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第15話 湖畔の極上フレンチ風
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岸辺に引き上げられたレイク・キングの素材は、近くで見るとさらに巨大だった。銀色に輝く鱗は美しく、身も厚そうだ。
これは、間違いなく上質な白身だろう。
「さて、と……どう料理しましょうか」
これだけ大きいと丸焼きは無理だ。
切り身にする必要がある。
俺はリュックから家庭用でも一番大きなナイフを取り出し、巨大な魚体と向き合った。
まずは硬そうな鱗を剥がしていく。
これが、なかなかの重労働である。レイナさんが手伝ってくれたおかげで、なんとか全身の鱗を剥がし終えた。
次に三枚におろしていく。
普段、スーパーで切り身しか買わない俺にとって、これほどの巨大魚を捌くのは初めての経験だ。見よう見まねでナイフを入れていくが、なかなか上手くいかない。
「うーん、難しい……」
「佐藤さん、貸してみてください」
見かねたレイナさんが、俺からナイフを受け取った。そして驚くべきことに、彼女はまるで熟練の料理人のようにスムーズかつ的確にナイフを動かし、あっという間に巨大なレイク・キングを美しい三枚におろしてしまったのだ。
骨の周りにも、ほとんど身が残っていない。完璧な仕事ぶりだ。
「……レイナさん、なんでそんなに魚捌くの上手いんですか?」
「え? ああ、昔、おじいちゃんが漁師で、よく手伝わされてたので……」
(……アイドルなのに、元漁師の孫……? 情報量が多すぎる……)
彼女の意外な特技に驚きつつも、おかげで極上の白身の切り身を手に入れることができた。
今日のメニューは「レイク・キングのハーブ焼きレモンバターソース」に決定だ。
まずは、切り身に塩コショウを振り、持参した数種類のハーブ(ローズマリー、タイム、ディルなど)をまぶす。
フライパンを焚き火で熱し、オリーブオイルをひいて、皮目からじっくりと焼いていくのだ。
パチパチと音を立て、皮が香ばしく焼けていく。白身魚の良い香りが、湖畔の澄んだ空気の中に広がっていく。
「わぁ……! いい匂い……!」
レイナさんが、目を輝かせてフライパンを覗き込む。もう、待ちきれないといった様子だ。
皮目がパリッと焼けたら裏返し、身の方にも火を通す。火を通しすぎるとパサパサになるので、ここは注意が必要だ。
魚が焼きあがる直前に、バターとレモン汁、そして少量の白ワインをフライパンに加え、ソースを作る。バターが溶けてソースが乳化し、レモンの爽やかな香りが立ち上る。
「よし、完成です! レイク・キングのハーブ焼きレモンバターソース!」
大きめの皿にこんがりと焼きあがった魚の切り身を盛り付け、熱々のレモンバターソースをたっぷりとかける。仕上げに、刻みパセリを散らして彩りを加えれば。
見た目も、なかなか本格的なフレンチ風だ。
「うわぁぁぁ……! キラキラしてる……!」
レイナさんは、目の前の料理に完全に心を奪われているようだ。
「どうぞ、召し上がれ」
「い、いただきますっ!」
フォークでふっくらとした白身を一口大に切り分け、ソースを絡めて、ゆっくりと口に運ぶ。
「…………っ!!」
レイナさんの動きが、またしても止まる。そして、うっとりとした表情で、天を仰いだ。
「んんんんん~~~~~~~~~!!!!!! なにこれ、ふわっふわ……!」
彼女の目からは、幸せの涙?がこぼれ落ちそうだ。
「お、お魚の身が、信じられないくらい柔らかくて、しっとりしてて……! 皮はパリッパリで香ばしくて……! ハーブの香りと、レモンバターソースの爽やかな酸味とコクが、上品な白身の旨味を、最高に引き立ててます……! お肉もいいけど、お魚も……最高……!」
彼女は、夢見心地といった様子で、次々と魚を口に運んでいく。その食べっぷりは、もはや食レポのプロのようだ。
「佐藤さん……! やっぱり、あなたは神様です……!」
「い、いやいや、素材が良かったんですよ……あと、レイナさんの魚捌きのおかげです……」
「そんなことないです! 佐藤さんの腕ですよ! ねえ、佐藤さん、本気で料理教室、開いたらどうですか? 私、絶対通います! ファンクラブも作ります!」
「いや、だから、それは無理ですって!」
全力で拒否する俺。
アイドルにファンクラブを作られる一般人なんて前代未聞だ。
