんがタンパク質汚れ用洗剤ですっぱりしっかり洗って干してあげたよ。いい商品だ」
「ありがとうございます!」
「悪い気はしないけど声デカいな。……それで? どこまで気づいた。言ってごらん」
僕は瞬きをする。意識して回数を増やす。嘘をついたり緊張するときは無意識に減りがちだ。個々人の癖にもよる。今、丹生子さんの膝の上に、青丹さんの付き人に代々引き継がれているノートが置かれているのはなぜだろう。読まれて困ることも、読んで新しく得ることもないはずだ。
「……不動領域の性質について、ですか」
「もう一つ、いや二つ疑ってる事があるだろう。どこまで分かってるのか聞こうか」
「……分かりました」
大した人だ。
気づいただけだ。特に深入りする気はなかった、けど。
心を読める丹生子さんが、あえて僕に喋ってほしいのなら言うしかない。
「不動領域について、僕たちはほとんど何も知りません。知っているのは超能力者だけです。不動領域の形状や性質を克明に認識できるのは超能力者だけなので」
「うん」
克明に性質を調べたような記録も公開されていない。超能力者が結託して嘘をついていれば、不動領域自体が存在しない可能性すらある。でも、過去の死亡事例や超能力者の態度を見れば、本当にあるのだろう。つまり、実在するものについて想像であれこれ言うことになる。そういうのは苦手だ。
「皆さんを嘘つきだと言いたくありませんが、多分……不動領域は多分、僕が何度も聞いてきたような『一定の空間』ではありません。何か……物体Xの周囲、おそらくほんのわずかの空間にのみできるものです。そのXが周囲すべてを覆っていれば、内部から外部、外部から内部へと超能力を使うことはできません。スマホをアルミホイルで包むと電波を遮断できるような状態です。ただし、アルミホイルの内部だけで電波のやり取りを行うことはできますし、アルミホイル……Xがなくなればその場所で通信は復活します」
「こんな感じかな」
丹生子さんが光を操って空中に図を描いてくれる。言っていないのに重要な図をもう一つ。超能力者の全身にXを塗れば、その人は超能力がほとんど全て使えなくなるだろう。
「根拠は?」
「青丹さんは倉庫内で念動力を使って僕が転倒するのを防いでくれました。不動領域『内』では超能力を使えないというのは明らかな嘘です」
「なるほど」
細かな性質について僕が当てる必要はない。
「……物体Xの、はっきり分かる特徴は二つ。まず壁や床に付着・乾燥させることが可能、取り除くことも可能です」
不動領域は、動かすことができる。
僕と青丹さんが閉じこめられたあのとき、青丹さんは、扉の隙間から空気を押し出して音を鳴らした。超能力で倉庫の外に干渉したのは、僕が扉の隙間を洗い、拭き取った後だ。あのとき、わずかに不動領域に隙間ができて、超能力念動力を押しこむことができるようになった。つまり。
「そして物体Xはオキシドールと反応し、おそらく酸素の泡を作ります。傷口に消毒液としてオキシドールを掛けたときと同じ反応。僕は、Xは血か、血に近い成分だと思います」
正確には血液の中に含まれる、オキシドールを酸素と水素に分解する酵素の性質を持つもの。乾燥した血の掃除でもよく見る光景だ。普段なら臭いでも分かったろうけど、自分の出血と意識の不明瞭のせいですぐには気づかなかった。
「血か。お前の怪我の血と混ざって反応しちゃったんじゃないか?」
「床にまだらな血の落ちた跡などが無いことは反射で確認しました。それに天井や壁まで反応を確認済です」
犯人に僕の血を薄めて倉庫全体に塗り広げる趣味があったとも思えない。あったとしても、たぶん量が足りない。
「なるほど。ところでお前、なぜいつも靴にオキシドールなんて入れてる」
「緊急時の消毒用と緊急時の血のシミ抜き用です。タンパク質を含む血餅状態になった血を衣服から剥がすのにも適しているんです」
今回は漏れていたせいで量が足りず、青丹さんの衣服の血のシミ抜きは諦めた。それより倉庫に血がついていて様々な衛生的なリスクがあると確定させる方を優先した。
