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第3話 思い出の黄金オムライスと小さなお客さん
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厨房の大掃除が終わる頃には、日はすっかり傾き、お腹の虫がグーと鳴いた。
ピカピカに磨き上げられた魔導コンロが、「早く使ってくれ」と言わんばかりに輝いている。
「さて、記念すべき第一品目は何にしようかな」
私は食材庫と裏の菜園を確認した。
ハンスが育てている新鮮なトマトと玉ねぎ。そして裏庭で飼っているニワトリが産んだばかりの温かい卵。
王都のような高級食材はないけれど、素材の生命力に溢れている。
「よし、これならあれが作れるわね」
私が選んだのは、前世のカフェでも一番人気だったメニュー『ふわとろオムライス』だ。
まずはチキンライス作り。
鶏肉と玉ねぎを細かく刻み、バターを落としたフライパンで炒める。
ジュワアァッ……という小気味よい音とともに、バターの芳醇な香りが立ち上る。
そこに角切りのトマトを投入し、炊きたてのご飯と絡める。塩コショウで味を整えれば、甘酸っぱい香りが鼻をくすぐる特製チキンライスの完成だ。
「ここからが本番よ」
私は新しいボウルに卵を三個割り入れ、少量の牛乳を加えてよく溶きほぐした。
熱したフライパンに卵液を一気に流し込む。
菜箸で大きくかき混ぜながら、火の通り具合を見極める。ここだ、という瞬間に火から離し、半熟の状態でチキンライスの上に滑らせるように乗せた。最後にナイフで卵の真ん中に切れ目を入れる。とろり、と半熟の卵が雪崩のように広がり、赤いライスを黄金色に包み込んだ。
「できた……! 『再出発の黄金オムライス』の完成!」
湯気とともに広がる卵とバターの幸せな香り。
私はスプーンを手に取り、椅子に座った。
一口目を食べようとした、その時だ。
『クゥ~ン……』
開け放していた裏口の方から切なげな鳴き声が聞こえた。振り返ると、そこには白い毛玉のような生き物がちょこんと座っていた。
子犬……だろうか?
真っ白でふわふわの毛並みに宝石のような赤い瞳。ただ、少し痩せていて、お腹が空いているようだった。
「あら、あなたもお腹が空いてるの?」
私が話しかけると、その子はビクッと体を震わせたが、オムライスから漂う匂いに抗えないのか、じっとお皿を見つめている。
『……クゥ』
「ふふ、いいわよ。一人で食べるより美味しいものね」
私は小皿を取り出し、冷ましたオムライスを少し分けてあげた。床に置いた瞬間、白い毛玉は猛然と顔を突っ込んだ。
ハフハフ、ムグムグ。
一心不乱に食べる姿が愛らしい。
「美味しい?」
『ワンッ!』
一瞬で平らげたその子が満足げに尻尾を振った。すると、不思議なことが起きた。
その子の全身が淡い光に包まれ、なんだか毛並みが一段とツヤツヤになったような気がしたのだ。
(え? 何今の光? 西日の反射?)
首を傾げる私の足元に、その子は擦り寄ってきた。温かくて柔らかい。
「まあいいか。可愛いお客さん、名前がないなら『ルル』はどう? 私の世界で真珠みたいに可愛いって意味よ」
私が頭を撫でると、ルルは嬉しそうに私の手を舐めた。
こうして私は辺境での最初の日、美味しい夕食と、もふもふの同居人を手に入れたのだった。
ピカピカに磨き上げられた魔導コンロが、「早く使ってくれ」と言わんばかりに輝いている。
「さて、記念すべき第一品目は何にしようかな」
私は食材庫と裏の菜園を確認した。
ハンスが育てている新鮮なトマトと玉ねぎ。そして裏庭で飼っているニワトリが産んだばかりの温かい卵。
王都のような高級食材はないけれど、素材の生命力に溢れている。
「よし、これならあれが作れるわね」
私が選んだのは、前世のカフェでも一番人気だったメニュー『ふわとろオムライス』だ。
まずはチキンライス作り。
鶏肉と玉ねぎを細かく刻み、バターを落としたフライパンで炒める。
ジュワアァッ……という小気味よい音とともに、バターの芳醇な香りが立ち上る。
そこに角切りのトマトを投入し、炊きたてのご飯と絡める。塩コショウで味を整えれば、甘酸っぱい香りが鼻をくすぐる特製チキンライスの完成だ。
「ここからが本番よ」
私は新しいボウルに卵を三個割り入れ、少量の牛乳を加えてよく溶きほぐした。
熱したフライパンに卵液を一気に流し込む。
菜箸で大きくかき混ぜながら、火の通り具合を見極める。ここだ、という瞬間に火から離し、半熟の状態でチキンライスの上に滑らせるように乗せた。最後にナイフで卵の真ん中に切れ目を入れる。とろり、と半熟の卵が雪崩のように広がり、赤いライスを黄金色に包み込んだ。
「できた……! 『再出発の黄金オムライス』の完成!」
湯気とともに広がる卵とバターの幸せな香り。
私はスプーンを手に取り、椅子に座った。
一口目を食べようとした、その時だ。
『クゥ~ン……』
開け放していた裏口の方から切なげな鳴き声が聞こえた。振り返ると、そこには白い毛玉のような生き物がちょこんと座っていた。
子犬……だろうか?
真っ白でふわふわの毛並みに宝石のような赤い瞳。ただ、少し痩せていて、お腹が空いているようだった。
「あら、あなたもお腹が空いてるの?」
私が話しかけると、その子はビクッと体を震わせたが、オムライスから漂う匂いに抗えないのか、じっとお皿を見つめている。
『……クゥ』
「ふふ、いいわよ。一人で食べるより美味しいものね」
私は小皿を取り出し、冷ましたオムライスを少し分けてあげた。床に置いた瞬間、白い毛玉は猛然と顔を突っ込んだ。
ハフハフ、ムグムグ。
一心不乱に食べる姿が愛らしい。
「美味しい?」
『ワンッ!』
一瞬で平らげたその子が満足げに尻尾を振った。すると、不思議なことが起きた。
その子の全身が淡い光に包まれ、なんだか毛並みが一段とツヤツヤになったような気がしたのだ。
(え? 何今の光? 西日の反射?)
首を傾げる私の足元に、その子は擦り寄ってきた。温かくて柔らかい。
「まあいいか。可愛いお客さん、名前がないなら『ルル』はどう? 私の世界で真珠みたいに可愛いって意味よ」
私が頭を撫でると、ルルは嬉しそうに私の手を舐めた。
こうして私は辺境での最初の日、美味しい夕食と、もふもふの同居人を手に入れたのだった。
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