7 / 7
新しい言葉がでてきたけれど、あまり小難しい話はやめてほしい
しおりを挟む
「本当にあっさり倒せるものなんだな」
「むしろ、スライム相手に苦戦する方が難しいんだけど?」
「さいですか……」
マーラの悪態もだんだん慣れてきた。一々気にしなきゃ良いんだな、これも彼女の愛嬌ということだ。
日も落ち始め、夕暮れ時の草原。どれくらいここにいたかは分からないが、結構長く歩いていたと思う。
その間に遭遇したスライムの数──二体。なんなんだよ、この出現率。スライムってレアモンスターかなんかなの?
「スライムってこんなに出会えないのか?」
「この草原のスライムは少ないの。餌が少ないからね」
「餌?」
スライムって食事とか取るのか? 微生物とか……いや、大きいんだから、もっと栄養のあるものを食べるのか?
「そう。スライムの種類にもよるけど、ここのスライムが食べるのは草。特に好んで食べるのがエール草。祝福に満たされた空間に稀に生える薬草ね」
「祝福ってのはなんだ?」
マーラは驚いている。そんなに変な質問になってしまっただろうか?
「君、そんなことも知らずによく今まで生きてきたわね。どんな生活をしてきたら祝福を知らずに生きてこれるのかしら」
「……そんなに常識なのか」
「物心つくころには、もう教えられているはずよ。生きていく上で大切なことだから」
少し悩んだ素振りを見せ、空を仰いだ後こちらに向き直った。
「もう暗闇に満たされるわね。……いいわ、街に向かいながら教えてあげる。報酬も兼ねて、ね」
そう言いながら右手に持って見せるのは、スライムを倒して手に入れた核。ツヤはないが、綺麗な球体となっている真っ白な物体。あれをどう使うのだろうか。
「お願いするよ」
街についても分からないからな。それなりに歩くらしいし、その間にこの世界の知識が身につくなら是非もないというものだ。
「まず、祝福には種類があるの」
歩きながら説明を始めるマーラ。小さな子供でも分かるんだから、そんな難しいことはないよな? あまり記憶力は良くないんだが……。
「その中でも特に覚えておくべきなのは、定着型の祝福と、設置型の祝福。前者を加護、後者を聖印と言うの」
マーラは腕を伸ばして、袖をまくって見せた。
そこには、何かの動物を模したような印が刻まれていたのだが……まるで肌の一部かのように、違和感がない。
「これは加護。この世界に命を授かった人間なら、誰しもが持っているもの。加護にも種類があって、私のこの加護は破壊を司るもの。他には、創造や隔絶、均衡を司る加護があるわ」
「その加護っていうのは、なにか特別な効果があったりするのか?」
「そうね。魔法やスキルの傾向、性能が特に大きく影響するわ」
ふむ。つまるところ、戦闘スタイルや成長の傾向が変わる……ゲームならジョブや称号みたいなシステムに近いのか。
生まれつきみんなに備わってるらしいが、おそらく別世界から来たであろう俺にはあるのだろうか。
「その加護の印ってのはどこに現れるとか決まってるのか?」
「人それぞれね。今まで君が気づいてこなかったというなら、あまり人目につかなくて自分でも見えないところなのかもしれないわね」
「隠れた場所ってことね」
まあそもそも、この世界に来て間もないわけで、彼女が初めての人間な訳で……人目どころか、自分の体をまじまじと見るようなこともしてないからな。
全解析で見れたりしないものか──っと、さすがだな。
念のためステータスを確認してみると、加護と聖印の欄が増えている。
自分の中で知識として知っていないと出ないのか? 便利なのか不便なのか分からない能力だな、ほんと。
「……どうやら、俺の加護とやらは均衡らしい。他と比べて、どんな加護なのか分かりづらいが……全体的にバランスが取れてるとかなのか?」
「急になんでわかった──ああ、あの気味の悪いスキルのおかげね」
「気味が悪いとから言わないでくれよな。……傷つく」
「まあ、考え方としては間違ってないわね。一般的なイメージでは、器用貧乏なんて言われる加護よ。まあ、そもそも授かる人数も少なくて、あまり前例がないというのもあるけど」
マイナーな加護ってわけだ。情報が少ないのは不便だな。器用貧乏というのもな……こういうのは大体一極型の方が強いことご多いし。まあ、使い方次第といったところか。
「分かった。後聖印についてなんだが、解読とかいうのがついてるらしいが、何かわかるか?」
