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第1章
61.ガイ─3人の心臓の止まった瞬間。
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ユキが部屋から出ていって欲しいと望んでいるので、3人で部屋から出て行き下の食堂で夕食を頼んで時間を潰すことにした。
「お兄さん達、朝の子はもう大丈夫?」
すると朝に水を持ってきてくれたりと色々心配してくれていた店員の女性が声をかけてきた。
「…まぁ、大丈夫、ではないかな。今は大分落ち着いたみたいだけど……」
「そうだな。さっきもまた吐かせてしまったし」
ライとノアの不安げな答えに女性は、心配そうな表情をして、“お大事にと伝えておいて下さい”と言い仕事に戻って行った。
正直何故あそこまで体調が悪くなったのか分からない。
吐いて直ぐに医者を呼んでみてもらった。すると初めは『恐らく胃がびっくりしたのかと…』と言われた。その時は納得したのだ。急に肉を食ったのだからそうなっても不思議ではなかったから。ただ、なぜポーションが効かないのかと言う疑問は残った。
2度目は吐き方が1度目よりも酷く苦しそうだった。その時もやはり心配だったので医者を呼び、もう一度見てもらえば、胃がびっくりしただけではここまで吐かないだろうと言われた。ならばなぜだと問えば正直分からないと、そう言われた。それでとりあえず喉の炎症を抑える薬を追加で貰い帰ってもらったのだ。
ユキがポーションを飲んでくれればすぐに良くなったのだろうが、ポーションに既にトラウマのようなものを持ってしまったようなので、諦めて薬を勧めるがやはり嫌がった。
だが、声がガラガラになってしまっているユキは可哀想で見ている方も辛かった。
ライが水に溶かして渡してみるも、やはりダメだった。完全に警戒モードのユキを刺激しないように部屋をでてきたがやはり心配だ。
なぜ薬を飲んで嘔吐くのだ?ただ苦いだけであそこまではならないだろう。
アレルギーでもあるのだろうか?でもそれなら医者が初めの時点で気付くはずだ。
ならなぜ?
そんなことを考え、2人にも意見を求め話していると、ノアのベルが鳴った。
これはユキに何かあったら鳴らせと言って渡した魔道具の対になるものだ。これが鳴ったということはつまり…ユキに何かあったということだ!!
慌てて部屋へ行くと、そこにはユキを見つけた時そばで見守っていた大きな狼がいた。そしてその狼がユキのベルを咥え鳴らしていた。
どういう状況かいまいち理解できずにいると、ユキの苦しそうな声が聞こえてハッとする。
見るとユキはボロボロと涙を流し、真っ青な顔で必死に呼吸をしていた。
そんなユキをどうすればいいのか分からず、手をこまねいているとそばに居た狼がパッと光のつぶになり消えていった。
何が起こったのかわからずにいると、ユキの様子の変化にいち早く気付いたライがユキの背中を少しだけ強めに叩き呼吸を促していた。
ライが必死に叩くが、何かを詰まらせて呼吸困難になっている訳では無いらしく、ユキの顔色は真っ白になり、表情も苦しみの表情から絶望の表情へと変わっていった。その様子に俺ならの焦りも増す。
すると、ユキの意識がふっと消えた。
その瞬間、俺たち3人の心臓は一瞬止まったと思う。
汗がどっと吹き出し、心臓が痛いぐらいに強く動く。
ライがすぐにユキの心拍や呼吸を確かめ、大丈夫だとほっとした声で呟き、俺達も無意識に止まってしまっていた息を吐いた。
死んだ訳では無いと分かっても、嫌な汗は止まらず、心臓はうるさい。
自分の心臓の音や動きを体全体で感じるほどに騒いでいる心臓はなかなか落ち着かず、とりあえず生きていることを俺自身がちゃんと確認したくて、ユキの心臓に耳を当て、確かめる。
「よかった……」
心の底から漏れた声。
本当に良かった。さっきまであんなに苦しそうにしていたのに、呼吸はまだ少し乱れてはいるが、少しずつ安定してきている。
ノアもユキの心臓の動きを確認し、安堵の声を漏らしていた。
「医者……あ?」
「もう呼びに行ったんじゃないか?」
ノアが医者を呼ぶように言おうとするが、ライの姿はもうなかった。
一番最初にユキの安否を確認し、安心したライはすぐに部屋を出ていったから多分医者を呼びに行ったのだろう。
「連れてきた」
医者を連れて戻ってきたライ。
医者に直ぐに見てもらうが、やはり分からないと言った。ライが試しにヒールをかけて見ると言い、ヒールをかけようとしたがかけられなかった。
ライが言うには、効果が出ないだけかもしれない、だそうだ。
ヒールは原因を把握していないと体調不良には効果が出にくい。だから、まぁ分かる。
