髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第2章

131.器用なだけでも可愛い。

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そんな感じで思いついた曲をコトコトと弾いて楽しんでいると、お昼を食べて直ぐに遊んでいるからか眠たくなってきた。今日は食後のお昼寝をしていない。

『ユキ、もう大分遊んだし一回寝たら?』
『え~やだ~もうちょい……♪』 
「ユキ、悪い俺少し席を外すが大丈夫か?」
「……んぇ?あぁ…うん!らいりょーぷ!」
「そうか、悪いな。すぐ戻るからな」
「あい!」
「部屋の外に人がいるからなんかあったらそいつらに言えよ」
「あい!」

アミュートに注意されていると、ガイさんが誰かに呼ばれて部屋を出ていった。
部屋の外に人が待機しているそうだが、この部屋には誰もいない。アミュートと俺だけだ。そうなるとやりたいことは一つ!

『ね!アミュート!指の動かし方も大分スムーズになってきたしさ、こっちのピアノ弾きたい!』
『大丈夫?』
『ん?…あ、うん、乗れないからアミュートがのせて!』
『そういう事じゃないんだけど……』
「……?」
『まぁいいや、わかった。いいよ』
『やった~ありがとう!』

俺は早速アミュートの背に乗り、アミュートは椅子へ飛び乗った。椅子は小さく、丸まる事も難しそうなのに、いい感じに椅子の上へ丸まっているアミュートが器用で可愛いなと思った。

しかしそんなアミュートに助けられて漸く弾くことが出来たピアノは、やっぱり難しい。前世のようにスムーズに弾けないことがより俺を惨めにさせている気がする。……惨め、とは少し違う気がするが、なんだか心がモヤモヤするのだ。よく分からない。

それでも少しでも弾きたいなと思ったので、1音1音奏でていくが、曲と呼ぶには程遠い。そもそも鍵盤を叩く為の力はあまりないから指先の動きがスムーズかどうかもあまり反映されていない気がする。まぁそれを抜きにしても指の動きはスムーズではないのだが。

そんなことを考えながらでもピアノの鍵盤に触れる指を止めることはしない。それでも、心はどんどんざわざわと騒がしくなる。
鍵盤を叩き一音奏でる度、心がざわつく気がする。それが一体どんな理由なのかを深く考えるも、やはり前世が原因だな…という所まで行き着いて考えるのを止めてしまう。それ以上考えた先を俺は知っているから。それなのに、何度も何度も1から思考を止めるまでを繰り返してしまう。やめられない。

『ユキ』
「え……?」

そんなことを繰り返しては辛くなっていると、アミュートが急に俺の名を呼んだ。

『どうしたの?アミュート』
『ユキこそどうしたの?』
『え?なにが?』
『なにがって、さっきまで楽しそうにしてたのに、段々音を鳴らすペースがゆっくりになってきたなと思ってたら急に手を止めて俯いてるじゃん』

まさか自分が手を止めていたなんて気づいていなくて、咄嗟に誤魔化したくなって誤魔化す言葉を口にする。

『あ…あぁ、眠くなってきたから』
『ユキ、違うよね。嘘つかないで』
『なんで?さっきも寝たら?ってアミュート言ってたじゃん。ほんとに眠たいよ?嘘じゃないんだけど…?』

手を止めたのは別の理由だけど、眠たいのはホントだから、嘘じゃ…ない。

『ユキ、僕、聞いたじゃん。大丈夫?って。大丈夫じゃなくなったから、手が止まったんでしょ?やな事考えてたんでしょ?』
『………それ、そういう事だったんだね』
『そうだよ。だから僕に嘘はつかないで』
『………ごめんなさい。アミュート』

アミュートはちゃんと気付いていて、一度俺を止めてくれていた。なのに俺は気付かずに自分からダメージを受けに行ったどころか、アミュートに嘘までついた。最悪で最低だ。










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