丹生子さんは肩をすくめてみせた。
「分かった、お前は大したやつだよ。じゃあ次の話に移ろう」
「移っても良いんですか?」
「わたしの超能力はよく理解してるだろう。わたしの失言でお前が勘づいたとき、すぐにわたしは自分の失敗を知る。……もう分かってるなら言っちまえってこと」
少し乱暴な話だ。
「……どちらも確信がありません」
「情報が足りない?」
「知らないようにしていたので」
「お前ね。それ堂々と言えるの、普通、開き直った不勉強者だけだよ」
「はい、開き直っています」
「……お前が本当に何か知ってしまいそうなときカムバックして避けてきたのは知ってる。分かった」
分かってもらえた。これ以上何も聞かずに解放してもらえるだろうか。
「これを」
付き人心得のノートを返された。
「私の知っていることを少しだけ書き足しておいた。読みたまえ」
「あの……」
「読め。お前が普通にしていればさして障害なく得られた程度しか載ってない」
……ここに丹生子さんがいる以上悪あがきは無駄だ。
「拝見します」
ノートを開く。開きやすくなっているページをめくる。モノリスさんとその弟さん、二人の付き人さんについて。とある故人について。ノートを閉じる。
困った。困ったことを察してさっそく丹生子さんが楽しそうにしている。参る。
「これでどうかな」
「……想像ですが……予知能力者のモノリスさんとコーテスさんには大きな隠し事があるのではと、思います。その……」
「『超能力について』」
「はい。その……前に、受け手の力と干渉する力のバランスが崩れると超能力者は不安定になるという話をしていましたよね」
「うん」
「あの後考えていました。双子を除くと、超能力者はエスパーとサイキックの力の強さがほぼ揃っている方が多いと」
超能力者には双子が多いから、あまり目立たなかった。
丹生子さんはエスパーの透視や読心に比べ、サイキックの光を操る能力があまりに小さい。バランスが悪い。青丹さんはどちらも非常に強力とされるけど、一帯の天気を変えるほどの念動力は強すぎる。
残留思念知が弱いとされる鹿猪鶴姫さんには生まれて間もなく亡くなった双子の妹さんがいる。
モノリスさんとユーミスさんは双子。この二人はどちらも超能力のバランスが悪い。
「それで?」
「あの、本当にここから妄想のようなものです。……双子の超能力を合わせると、エスパーとサイキックのバランスが釣り合いませんか」
根拠はほんの一つ、丹生子さんと青丹さんの例だけ。透視や光を操る能力は青丹さんの超能力と似たものがある。二人の力が一つだったとしたら、近くの人の心しか読めない読心も、遠隔視聴と合わせて遠くの人の心を読める力だったかもしれない。青丹さんが念動力で光を操るのを見たことはない。青丹さんにはできないのかもしれない。
「……」
「超能力は双子で分け合うように現れるとすると、モノリスさんとコーテスさんの力を合わせたときにサイキックの力がかなり弱くなります」
モノリスさんはエスパーの予知のみで、コーテスさんはエスパーの過去知に、サイキックの弱い念動力。サイキックが弱すぎる。
妄想だ。恥を捨ててもう一歩都合よく考える。双子のどちらかが予知ほどに強いサイキック能力を持っていて、隠している可能性はないだろうか? おそらくコーテスさんの方が。
「なぜそちらだと?」
「素人目には予知の方が重要な能力に見えますが、リテさんという付き人の方は、モノリスさんがこれだけ滞在しているのに来訪される気配もありません。丹生子さんの情報が正しければ、今もコーテスさんの付き人として留まっていることになります」
「……あのねお前、付き人ってのは護衛じゃないんだよ」
「必要になれば護衛もします」
その言葉が出るなら、コーテスさんはただ強力なだけでなく、とりわけ護衛が欠かせないような能力を持っている。答えは出たようなものだ。
「あー今の言い方はミスだったか。……まあ、ここまで『妄想』ができてるなら、モノリスも納得してくれるだろう」