湖畔の美しい景色の中で、極上の魚料理に舌鼓を打つ二人。傍から見れば、優雅なピクニックのようだが、ここがBランクダンジョンで目の前の魚が数分前まで凶暴なヌシだったことを考えると、やはりシュールな光景であることに変わりはなかった。
これは、間違いなく上質な白身だろう。
「さて、と……どう料理しましょうか」
これだけ大きいと丸焼きは無理だ。
切り身にする必要がある。
俺はリュックから家庭用でも一番大きなナイフを取り出し、巨大な魚体と向き合った。
まずは硬そうな鱗を剥がしていく。
これが、なかなかの重労働である。レイナさんが手伝ってくれたおかげで、なんとか全身の鱗を剥がし終えた。
次に三枚におろしていく。
普段、スーパーで切り身しか買わない俺にとって、これほどの巨大魚を捌くのは初めての経験だ。見よう見まねでナイフを入れていくが、なかなか上手くいかない。
「うーん、難しい……」
「佐藤さん、貸してみてください」
見かねたレイナさんが、俺からナイフを受け取った。そして驚くべきことに、彼女はまるで熟練の料理人のようにスムーズかつ的確にナイフを動かし、あっという間に巨大なレイク・キングを美しい三枚におろしてしまったのだ。
骨の周りにも、ほとんど身が残っていない。完璧な仕事ぶりだ。
「……レイナさん、なんでそんなに魚捌くの上手いんですか?」
「え? ああ、昔、おじいちゃんが漁師で、よく手伝わされてたので……」
(……アイドルなのに、元漁師の孫……? 情報量が多すぎる……)
彼女の意外な特技に驚きつつも、おかげで極上の白身の切り身を手に入れることができた。
今日のメニューは「レイク・キングのハーブ焼きレモンバターソース」に決定だ。
まずは、切り身に塩コショウを振り、持参した数種類のハーブ(ローズマリー、タイム、ディルなど)をまぶす。
フライパンを焚き火で熱し、オリーブオイルをひいて、皮目からじっくりと焼いていくのだ。
パチパチと音を立て、皮が香ばしく焼けていく。白身魚の良い香りが、湖畔の澄んだ空気の中に広がっていく。
「わぁ……! いい匂い……!」
レイナさんが、目を輝かせてフライパンを覗き込む。もう、待ちきれないといった様子だ。
皮目がパリッと焼けたら裏返し、身の方にも火を通す。火を通しすぎるとパサパサになるので、ここは注意が必要だ。
魚が焼きあがる直前に、バターとレモン汁、そして少量の白ワインをフライパンに加え、ソースを作る。バターが溶けてソースが乳化し、レモンの爽やかな香りが立ち上る。
「よし、完成です! レイク・キングのハーブ焼きレモンバターソース!」
大きめの皿にこんがりと焼きあがった魚の切り身を盛り付け、熱々のレモンバターソースをたっぷりとかける。仕上げに、刻みパセリを散らして彩りを加えれば。
見た目も、なかなか本格的なフレンチ風だ。
「うわぁぁぁ……! キラキラしてる……!」
レイナさんは、目の前の料理に完全に心を奪われているようだ。
「どうぞ、召し上がれ」
「い、いただきますっ!」
フォークでふっくらとした白身を一口大に切り分け、ソースを絡めて、ゆっくりと口に運ぶ。
「…………っ!!」
レイナさんの動きが、またしても止まる。そして、うっとりとした表情で、天を仰いだ。
「んんんんん~~~~~~~~~!!!!!! なにこれ、ふわっふわ……!」
彼女の目からは、幸せの涙?がこぼれ落ちそうだ。
「お、お魚の身が、信じられないくらい柔らかくて、しっとりしてて……! 皮はパリッパリで香ばしくて……! ハーブの香りと、レモンバターソースの爽やかな酸味とコクが、上品な白身の旨味を、最高に引き立ててます……! お肉もいいけど、お魚も……最高……!」
彼女は、夢見心地といった様子で、次々と魚を口に運んでいく。その食べっぷりは、もはや食レポのプロのようだ。
「佐藤さん……! やっぱり、あなたは神様です……!」
「い、いやいや、素材が良かったんですよ……あと、レイナさんの魚捌きのおかげです……」
「そんなことないです! 佐藤さんの腕ですよ! ねえ、佐藤さん、本気で料理教室、開いたらどうですか? 私、絶対通います! ファンクラブも作ります!」
「いや、だから、それは無理ですって!」
全力で拒否する俺。
アイドルにファンクラブを作られる一般人なんて前代未聞だ。
湖畔の美しい景色の中で、極上の魚料理に舌鼓を打つ二人。傍から見れば、優雅なピクニックのようだが、ここがBランクダンジョンで目の前の魚が数分前まで凶暴なヌシだったことを考えると、やはりシュールな光景であることに変わりはなかった。
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