髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第4章

209.ストレスとアミュートの不安。

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真っ青な顔で呼吸を荒らげ、呻いているユキは気を失い、しがみついていた腕の力がだらんと抜ける。そしてアミュートはそっとユキをベッドへ寝かせ、ユキの部屋から退出した。

「ルル」
「あ、お話は終わりましたか?」
「うん、まぁね。それよりルルあの人呼んで?」
「ん?」
「ユキのお医者さん」
「え、どうかしたんですか?!」
「疲れが出たのか熱出しちゃって…さっき気絶した」
「え?!わ、わかりました!」
「ん、よろしくね」

ユキの主治医であるヘルガは、ユキの入学に合わせて第3寮の寮医になっていた。それはユキのことが心配なノアが学園に掛け合い、そうしたのである。そんなヘルガはハルラルクに呼び出され、ユキの部屋へ来て診察をする。結果はやはり疲れやストレス。ストレスの原因を知っているのはアミュートだけなので、他の皆は緊張や髪のことを言われたことなどをストレスの原因だと思っていた。
結果がでて、雪の症状に合わせた薬を調合してもらい、アミュート以外の者は皆部屋から退出した。

「ユキ…まだダメなんだね…」

事情を知るアミュートだけが、ユキを苦しめる原因を知っている。
克服していると思っていたユキの過去は、未だにきっかけがあれば簡単に出てきてしまう。今日は色々なことが重なり、過度なストレスを与えてしまっていた。

入学ということで緊張していたこと、1週間家族と離れていたこと、この世界に来て初めて大勢の人に会ったこと、好奇の視線に晒されたこと。それらがユキに熱を出させるには十分な負荷になっていて、さらにマフレリカの父の話で過去の記憶と繋がってしまったことでユキのしまい込んでいた過去の記憶を引き摺りだして過度なストレスを無意識のうちに与えることになってしまっていた。それはもちろんそうだが本来はそこにもうひとつの要素が加わっている。しかしアミュートはまだそれを知らない為、そういうことだと思っていた。

「っ……ん……」
「あ、ユキ、大丈夫?」

眠っている間に薬を飲まされたユキは薬が効いたのかうっすらと目を開ける。アミュートは優しく撫でるようにユキの髪を梳きながらまだしんどそうなユキに声をかける。

「アミュート……」
「ユキ、学園、まだ行きたい?」
「……どうして?」
「また、嫌なこと思い出すかもしれないでしょ」
「いいよ。それは俺の問題だし、学園は楽しそうだよ」
「……そっか」

アミュートは不安だった。自分のいない所で、入れない所で、ユキが嫌な思いをしていたら、
嫌なことを思い出して苦しんでいたら、と。
しかしユキは既にできた友達とのこれからの学園生活が楽しみだった。もちろん不安がないと言えば嘘になるだろうが、それでも、そんなことはとっくに覚悟していたと、そう思っていた。

「何かあったらすぐ行くからね。」
「うん。ありがとうアミュート」

アミュートはユキの気持ちを尊重したくて、不安な気持ちを誤魔化すようにユキを抱きしめる。そんなアミュートの気持ちに気付いているユキは、アミュートを抱き締め返して、落ち着かせるようにまだもふもふのアミュートの背を摩ってやった。













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