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とりあえず、この世界の魔法は異常だということがわかりました
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「しかし、大丈夫なのか?」
全然煙が引かないんだが、あの中で彼女はちゃんと生きてるんだよな? 直接当てた訳じゃないし……。
仮にここがゲームの中だとしても、人殺しなんてしたくないぞ。
「驚いたよ。本当に魔法使えるんだ」
「生きてたか」
良かった。
まだ煙が明けることはないが、割と元気な彼女の声が聞こえてきた。
というか、なんなんだよこの煙の量。
「笑わせないで。火球程度で死ぬ訳ないじゃない。……でも、君が協力してくれるなら戦う理由は無くなったかも」
煙の中から平然と出てくる少女の姿。
傷どころか煤の一つもついてない。
「火球は魔法の中でも下の下。見た目はすごく派手だけど、威力は適当に殴るより弱い。むしろ、その派手さのせいで自分の居場所を知らせるから、害にしかならない魔法よ」
おい、なんか俺の唯一の魔法がめちゃくちゃディスられているんだが? とても辛いんだが……?
「でも、今の私にはそんな魔法が必要なの」
「どういうことだ?」
あれだけディスっといて、それが必要とはどういう了見だ。
「私の目的は話したでしょ?」
「ああ。スライムの核だったな」
全解析でも確認している。これ自体が嘘をついて無い限り、そこは事実なのだろう。
「そう。そのスライムの核を取り出すのに必要なの。適度な弱さの炎魔法が」
またこの……。そりゃ、否定できないのは確かだが! なんで一々そう、嫌な言い方するんだ、こいつは……!
「引っかかる言い方だが、とりあえず流そう。なんで普通の魔法じゃダメなんだ?」
「なんでって……スライムが最弱だからよ。普通に強い魔法じゃ、核ごと燃やしちゃうし、かといって火の粉レベルじゃ、流石にダメージないし。君のその火球、見た感じ丁度いいのよね」
……やっぱこれ、手伝わなくていいかな。なんかもう、やる気出ないんだけど。
「ちなみに、断るなら黒焦げにするから」
「は? 黒焦げってなんの話──」
マーラの笑顔は、その器量の良さから、かなりドキッとさせられるものだった。
しかし、問題はその顔に掲げた指と、その直後に俺の真後ろで鳴り響いた爆音である。
「今のはなに──なに?」
恐る恐る振り返って見た俺の視界に映った光景は、広大な草原の一部に出来上がっている、巨大なクレーター。
さっきまで草原だったのか怪しいほどの、真っ黒なクレーターだ。
なんか、偶然隕石がそこに落ちてきたとか、そんなだよな?
「本当に強力な魔法ってのは、こういうのをいうんだよ、少年」
なんだよ、その喋り方⁈
──じゃなくて! なんだこれ、こいつがやったのか?
俺と比べたら確かに強いんだろうが、別にこの世界最強の魔法使い、とかじゃ無いよな? 何この威力。この世界の魔法どうなってるの?
「驚いて声も出なくなっちゃった?」
ガチでそうなってる時にそのセリフ吐かれるの、なんか新鮮なんだけど。
しかしこれは、どう頑張っても勝ちの目はないと言うもの。従う他ないだろう。……個人的な意見を除けば、断る理由もないしな。
「分かった。分かったから、当てるのだけはやめて」
例えロードされるとしても、あの威力を受けたらどんな痛みなんだよ。考えたくもない……。
「別に、断るなんて一言も言ってないだろ? 元々、まともに戦って勝てるとも思ってないし。妹さんのために頑張るってのは、健気なことじゃないか⁉︎」
「……なんで」
なんかすごい驚いてるんだが、どこか問題でも──あ。
「いや、これは違うんだ!」
理由については直接きいてなかった! ステータス見ただけでも貶されたんだ。事情まで覗いたとなっては、どんな叱咤を受けるか分かったもんじゃない。
「それも、君のスキルなんだね。ほんと気味が悪い」
嫌悪感に満ちた──というよりは、どこか寂しそうな表情で睨んでくる。
どう反応したらいいか困るから、いっそのこと全力で罵ってくれ……。
しかし、言葉に反して口もとが微笑んだように見える。どんな心境なんだろうか。
「でも、素直に認めてくれたのは嬉しかったかな。ありがとう」
「……? なんの話だ?」
何か特別なことを言っただろうか。なにもできない中、ただマーラの素性に同情したに過ぎないんだが。
彼女も、最初こそ驚き、その後に納得したように一人頷いていた。
「そっか。君は冒険者じゃないものね」
感謝して損した、と身勝手にため息を漏らし近づいてくる。
「冒険者が家族のために頑張るのは当たり前。それを鼻にかけるような人間は二流にも三流にも成り下がる。冒険者の中じゃ、当然の如く語られる戯言のようなものかな」
「無茶苦茶な理論だな。家族のために働くのは当たり前のことかも知れないが、家族の話をしてなにが悪い? 大切な家族を守るためなら、同情だってなんだって買ってやればいい」
プライドが大切だというなら知ったことではないがな。
冒険者ってのも碌なもんじゃなさそうだな。
「……面白いことをいうね、君。弱いくせに」
「なんであんたは一々引っかかる言い方するんだ⁈ 弱いとか、今は関係ないだろ!」
相変わらず嫌な女だな。外見がいいだけにもったいない……。
「そうだね。今はその弱さに助けられるんだから、感謝しないとね」
「だから‼︎」
思わず叫んでしまう。
しかし、なぜか微笑んだ彼女が顔を近づけてきたのだ。
性格がきついとはいえ、顔はいいわけで……目を逸らしてしまう。
「ありがとね」
突然の感謝の言葉。意味が分からない。
「それじゃ、今度こそスライムをみつけねいくよ!」
「──もう、すきにしてくれ」
手を引かれてスライム探しへと歩み出す。俺の心はもやもやとする一方なのであった。
全然煙が引かないんだが、あの中で彼女はちゃんと生きてるんだよな? 直接当てた訳じゃないし……。
仮にここがゲームの中だとしても、人殺しなんてしたくないぞ。
「驚いたよ。本当に魔法使えるんだ」
「生きてたか」
良かった。
まだ煙が明けることはないが、割と元気な彼女の声が聞こえてきた。
というか、なんなんだよこの煙の量。
「笑わせないで。火球程度で死ぬ訳ないじゃない。……でも、君が協力してくれるなら戦う理由は無くなったかも」
煙の中から平然と出てくる少女の姿。
傷どころか煤の一つもついてない。
「火球は魔法の中でも下の下。見た目はすごく派手だけど、威力は適当に殴るより弱い。むしろ、その派手さのせいで自分の居場所を知らせるから、害にしかならない魔法よ」
おい、なんか俺の唯一の魔法がめちゃくちゃディスられているんだが? とても辛いんだが……?
「でも、今の私にはそんな魔法が必要なの」
「どういうことだ?」
あれだけディスっといて、それが必要とはどういう了見だ。
「私の目的は話したでしょ?」
「ああ。スライムの核だったな」
全解析でも確認している。これ自体が嘘をついて無い限り、そこは事実なのだろう。
「そう。そのスライムの核を取り出すのに必要なの。適度な弱さの炎魔法が」
またこの……。そりゃ、否定できないのは確かだが! なんで一々そう、嫌な言い方するんだ、こいつは……!