丹生子さんはため息をついた。たぶん疲労や心情を反映したものではなく、息継ぎのために。
「……コーテスさんには、血の周囲が不動領域になる、といったような特殊なサイキック能力がありますか? そのため、争いを生みかねない超能力の存在を隠し、ほんのわずかでも怪我をしないように付き人をつけて、気をつけた生活をしていますか」
「……ほぼ正解だよ。お前やっぱり探偵に」
「なりません」
丹生子さんに導いてもらってようやく決めたゴールだ。めまいがしてくる。
血を流さないどころではない。超能力者から見たコーテスさんは、人型の動く不動領域だ。姿を見られるだけでもリスクだろう。
「それで……言わなければいけませんか」
「お前だって気になってるだろう、さすがに」
言いたくないのに青丹さんは止めてくれない。絶対に今、僕と丹生子さんのやり取りを聞いているはずなのに、サイドテーブルに置いた腕時計を念動力で揺らすことすらしない。
「……水を飲んできても?」
「どうぞ」
丹生子さんは水飲みと言いつつ着替えてコーヒーを淹れてきた僕を茶化さなかった。さすがに緊張している。
「2つ追加で確認させてください。この世の不動領域は、全てコーテスさんのような超能力者の血によるものですか」
「全てじゃない。大西洋の中央海嶺の底とかエベレストの山頂付近とか警視庁の蜂庫部屋らへんとか、超能力者が誕生する前から存在する自然の不動領域はある。未確認のものも含めて地球上に推定数万地点」
……蜂庫さんの部屋が超能力者の透視聴を防ぐ仕様だとは知らなかった。大昔から不動領域があるというのは、たぶん適当に言っているんじゃない。過去知のような超能力で、遡って調べることはできる。超能力者にとっての脅威を調べないわけがない。
「ただ、それ以外の全ての不動領域は特殊な超能力者の血でできてる。自分の血の散った範囲を不動領域にするサイキック。ものの本じゃアンチPSIとかって呼ぶんじゃないか。効果を自分じゃ操作できない能力だよ」
自分の意思で効果の強さや発現するかどうかを変えられない。不便だろう。そして強力だ。予知のエスパーと釣り合う。
「過去の超能力者の血のストックを盗めれば、犯人が持っている可能性はあるかもな」
たぶん持っているだろう。
「もう一つ。こちらに書かれた、ジョゼファスさん……ジョゼファス・ラッキーさんという方は、昔、不動領域に気づかず転落して亡くなったという飛行能力者ですか」
「そうだよ」
丹生子さんは目を細めた。猫がするように。
「不動領域が人為的に作れるものだとするなら、その事故には事件の可能性が生まれます」
「うん」
詳細を知らなくとも、彼のエスパー、危機察知というのが、通常あり得る事故を防ぐ超能力なのは間違いない。
「事実はどうあれ、ラッキーさんのご家族などが超能力者を恨む可能性はあります。これが事件なら犯人は超能力者の可能性が高いので」
「うんうん」
補強として付け加えるまでもなく、犯人がたびたび使う幸運数はその姓を示唆している。丹生子さんがノートにわざわざラッキーさんの情報を書き加えたのも、丹生子さん自身に心当たりがあるから……事件の背後にこの人があると確信しているから。
「だから分かりません。丹生子さんが狙われている理由が」
僕は手の甲を上にして、左手の指先を丹生子さんに差し出す。
「2個目のアドベントの爆弾を解体したとき、最後は長さの違う5本の線から1本を選ぶ仕掛けでした。思い出すと、あの長さのばらつきは指の長さを誇張したものに見えました。『式場』の爆弾もそうです。正解はどれも右から2番目」
丹生子さんから見て。左手の薬指だ。
「犯人が結婚式の真似ごとをさせようとしたのも、新婦役に丹生子さんを指定し新郎役を射抜こうとしたのも、ラッキーさんを意図しているように感じます」
最後に一言、蛇足を加えてみる。
「……『ジョー』と呼んでいたんですか? ラッキーさんのことを」
丹生子さんは「気分が乗ったときだけだったよ」と肩をすくめた。
「普段は『サメ』か『スーパーボール』か『犬歯』」
「あだ名が?」