「聞いたことない……というか、そもそも人に聖印をつけるという行為自体聞かないんだけど。本当に君自身が聖印を受けてるの?」
「この目がおかしくないのであれば、そういうことだと思うんだが……」
確かに、設置型とか言ってたな。人間に設置する、なんて言い回しはしないだろう。
しかし、こちらも前例がないとなると、自分で見つける他無いんだよな……ちょっと楽しそうじゃないか。
「君の目は大概おかしいけど、事実を言い当ててきたその目が間違っているとは考えにくいわね。聖印に詳しい友人がいるから、聞いてみることにするわ」
「いいのか? 案内や説明に加えてそんなことまで」
「別に、君のためにやるわけじゃないし。私が気持ち悪いだけよ」
目を背ける辺り、恥ずかしがってるんだろうか? 素直じゃないな。
「ほら、そんなこと言ってるうちについたわよ」
「ん? ──おぉ‼︎」
既に空は暗い。
しかし、周囲は視界不良どころか、さっきまでよりもはっきりとしているほど。
目の前には、まさにファンタジー世界と言いたくなるような街並みが構えていたのである。
「むしろ、スライム相手に苦戦する方が難しいんだけど?」
「さいですか……」
マーラの悪態もだんだん慣れてきた。一々気にしなきゃ良いんだな、これも彼女の愛嬌ということだ。
日も落ち始め、夕暮れ時の草原。どれくらいここにいたかは分からないが、結構長く歩いていたと思う。
その間に遭遇したスライムの数──二体。なんなんだよ、この出現率。スライムってレアモンスターかなんかなの?
「スライムってこんなに出会えないのか?」
「この草原のスライムは少ないの。餌が少ないからね」
「餌?」
スライムって食事とか取るのか? 微生物とか……いや、大きいんだから、もっと栄養のあるものを食べるのか?
「そう。スライムの種類にもよるけど、ここのスライムが食べるのは草。特に好んで食べるのがエール草。祝福に満たされた空間に稀に生える薬草ね」
「祝福ってのはなんだ?」
マーラは驚いている。そんなに変な質問になってしまっただろうか?
「君、そんなことも知らずによく今まで生きてきたわね。どんな生活をしてきたら祝福を知らずに生きてこれるのかしら」
「……そんなに常識なのか」
「物心つくころには、もう教えられているはずよ。生きていく上で大切なことだから」
少し悩んだ素振りを見せ、空を仰いだ後こちらに向き直った。
「もう暗闇に満たされるわね。……いいわ、街に向かいながら教えてあげる。報酬も兼ねて、ね」
そう言いながら右手に持って見せるのは、スライムを倒して手に入れた核。ツヤはないが、綺麗な球体となっている真っ白な物体。あれをどう使うのだろうか。
「お願いするよ」
街についても分からないからな。それなりに歩くらしいし、その間にこの世界の知識が身につくなら是非もないというものだ。
「まず、祝福には種類があるの」
歩きながら説明を始めるマーラ。小さな子供でも分かるんだから、そんな難しいことはないよな? あまり記憶力は良くないんだが……。
「その中でも特に覚えておくべきなのは、定着型の祝福と、設置型の祝福。前者を加護、後者を聖印と言うの」
マーラは腕を伸ばして、袖をまくって見せた。
そこには、何かの動物を模したような印が刻まれていたのだが……まるで肌の一部かのように、違和感がない。
「これは加護。この世界に命を授かった人間なら、誰しもが持っているもの。加護にも種類があって、私のこの加護は破壊を司るもの。他には、創造や隔絶、均衡を司る加護があるわ」
「その加護っていうのは、なにか特別な効果があったりするのか?」
「そうね。魔法やスキルの傾向、性能が特に大きく影響するわ」
ふむ。つまるところ、戦闘スタイルや成長の傾向が変わる……ゲームならジョブや称号みたいなシステムに近いのか。
生まれつきみんなに備わってるらしいが、おそらく別世界から来たであろう俺にはあるのだろうか。
「その加護の印ってのはどこに現れるとか決まってるのか?」
「人それぞれね。今まで君が気づいてこなかったというなら、あまり人目につかなくて自分でも見えないところなのかもしれないわね」
「隠れた場所ってことね」
まあそもそも、この世界に来て間もないわけで、彼女が初めての人間な訳で……人目どころか、自分の体をまじまじと見るようなこともしてないからな。
全解析で見れたりしないものか──っと、さすがだな。
念のためステータスを確認してみると、加護と聖印の欄が増えている。