「引っかかる言い方だが、とりあえず流そう。なんで普通の魔法じゃダメなんだ?」
「なんでって……スライムが最弱だからよ。普通に強い魔法じゃ、核ごと燃やしちゃうし、かといって火の粉レベルじゃ、流石にダメージないし。君のその火球、見た感じ丁度いいのよね」
……やっぱこれ、手伝わなくていいかな。なんかもう、やる気出ないんだけど。
「ちなみに、断るなら黒焦げにするから」
「は? 黒焦げってなんの話──」
マーラの笑顔は、その器量の良さから、かなりドキッとさせられるものだった。
しかし、問題はその顔に掲げた指と、その直後に俺の真後ろで鳴り響いた爆音である。
「今のはなに──なに?」
恐る恐る振り返って見た俺の視界に映った光景は、広大な草原の一部に出来上がっている、巨大なクレーター。
さっきまで草原だったのか怪しいほどの、真っ黒なクレーターだ。
なんか、偶然隕石がそこに落ちてきたとか、そんなだよな?
「本当に強力な魔法ってのは、こういうのをいうんだよ、少年」
なんだよ、その喋り方⁈
──じゃなくて! なんだこれ、こいつがやったのか?
俺と比べたら確かに強いんだろうが、別にこの世界最強の魔法使い、とかじゃ無いよな? 何この威力。この世界の魔法どうなってるの?
「驚いて声も出なくなっちゃった?」
ガチでそうなってる時にそのセリフ吐かれるの、なんか新鮮なんだけど。
しかしこれは、どう頑張っても勝ちの目はないと言うもの。従う他ないだろう。……個人的な意見を除けば、断る理由もないしな。
「分かった。分かったから、当てるのだけはやめて」
例えロードされるとしても、あの威力を受けたらどんな痛みなんだよ。考えたくもない……。
「別に、断るなんて一言も言ってないだろ? 元々、まともに戦って勝てるとも思ってないし。妹さんのために頑張るってのは、健気なことじゃないか⁉︎」
「……なんで」
なんかすごい驚いてるんだが、どこか問題でも──あ。
「いや、これは違うんだ!」
理由については直接きいてなかった! ステータス見ただけでも貶されたんだ。事情まで覗いたとなっては、どんな叱咤を受けるか分かったもんじゃない。
「それも、君のスキルなんだね。ほんと気味が悪い」
嫌悪感に満ちた──というよりは、どこか寂しそうな表情で睨んでくる。
どう反応したらいいか困るから、いっそのこと全力で罵ってくれ……。
しかし、言葉に反して口もとが微笑んだように見える。どんな心境なんだろうか。
「でも、素直に認めてくれたのは嬉しかったかな。ありがとう」
「……? なんの話だ?」
何か特別なことを言っただろうか。なにもできない中、ただマーラの素性に同情したに過ぎないんだが。
彼女も、最初こそ驚き、その後に納得したように一人頷いていた。
「そっか。君は冒険者じゃないものね」
感謝して損した、と身勝手にため息を漏らし近づいてくる。
「冒険者が家族のために頑張るのは当たり前。それを鼻にかけるような人間は二流にも三流にも成り下がる。冒険者の中じゃ、当然の如く語られる戯言のようなものかな」
「無茶苦茶な理論だな。家族のために働くのは当たり前のことかも知れないが、家族の話をしてなにが悪い? 大切な家族を守るためなら、同情だってなんだって買ってやればいい」
プライドが大切だというなら知ったことではないがな。
冒険者ってのも碌なもんじゃなさそうだな。
「……面白いことをいうね、君。弱いくせに」
「なんであんたは一々引っかかる言い方するんだ⁈ 弱いとか、今は関係ないだろ!」
相変わらず嫌な女だな。外見がいいだけにもったいない……。
「そうだね。今はその弱さに助けられるんだから、感謝しないとね」
「だから‼︎」
思わず叫んでしまう。
しかし、なぜか微笑んだ彼女が顔を近づけてきたのだ。
性格がきついとはいえ、顔はいいわけで……目を逸らしてしまう。
「ありがとね」
突然の感謝の言葉。意味が分からない。
「それじゃ、今度こそスライムをみつけねいくよ!」
「──もう、すきにしてくれ」
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