「愛称が」
デカフェのコーヒーを飲んで一息つく。甘く香るのは香料ではなく豆の特性。そういえば丹生子さんと一緒に飲むのは初めてだ。
「……わたしらは非超者に全く遠慮していなくてね。かなり好きにしてる方だ。青丹も似た意見だろう」
丹生子さんはどう話すべきか迷っている風だった。
「だからせめて超能力者連合の緊急招集にはしっかり応じることにしてるんだ」
「緊急招集?」
「リモートだけどね。連合に属する全員を集めて重大案件を議論する、超能力者だけの秘密の会合だよ。ただしあの日はジョゼファス・ラッキーにも秘密でやった」
「……」
「ジョーの処遇が議題になった日のことはよく覚えてる。あいつは超能力者の存在を隠す上でも、倫理的にも、大変な犯罪をやらかしたんだ。隠蔽と後始末に関係者全員が駆り出されてなお全く収まらないくらいのね」
丹生子さんは……困惑する僕を楽しそうに眺めながら話している。なんて人だろう。
「わたしと青丹も当時、超能力者会合で出た結論に承認の電子サインをかました。未だに後悔はしてないよ。それで何も知らないラッキーが飛んでる場所に血を撒いた」
「……」
「いい具合に薄めてスプレーとかで噴霧したらしい。同じ浮遊持ちや念動持ちを実行犯にして、姿を消せる超能力者とかも使った」
空中でいきなり飛行の超能力を失えば落ちるしかない。その範囲は不動領域となり、範囲から逃れても全身に血を浴びたことで超能力を使えなくなっている。血。現場は血まみれだった。降り注いでも混ざってしまい一見区別がつかない。
「それでまあ、超能力者至上主義社会を作りたくて色々進んでいたらしい計画は完璧に潰したわけだ」
「……」
「スーパーボールときたら悪いやつだからね。いくらわたしの恋人だったとしてもあれはいけない。ははは」
丹生子さんはさらりと言ってのけた。
「分かっていたんですか。最初から全部」
「いや全然。幸運数に気づいたときはウケたし逆に偶然じゃないかと深読みしたくらいだ。何を考えてアドベントなんてやってるんだか、さっぱり分からなかった」
「今は分かりますか?」
「いや全然。思想はだだ漏れなのに意図は頑なに閉ざしてるって感じだ。感性ズレてるところは愛いんだけどな」
丹生子さんのそれは、無理に言った言葉とは思えなかった。
読心を持たない僕にも分かる。この謎は、丹生子さんに、超能力者に対して心を閉ざしている。
「僕は、しばらく何も知らないことにしても構いませんか」
「いいよ。モノリスにだけ言っとく。……さて、グロい話はおしまいだが、ところでお前、自分が軽傷だと思ってるだろう」
「はい」
「お前はほぼ丸二日寝てるし、寝てる間に医者に診せてるからね」
「……」
「気づかなかったろ」
「それは」
それはずるい。腕時計の日付表示を弄って二日前に戻しておいて、気づかなかっただろうと言うのは。夕陽の射す時刻と角度までは覚えていない。丹生子さんはまた「ははは」と笑った。
「今日のアドベントはお前に手伝わせるまでもないから終わらせといた。お前はとにかく休みな。安全装置が動作不良じゃ安心して青丹も寝れない」
「安全装置ではありません」
「安全装置だよ、お前は」
__________
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「起きて最初に考えることがそれか」
夕方。目が覚めると自室のベッドに寝ていた。やはり病院に送られるような怪我ではなかったらしい。すぐに頭を起こす。パジャマを着ているのは……服は汚れていたし捜査の証拠品にもなるから、仕方ない。でもこの人がここにいるのは納得がいかない。
「おはよう安全装置。青丹は元気に自宅からの警備に戻ってるよ。今日は来なくていいらしい」
「丹生子さん……」
「いいじゃないか。わたしは一番お前の家にいて安全な人間だよ。少なくとも青丹より」
「青丹さんは危険ではありません」
「そう言うのはお前だけかもな……」
