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第9話 ド緊張!テレビカメラ
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そして、運命の土曜日がやってきた。
俺は、巨大キノコの森の入り口で、人生で経験したことのないレベルの緊張に襲われていた。心臓はバクバクうるさいし、手汗もすごい。
「佐藤さん、おはようございます! 今日はよろしくお願いしますね!」
いつも通りのパーカー&キャップ姿のレイナさんが、笑顔で現れた。彼女の後ろには、カメラを持った男性といかにもディレクターといった感じの腕章をつけた女性、そして音声さんらしき人が控えている。
テレビクルーだ……本物だ……。
「お、おはようございます……。よ、よろしくお願いします……」
声が震える。顔も引きつっているに違いない。
「こちら、今日の取材を担当してくださる、テレビ夕陽の皆さんです!」
レイナさんが紹介してくれる。
ディレクターの女性が、にこやかに挨拶してきた。
「佐藤さん、はじめまして! ディレクターの鈴木です。いつもレイナさんのSNS、楽しく拝見してます! 佐藤さんのダンジョン飯、本当に美味しそうで……今日、生で見られるなんて、光栄です!」
カメラマンさんや音声さんも、
「楽しみにしてます!」
「頑張ってください!」
と声をかけてくれる。
……なんか、みんな妙に好意的だな?
レイナさんの影響力、恐るべし。
「あ、あの、俺、本当にただの素人なんで……あんまり期待しないでください……」
「またまたご謙遜を! レイナさんから聞いてますよ? どんな食材でも絶品料理に変えてしまう、魔法の手を持つって!」
(レイナさん、裏で何を吹き込んでるんだ……!)
ハードルが上がりまくっている。
これでは、もう後には引けない。
「さあ、行きましょうか! 目指すは、巨大キノコ!」
レイナさんの号令で、テレビクルーを引き連れた奇妙なパーティーのダンジョン探索が始まった。
巨大キノコの森は、その名の通り傘の直径が1メートル以上もあるような、色とりどりの巨大なキノコばかりがある不思議な空間だ。
空気は少し湿っぽく、独特の土と菌類の匂い。
道中、小型のモンスター、例えばスライムとか毒キノコのお化けとかが時々現れたが、レイナさんがカメラの前で華麗に一掃していく。
その度に、ディレクターさんたちが、
「おおー!」
「さすがレイナさん!」
と歓声を上げている。
俺は、その後ろで小さくなっていた。
「あ、ありましたよ、佐藤さん! 美味しそうなキノコが!」
レイナさんが指差したのは、傘が鮮やかなオレンジ色をした、ひときわ大きなキノコだ。
表面には、バターのような模様が入っている。通称「バターマッシュルーム」。加熱すると、本当にバターのような濃厚な香りとコクが出る、人気の食材だ。
「よし、じゃあ、ここで料理しましょうか」
俺は意を決して、調理器具を取り出した。
今日のメニューは「巨大バターマッシュルームの丸ごとアヒージョ風」だ。
巨大な傘の部分を器に見立てて、中にたっぷりのキノコと持参したニンニク、鷹の爪、そしてオリーブオイルを入れて、直火でじっくり加熱する。
カメラが俺の手元をアップで捉えている。
緊張で手が震えそうだ。
「すごい……! キノコの傘をそのまま鍋にするんですね!」
「いい匂いがしてきた……!」
テレビクルーの人たちも興味津々だ。
レイナさんは、隣で目をキラキラさせながら、完成を今か今かと待っている。
グツグツとオイルが煮立ち、キノコも色づき、香ばしい匂いが辺りに満ちていく。仕上げに塩コショウと刻みパセリを振って、完成だ。
「で、できました……。バターマッシュルームのアヒージョ風です……」
「うわぁぁぁ! 美味しそうー!!」
レイナさんが、真っ先にトングで熱々のキノコを掴み、ふーふーしてから口に運ぶ。
「んん~~~~っ!!! 熱っ! でも、うま~~~~~っ!!!」
期待通りのリアクション。
キノコの旨味とバターのようなコク、ニンニクと唐辛子の風味がオイルに溶け出して、絶妙なハーモニーを奏でているはずだ。
「鈴木さんたちもどうぞ!」
レイナさんに勧められ、ディレクターさんたちも恐る恐る試食する。
「……!! こ、これは……!?」
「美味しい……! キノコがプリップリで、オイルが最高……!」
「パン持ってくればよかったー!」
取材クルーも大絶賛。
よかった……なんとか、面目は保てたようだ。
その後も数種類のキノコを使って「キノコのバター醤油炒め」や「キノコのクリームスープ」などを作り、その度にレイナさんとテレビクルーから歓声が上がった。
俺は、料理を作っている間は集中していたが、終わった途端、どっと疲労感に襲われた。
精神的な疲労が半端ない。
取材は無事にかは分からないが終了し、俺たちはダンジョンを後にした。帰り際、ディレクターの鈴木さんが興奮気味に言った。
「佐藤さん、本当にありがとうございました!
これは、絶対に面白い番組になりますよ! 佐藤さんのことは、レイナさんたっての希望で『謎の凄腕料理人S』として紹介させていただきますね!」
「は、はぁ……」
(てかSって、佐藤のSか……? 安直だな……)
こうして、俺のテレビデビューは、嵐のように過ぎ去っていった。
放送後、一体どうなってしまうのか……。
俺は一抹の不安とほんの少しの達成感を胸に帰宅するのだ。
俺は、巨大キノコの森の入り口で、人生で経験したことのないレベルの緊張に襲われていた。心臓はバクバクうるさいし、手汗もすごい。
「佐藤さん、おはようございます! 今日はよろしくお願いしますね!」
いつも通りのパーカー&キャップ姿のレイナさんが、笑顔で現れた。彼女の後ろには、カメラを持った男性といかにもディレクターといった感じの腕章をつけた女性、そして音声さんらしき人が控えている。
テレビクルーだ……本物だ……。
「お、おはようございます……。よ、よろしくお願いします……」
声が震える。顔も引きつっているに違いない。
「こちら、今日の取材を担当してくださる、テレビ夕陽の皆さんです!」
レイナさんが紹介してくれる。
ディレクターの女性が、にこやかに挨拶してきた。
「佐藤さん、はじめまして! ディレクターの鈴木です。いつもレイナさんのSNS、楽しく拝見してます! 佐藤さんのダンジョン飯、本当に美味しそうで……今日、生で見られるなんて、光栄です!」
カメラマンさんや音声さんも、
「楽しみにしてます!」
「頑張ってください!」
と声をかけてくれる。
……なんか、みんな妙に好意的だな?
レイナさんの影響力、恐るべし。
「あ、あの、俺、本当にただの素人なんで……あんまり期待しないでください……」
「またまたご謙遜を! レイナさんから聞いてますよ? どんな食材でも絶品料理に変えてしまう、魔法の手を持つって!」
(レイナさん、裏で何を吹き込んでるんだ……!)
ハードルが上がりまくっている。
これでは、もう後には引けない。
「さあ、行きましょうか! 目指すは、巨大キノコ!」
レイナさんの号令で、テレビクルーを引き連れた奇妙なパーティーのダンジョン探索が始まった。
巨大キノコの森は、その名の通り傘の直径が1メートル以上もあるような、色とりどりの巨大なキノコばかりがある不思議な空間だ。
空気は少し湿っぽく、独特の土と菌類の匂い。
道中、小型のモンスター、例えばスライムとか毒キノコのお化けとかが時々現れたが、レイナさんがカメラの前で華麗に一掃していく。
その度に、ディレクターさんたちが、
「おおー!」
「さすがレイナさん!」
と歓声を上げている。
俺は、その後ろで小さくなっていた。
「あ、ありましたよ、佐藤さん! 美味しそうなキノコが!」
レイナさんが指差したのは、傘が鮮やかなオレンジ色をした、ひときわ大きなキノコだ。
表面には、バターのような模様が入っている。通称「バターマッシュルーム」。加熱すると、本当にバターのような濃厚な香りとコクが出る、人気の食材だ。
「よし、じゃあ、ここで料理しましょうか」
俺は意を決して、調理器具を取り出した。
今日のメニューは「巨大バターマッシュルームの丸ごとアヒージョ風」だ。
巨大な傘の部分を器に見立てて、中にたっぷりのキノコと持参したニンニク、鷹の爪、そしてオリーブオイルを入れて、直火でじっくり加熱する。
カメラが俺の手元をアップで捉えている。
緊張で手が震えそうだ。
「すごい……! キノコの傘をそのまま鍋にするんですね!」
「いい匂いがしてきた……!」
テレビクルーの人たちも興味津々だ。
レイナさんは、隣で目をキラキラさせながら、完成を今か今かと待っている。
グツグツとオイルが煮立ち、キノコも色づき、香ばしい匂いが辺りに満ちていく。仕上げに塩コショウと刻みパセリを振って、完成だ。
「で、できました……。バターマッシュルームのアヒージョ風です……」
「うわぁぁぁ! 美味しそうー!!」
レイナさんが、真っ先にトングで熱々のキノコを掴み、ふーふーしてから口に運ぶ。
「んん~~~~っ!!! 熱っ! でも、うま~~~~~っ!!!」
期待通りのリアクション。
キノコの旨味とバターのようなコク、ニンニクと唐辛子の風味がオイルに溶け出して、絶妙なハーモニーを奏でているはずだ。
「鈴木さんたちもどうぞ!」
レイナさんに勧められ、ディレクターさんたちも恐る恐る試食する。
「……!! こ、これは……!?」
「美味しい……! キノコがプリップリで、オイルが最高……!」
「パン持ってくればよかったー!」
取材クルーも大絶賛。
よかった……なんとか、面目は保てたようだ。
その後も数種類のキノコを使って「キノコのバター醤油炒め」や「キノコのクリームスープ」などを作り、その度にレイナさんとテレビクルーから歓声が上がった。
俺は、料理を作っている間は集中していたが、終わった途端、どっと疲労感に襲われた。
精神的な疲労が半端ない。
取材は無事にかは分からないが終了し、俺たちはダンジョンを後にした。帰り際、ディレクターの鈴木さんが興奮気味に言った。
「佐藤さん、本当にありがとうございました!
これは、絶対に面白い番組になりますよ! 佐藤さんのことは、レイナさんたっての希望で『謎の凄腕料理人S』として紹介させていただきますね!」
「は、はぁ……」
(てかSって、佐藤のSか……? 安直だな……)
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