が、ポーションは効くはずなのに、飲ませても効果が出ない。意識がないのに吐く始末。
医者はとりあえず今日はもうこの宿に泊まるから何かあったら呼べと言い部屋から出ていった。
「お兄さん達、朝の子はもう大丈夫?」
すると朝に水を持ってきてくれたりと色々心配してくれていた店員の女性が声をかけてきた。
「…まぁ、大丈夫、ではないかな。今は大分落ち着いたみたいだけど……」
「そうだな。さっきもまた吐かせてしまったし」
ライとノアの不安げな答えに女性は、心配そうな表情をして、“お大事にと伝えておいて下さい”と言い仕事に戻って行った。
正直何故あそこまで体調が悪くなったのか分からない。
吐いて直ぐに医者を呼んでみてもらった。すると初めは『恐らく胃がびっくりしたのかと…』と言われた。その時は納得したのだ。急に肉を食ったのだからそうなっても不思議ではなかったから。ただ、なぜポーションが効かないのかと言う疑問は残った。
2度目は吐き方が1度目よりも酷く苦しそうだった。その時もやはり心配だったので医者を呼び、もう一度見てもらえば、胃がびっくりしただけではここまで吐かないだろうと言われた。ならばなぜだと問えば正直分からないと、そう言われた。それでとりあえず喉の炎症を抑える薬を追加で貰い帰ってもらったのだ。
ユキがポーションを飲んでくれればすぐに良くなったのだろうが、ポーションに既にトラウマのようなものを持ってしまったようなので、諦めて薬を勧めるがやはり嫌がった。
だが、声がガラガラになってしまっているユキは可哀想で見ている方も辛かった。
ライが水に溶かして渡してみるも、やはりダメだった。完全に警戒モードのユキを刺激しないように部屋をでてきたがやはり心配だ。
なぜ薬を飲んで嘔吐くのだ?ただ苦いだけであそこまではならないだろう。
アレルギーでもあるのだろうか?でもそれなら医者が初めの時点で気付くはずだ。
ならなぜ?
そんなことを考え、2人にも意見を求め話していると、ノアのベルが鳴った。
これはユキに何かあったら鳴らせと言って渡した魔道具の対になるものだ。これが鳴ったということはつまり…ユキに何かあったということだ!!
慌てて部屋へ行くと、そこにはユキを見つけた時そばで見守っていた大きな狼がいた。そしてその狼がユキのベルを咥え鳴らしていた。
どういう状況かいまいち理解できずにいると、ユキの苦しそうな声が聞こえてハッとする。
見るとユキはボロボロと涙を流し、真っ青な顔で必死に呼吸をしていた。
そんなユキをどうすればいいのか分からず、手をこまねいているとそばに居た狼がパッと光のつぶになり消えていった。
何が起こったのかわからずにいると、ユキの様子の変化にいち早く気付いたライがユキの背中を少しだけ強めに叩き呼吸を促していた。
ライが必死に叩くが、何かを詰まらせて呼吸困難になっている訳では無いらしく、ユキの顔色は真っ白になり、表情も苦しみの表情から絶望の表情へと変わっていった。その様子に俺ならの焦りも増す。
すると、ユキの意識がふっと消えた。
その瞬間、俺たち3人の心臓は一瞬止まったと思う。
汗がどっと吹き出し、心臓が痛いぐらいに強く動く。
ライがすぐにユキの心拍や呼吸を確かめ、大丈夫だとほっとした声で呟き、俺達も無意識に止まってしまっていた息を吐いた。
死んだ訳では無いと分かっても、嫌な汗は止まらず、心臓はうるさい。
自分の心臓の音や動きを体全体で感じるほどに騒いでいる心臓はなかなか落ち着かず、とりあえず生きていることを俺自身がちゃんと確認したくて、ユキの心臓に耳を当て、確かめる。
「よかった……」
心の底から漏れた声。
本当に良かった。さっきまであんなに苦しそうにしていたのに、呼吸はまだ少し乱れてはいるが、少しずつ安定してきている。
ノアもユキの心臓の動きを確認し、安堵の声を漏らしていた。
「医者……あ?」
「もう呼びに行ったんじゃないか?」
ノアが医者を呼ぶように言おうとするが、ライの姿はもうなかった。
一番最初にユキの安否を確認し、安心したライはすぐに部屋を出ていったから多分医者を呼びに行ったのだろう。
「連れてきた」
医者を連れて戻ってきたライ。
医者に直ぐに見てもらうが、やはり分からないと言った。ライが試しにヒールをかけて見ると言い、ヒールをかけようとしたがかけられなかった。
ライが言うには、効果が出ないだけかもしれない、だそうだ。
ヒールは原因を把握していないと体調不良には効果が出にくい。だから、まぁ分かる。
が、ポーションは効くはずなのに、飲ませても効果が出ない。意識がないのに吐く始末。
医者はとりあえず今日はもうこの宿に泊まるから何かあったら呼べと言い部屋から出ていった。
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