丹生子さんは笑った。抑揚なく。そして僕の頭を叩くように触る。その間一切、甘さも弱さも見せない。いつもの丹生子さんだ。全てを知って余裕を見せている。
「……丹生子さんはご無事でしたか」
「うん。最初に言っておこう。お前と青丹の誘拐は『アドベント』絡みだよ。裏でも事件は起きてたが解決した。詳細を聞くのは回復してからにしてくれ」
「かしこまりました。それから、青丹さんの服に血がついてしまって……」
「さっきから実はそのことばっかり考えてるな、お前。青丹にも、汚れが服に染みて落ちにくくなる前に脱出しようって言ったんだって?」
ばれていた。少し頭に衝撃を受けた程度で、ずいぶん言葉をとり繕えなくなっていたものだ。今なら客観視できる。
「その根性に免じて、丹生子さんがタンパク質汚れ用洗剤ですっぱりしっかり洗って干してあげたよ。いい商品だ」
「ありがとうございます!」
「悪い気はしないけど声デカいな。……それで? どこまで気づいた。言ってごらん」
僕は瞬きをする。意識して回数を増やす。嘘をついたり緊張するときは無意識に減りがちだ。個々人の癖にもよる。今、丹生子さんの膝の上に、青丹さんの付き人に代々引き継がれているノートが置かれているのはなぜだろう。読まれて困ることも、読んで新しく得ることもないはずだ。
「……不動領域の性質について、ですか」
「もう一つ、いや二つ疑ってる事があるだろう。どこまで分かってるのか聞こうか」
「……分かりました」
大した人だ。
気づいただけだ。特に深入りする気はなかった、けど。
心を読める丹生子さんが、あえて僕に喋ってほしいのなら言うしかない。
「不動領域について、僕たちはほとんど何も知りません。知っているのは超能力者だけです。不動領域の形状や性質を克明に認識できるのは超能力者だけなので」
「うん」
克明に性質を調べたような記録も公開されていない。超能力者が結託して嘘をついていれば、不動領域自体が存在しない可能性すらある。でも、過去の死亡事例や超能力者の態度を見れば、本当にあるのだろう。つまり、実在するものについて想像であれこれ言うことになる。そういうのは苦手だ。
「皆さんを嘘つきだと言いたくありませんが、多分……不動領域は多分、僕が何度も聞いてきたような『一定の空間』ではありません。何か……物体Xの周囲、おそらくほんのわずかの空間にのみできるものです。そのXが周囲すべてを覆っていれば、内部から外部、外部から内部へと超能力を使うことはできません。スマホをアルミホイルで包むと電波を遮断できるような状態です。ただし、アルミホイルの内部だけで電波のやり取りを行うことはできますし、アルミホイル……Xがなくなればその場所で通信は復活します」
「こんな感じかな」
丹生子さんが光を操って空中に図を描いてくれる。言っていないのに重要な図をもう一つ。超能力者の全身にXを塗れば、その人は超能力がほとんど全て使えなくなるだろう。
「根拠は?」
「青丹さんは倉庫内で念動力を使って僕が転倒するのを防いでくれました。不動領域『内』では超能力を使えないというのは明らかな嘘です」
「なるほど」
細かな性質について僕が当てる必要はない。
「……物体Xの、はっきり分かる特徴は二つ。まず壁や床に付着・乾燥させることが可能、取り除くことも可能です」
不動領域は、動かすことができる。
僕と青丹さんが閉じこめられたあのとき、青丹さんは、扉の隙間から空気を押し出して音を鳴らした。超能力で倉庫の外に干渉したのは、僕が扉の隙間を洗い、拭き取った後だ。あのとき、わずかに不動領域に隙間ができて、超能力念動力を押しこむことができるようになった。つまり。
「そして物体Xはオキシドールと反応し、おそらく酸素の泡を作ります。傷口に消毒液としてオキシドールを掛けたときと同じ反応。僕は、Xは血か、血に近い成分だと思います」
正確には血液の中に含まれる、オキシドールを酸素と水素に分解する酵素の性質を持つもの。乾燥した血の掃除でもよく見る光景だ。普段なら臭いでも分かったろうけど、自分の出血と意識の不明瞭のせいですぐには気づかなかった。
「血か。お前の怪我の血と混ざって反応しちゃったんじゃないか?」
「床にまだらな血の落ちた跡などが無いことは反射で確認しました。それに天井や壁まで反応を確認済です」
犯人に僕の血を薄めて倉庫全体に塗り広げる趣味があったとも思えない。あったとしても、たぶん量が足りない。
「なるほど。ところでお前、なぜいつも靴にオキシドールなんて入れてる」
「緊急時の消毒用と緊急時の血のシミ抜き用です。タンパク質を含む血餅状態になった血を衣服から剥がすのにも適しているんです」
今回は漏れていたせいで量が足りず、青丹さんの衣服の血のシミ抜きは諦めた。それより倉庫に血がついていて様々な衛生的なリスクがあると確定させる方を優先した。
丹生子さんは肩をすくめてみせた。
「分かった、お前は大したやつだよ。じゃあ次の話に移ろう」
「移っても良いんですか?」
「わたしの超能力はよく理解してるだろう。わたしの失言でお前が勘づいたとき、すぐにわたしは自分の失敗を知る。……もう分かってるなら言っちまえってこと」
少し乱暴な話だ。
「……どちらも確信がありません」
「情報が足りない?」
「知らないようにしていたので」
「お前ね。それ堂々と言えるの、普通、開き直った不勉強者だけだよ」
「はい、開き直っています」
「……お前が本当に何か知ってしまいそうなときカムバックして避けてきたのは知ってる。分かった」
分かってもらえた。これ以上何も聞かずに解放してもらえるだろうか。
「これを」
付き人心得のノートを返された。
「私の知っていることを少しだけ書き足しておいた。読みたまえ」
「あの……」
「読め。お前が普通にしていればさして障害なく得られた程度しか載ってない」
……ここに丹生子さんがいる以上悪あがきは無駄だ。
「拝見します」
ノートを開く。開きやすくなっているページをめくる。モノリスさんとその弟さん、二人の付き人さんについて。とある故人について。ノートを閉じる。
困った。困ったことを察してさっそく丹生子さんが楽しそうにしている。参る。
「これでどうかな」
「……想像ですが……予知能力者のモノリスさんとコーテスさんには大きな隠し事があるのではと、思います。その……」
「『超能力について』」
「はい。その……前に、受け手の力と干渉する力のバランスが崩れると超能力者は不安定になるという話をしていましたよね」
「うん」
「あの後考えていました。双子を除くと、超能力者はエスパーとサイキックの力の強さがほぼ揃っている方が多いと」
超能力者には双子が多いから、あまり目立たなかった。
丹生子さんはエスパーの透視や読心に比べ、サイキックの光を操る能力があまりに小さい。バランスが悪い。青丹さんはどちらも非常に強力とされるけど、一帯の天気を変えるほどの念動力は強すぎる。
残留思念知が弱いとされる鹿猪鶴姫さんには生まれて間もなく亡くなった双子の妹さんがいる。
モノリスさんとユーミスさんは双子。この二人はどちらも超能力のバランスが悪い。
「それで?」
「あの、本当にここから妄想のようなものです。……双子の超能力を合わせると、エスパーとサイキックのバランスが釣り合いませんか」
根拠はほんの一つ、丹生子さんと青丹さんの例だけ。透視や光を操る能力は青丹さんの超能力と似たものがある。二人の力が一つだったとしたら、近くの人の心しか読めない読心も、遠隔視聴と合わせて遠くの人の心を読める力だったかもしれない。青丹さんが念動力で光を操るのを見たことはない。青丹さんにはできないのかもしれない。
「……」
「超能力は双子で分け合うように現れるとすると、モノリスさんとコーテスさんの力を合わせたときにサイキックの力がかなり弱くなります」
モノリスさんはエスパーの予知のみで、コーテスさんはエスパーの過去知に、サイキックの弱い念動力。サイキックが弱すぎる。
妄想だ。恥を捨ててもう一歩都合よく考える。双子のどちらかが予知ほどに強いサイキック能力を持っていて、隠している可能性はないだろうか? おそらくコーテスさんの方が。
「なぜそちらだと?」
「素人目には予知の方が重要な能力に見えますが、リテさんという付き人の方は、モノリスさんがこれだけ滞在しているのに来訪される気配もありません。丹生子さんの情報が正しければ、今もコーテスさんの付き人として留まっていることになります」
「……あのねお前、付き人ってのは護衛じゃないんだよ」
「必要になれば護衛もします」
その言葉が出るなら、コーテスさんはただ強力なだけでなく、とりわけ護衛が欠かせないような能力を持っている。答えは出たようなものだ。
「あー今の言い方はミスだったか。……まあ、ここまで『妄想』ができてるなら、モノリスも納得してくれるだろう」
丹生子さんはため息をついた。たぶん疲労や心情を反映したものではなく、息継ぎのために。
「……コーテスさんには、血の周囲が不動領域になる、といったような特殊なサイキック能力がありますか? そのため、争いを生みかねない超能力の存在を隠し、ほんのわずかでも怪我をしないように付き人をつけて、気をつけた生活をしていますか」
「……ほぼ正解だよ。お前やっぱり探偵に」
「なりません」
丹生子さんに導いてもらってようやく決めたゴールだ。めまいがしてくる。
血を流さないどころではない。超能力者から見たコーテスさんは、人型の動く不動領域だ。姿を見られるだけでもリスクだろう。
「それで……言わなければいけませんか」
「お前だって気になってるだろう、さすがに」
言いたくないのに青丹さんは止めてくれない。絶対に今、僕と丹生子さんのやり取りを聞いているはずなのに、サイドテーブルに置いた腕時計を念動力で揺らすことすらしない。
「……水を飲んできても?」
「どうぞ」
丹生子さんは水飲みと言いつつ着替えてコーヒーを淹れてきた僕を茶化さなかった。さすがに緊張している。
「2つ追加で確認させてください。この世の不動領域は、全てコーテスさんのような超能力者の血によるものですか」
「全てじゃない。大西洋の中央海嶺の底とかエベレストの山頂付近とか警視庁の蜂庫部屋らへんとか、超能力者が誕生する前から存在する自然の不動領域はある。未確認のものも含めて地球上に推定数万地点」
……蜂庫さんの部屋が超能力者の透視聴を防ぐ仕様だとは知らなかった。大昔から不動領域があるというのは、たぶん適当に言っているんじゃない。過去知のような超能力で、遡って調べることはできる。超能力者にとっての脅威を調べないわけがない。
「ただ、それ以外の全ての不動領域は特殊な超能力者の血でできてる。自分の血の散った範囲を不動領域にするサイキック。ものの本じゃアンチPSIとかって呼ぶんじゃないか。効果を自分じゃ操作できない能力だよ」
自分の意思で効果の強さや発現するかどうかを変えられない。不便だろう。そして強力だ。予知のエスパーと釣り合う。
「過去の超能力者の血のストックを盗めれば、犯人が持っている可能性はあるかもな」
たぶん持っているだろう。
「もう一つ。こちらに書かれた、ジョゼファスさん……ジョゼファス・ラッキーさんという方は、昔、不動領域に気づかず転落して亡くなったという飛行能力者ですか」
「そうだよ」
丹生子さんは目を細めた。猫がするように。
「不動領域が人為的に作れるものだとするなら、その事故には事件の可能性が生まれます」
「うん」
詳細を知らなくとも、彼のエスパー、危機察知というのが、通常あり得る事故を防ぐ超能力なのは間違いない。
「事実はどうあれ、ラッキーさんのご家族などが超能力者を恨む可能性はあります。これが事件なら犯人は超能力者の可能性が高いので」
「うんうん」
補強として付け加えるまでもなく、犯人がたびたび使う幸運数はその姓を示唆している。丹生子さんがノートにわざわざラッキーさんの情報を書き加えたのも、丹生子さん自身に心当たりがあるから……事件の背後にこの人があると確信しているから。
「だから分かりません。丹生子さんが狙われている理由が」
僕は手の甲を上にして、左手の指先を丹生子さんに差し出す。
「2個目のアドベントの爆弾を解体したとき、最後は長さの違う5本の線から1本を選ぶ仕掛けでした。思い出すと、あの長さのばらつきは指の長さを誇張したものに見えました。『式場』の爆弾もそうです。正解はどれも右から2番目」
丹生子さんから見て。左手の薬指だ。
「犯人が結婚式の真似ごとをさせようとしたのも、新婦役に丹生子さんを指定し新郎役を射抜こうとしたのも、ラッキーさんを意図しているように感じます」
最後に一言、蛇足を加えてみる。
「……『ジョー』と呼んでいたんですか? ラッキーさんのことを」
丹生子さんは「気分が乗ったときだけだったよ」と肩をすくめた。
「普段は『サメ』か『スーパーボール』か『犬歯』」
「あだ名が?」
「愛称が」
デカフェのコーヒーを飲んで一息つく。甘く香るのは香料ではなく豆の特性。そういえば丹生子さんと一緒に飲むのは初めてだ。
「……わたしらは非超者に全く遠慮していなくてね。かなり好きにしてる方だ。青丹も似た意見だろう」
丹生子さんはどう話すべきか迷っている風だった。
「だからせめて超能力者連合の緊急招集にはしっかり応じることにしてるんだ」
「緊急招集?」
「リモートだけどね。連合に属する全員を集めて重大案件を議論する、超能力者だけの秘密の会合だよ。ただしあの日はジョゼファス・ラッキーにも秘密でやった」
「……」
「ジョーの処遇が議題になった日のことはよく覚えてる。あいつは超能力者の存在を隠す上でも、倫理的にも、大変な犯罪をやらかしたんだ。隠蔽と後始末に関係者全員が駆り出されてなお全く収まらないくらいのね」
丹生子さんは……困惑する僕を楽しそうに眺めながら話している。なんて人だろう。
「わたしと青丹も当時、超能力者会合で出た結論に承認の電子サインをかました。未だに後悔はしてないよ。それで何も知らないラッキーが飛んでる場所に血を撒いた」
「……」
「いい具合に薄めてスプレーとかで噴霧したらしい。同じ浮遊持ちや念動持ちを実行犯にして、姿を消せる超能力者とかも使った」
空中でいきなり飛行の超能力を失えば落ちるしかない。その範囲は不動領域となり、範囲から逃れても全身に血を浴びたことで超能力を使えなくなっている。血。現場は血まみれだった。降り注いでも混ざってしまい一見区別がつかない。
「それでまあ、超能力者至上主義社会を作りたくて色々進んでいたらしい計画は完璧に潰したわけだ」
「……」
「スーパーボールときたら悪いやつだからね。いくらわたしの恋人だったとしてもあれはいけない。ははは」
丹生子さんはさらりと言ってのけた。
「分かっていたんですか。最初から全部」
「いや全然。幸運数に気づいたときはウケたし逆に偶然じゃないかと深読みしたくらいだ。何を考えてアドベントなんてやってるんだか、さっぱり分からなかった」
「今は分かりますか?」
「いや全然。思想はだだ漏れなのに意図は頑なに閉ざしてるって感じだ。感性ズレてるところは愛いんだけどな」
丹生子さんのそれは、無理に言った言葉とは思えなかった。
読心を持たない僕にも分かる。この謎は、丹生子さんに、超能力者に対して心を閉ざしている。
「僕は、しばらく何も知らないことにしても構いませんか」
「いいよ。モノリスにだけ言っとく。……さて、グロい話はおしまいだが、ところでお前、自分が軽傷だと思ってるだろう」
「はい」
「お前はほぼ丸二日寝てるし、寝てる間に医者に診せてるからね」
「……」
「気づかなかったろ」
「それは」
それはずるい。腕時計の日付表示を弄って二日前に戻しておいて、気づかなかっただろうと言うのは。夕陽の射す時刻と角度までは覚えていない。丹生子さんはまた「ははは」と笑った。
「今日のアドベントはお前に手伝わせるまでもないから終わらせといた。お前はとにかく休みな。安全装置が動作不良じゃ安心して青丹も寝れない」
「安全装置ではありません」
「安全装置だよ、お前は」
__________
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