自分の中で知識として知っていないと出ないのか? 便利なのか不便なのか分からない能力だな、ほんと。
「……どうやら、俺の加護とやらは均衡らしい。他と比べて、どんな加護なのか分かりづらいが……全体的にバランスが取れてるとかなのか?」
「急になんでわかった──ああ、あの気味の悪いスキルのおかげね」
「気味が悪いとから言わないでくれよな。……傷つく」
「まあ、考え方としては間違ってないわね。一般的なイメージでは、器用貧乏なんて言われる加護よ。まあ、そもそも授かる人数も少なくて、あまり前例がないというのもあるけど」
マイナーな加護ってわけだ。情報が少ないのは不便だな。器用貧乏というのもな……こういうのは大体一極型の方が強いことご多いし。まあ、使い方次第といったところか。
「分かった。後聖印についてなんだが、解読とかいうのがついてるらしいが、何かわかるか?」
「聞いたことない……というか、そもそも人に聖印をつけるという行為自体聞かないんだけど。本当に君自身が聖印を受けてるの?」
「この目がおかしくないのであれば、そういうことだと思うんだが……」
確かに、設置型とか言ってたな。人間に設置する、なんて言い回しはしないだろう。
しかし、こちらも前例がないとなると、自分で見つける他無いんだよな……ちょっと楽しそうじゃないか。
「君の目は大概おかしいけど、事実を言い当ててきたその目が間違っているとは考えにくいわね。聖印に詳しい友人がいるから、聞いてみることにするわ」
「いいのか? 案内や説明に加えてそんなことまで」
「別に、君のためにやるわけじゃないし。私が気持ち悪いだけよ」
目を背ける辺り、恥ずかしがってるんだろうか? 素直じゃないな。
「ほら、そんなこと言ってるうちについたわよ」
「ん? ──おぉ‼︎」
既に空は暗い。
しかし、周囲は視界不良どころか、さっきまでよりもはっきりとしているほど。
目の前には、まさにファンタジー世界と言いたくなるような街並みが構えていたのである。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です
たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」
勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。
しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。
一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。
彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。
引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――?
ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。
「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」
これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
勇者召喚に失敗したと捨てられましたが、魔王の家政婦になりました。
藤 ゆみ子
ファンタジー
家政婦として働いていた百合はある日、会社の倒産により仕事を失った。
気が沈んだまま家に帰り、おばあちゃんの仏壇に手を合わせていると突然知らない場所にいた。
訳がわからないまま、目の前にいる神官に勇者の召喚に失敗したと魔王の棲む森へと捨てられてしまう。
そして魔物に襲われかけたとき、小汚い男性に助けられた。けれどその男性が魔王だった。
魔王は百合を敵だと認識し、拘束して魔王城へと連れていく。
連れて行かれた魔王城はボロボロで出されたご飯も不味く魔王の生活はひどいありさまだった。
それから百合は美味しいご飯を作り、城を綺麗にし、魔王と生活を共にすることに。
一方、神官たちは本物の勇者を召喚できずに焦っていた。それもそう、百合が勇者だったのだから。
本人も気づかないうちに勇者としての力を使い、魔王を、世界を、変えていく。
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる