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第23話 青い魔石の贈り物
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昨日の今日だ。
ジークフリート様の破格の「ヘッドハンティング」をお断りしてしまった翌朝。
私は気まずさで胃をキリキリさせながら開店準備をしていた。
「……怒ってるかなぁ、やっぱり」
『クゥ~』
ルルが足元でボリボリと背中を掻いている。
領主様の申し出を蹴るなんて、平民としてはあるまじき行為だ。今日から店が「立ち入り禁止」になっても文句は言えない。
カランカラン。
その時、ドアベルが鳴った。
ビクッとして振り返ると、そこには眉間に深いシワを刻んだ『氷の騎士』が立っていた。
「い、いらっしゃいませ! ジーク様!」
「……うむ」
彼は無愛想に頷くと、いつものカウンター席へ。怒っては……いなさそうだ。
ただ、なんだか空気が重い。
「あの、昨日は失礼なことを……」
「気にするな。……お前の意志は尊重すると言ったはずだ」
彼は短く言うと、懐からゴソゴソと何かを取り出した。コトリ、とカウンターに置かれたのは、拳ほどの大きさがある美しい青色の宝石――魔石だった。透き通るようなブルーは、ジーク様の瞳の色とよく似ている。
「え、綺麗……。これは?」
「……店の護衛を増やすと言っただろう。だが、むさ苦しい騎士が常に店内にいては、客が怖がるかもしれん」
彼は視線を逸らし、頬杖をついた。
「これは、私の魔力を込めた結界石だ。店の中に置いておけば、悪意ある者を感知して弾き飛ばす。……ついでに、室温を快適に保つ効果もある」
すごい! 全自動エアコンだ!
魔道具は高価だと聞くけれど、こんな立派な石、家が一軒買えるんじゃないだろうか。
「そ、そんな高価なもの、いただけません!」
「貸すだけだ。……それに、お前になにかあって、私の飯が食えなくなるのが一番困る」
またそれだ。
あくまで「食事のため」と言い張るジーク様。
でも、その耳が赤いことは見逃さなかった。
「……ありがとうございます。大切にしますね」
私は魔石を手に取った。ひんやりとしているのに、どこか温かい波動を感じる。
私はそれを、店一番目立つレジ横の棚に飾ることにした。
「ふふ、なんだかジーク様に見守られているみたいで、安心します」
「ッ……!?」
私が無邪気に笑いかけると、ジーク様が盛大に咽せた。
「ゴホッ! ……き、貴様、そういうことをサラリと言うな」
「はい? 事実ですよ?」
「……はぁ。これだからお前は」
彼は深いため息をつくと、諦めたようにコーヒーを啜った。
「……ところで、その石には『虫除け』の効果もある」
「虫除けですか? 夏場には助かりますね!」
「……物理的な虫ではない。お前に寄り付こうとする有象無象の『悪い虫』のことだ」
彼の目がギラリと光った気がした。
悪い虫? ゴキブリのことかな?
(さすが辺境伯様。衛生面にも気を使ってくれるなんて、本当に優しい人だわ)
私は改めて感謝の眼差しを向けた。
カウンターの下でルルだけが、少し後ずさりしてドン引きしていたけれど、言葉が通じないのが悔やまれる。
「よし! これで安心して営業できますね。今日は張り切って、子供たちが大好きなメニューを作ろうかな!」
私は青く輝く魔石に見守られながら、次なるメニューの構想を練り始めた。
ジークフリート様の破格の「ヘッドハンティング」をお断りしてしまった翌朝。
私は気まずさで胃をキリキリさせながら開店準備をしていた。
「……怒ってるかなぁ、やっぱり」
『クゥ~』
ルルが足元でボリボリと背中を掻いている。
領主様の申し出を蹴るなんて、平民としてはあるまじき行為だ。今日から店が「立ち入り禁止」になっても文句は言えない。
カランカラン。
その時、ドアベルが鳴った。
ビクッとして振り返ると、そこには眉間に深いシワを刻んだ『氷の騎士』が立っていた。
「い、いらっしゃいませ! ジーク様!」
「……うむ」
彼は無愛想に頷くと、いつものカウンター席へ。怒っては……いなさそうだ。
ただ、なんだか空気が重い。
「あの、昨日は失礼なことを……」
「気にするな。……お前の意志は尊重すると言ったはずだ」
彼は短く言うと、懐からゴソゴソと何かを取り出した。コトリ、とカウンターに置かれたのは、拳ほどの大きさがある美しい青色の宝石――魔石だった。透き通るようなブルーは、ジーク様の瞳の色とよく似ている。
「え、綺麗……。これは?」
「……店の護衛を増やすと言っただろう。だが、むさ苦しい騎士が常に店内にいては、客が怖がるかもしれん」
彼は視線を逸らし、頬杖をついた。
「これは、私の魔力を込めた結界石だ。店の中に置いておけば、悪意ある者を感知して弾き飛ばす。……ついでに、室温を快適に保つ効果もある」
すごい! 全自動エアコンだ!
魔道具は高価だと聞くけれど、こんな立派な石、家が一軒買えるんじゃないだろうか。
「そ、そんな高価なもの、いただけません!」
「貸すだけだ。……それに、お前になにかあって、私の飯が食えなくなるのが一番困る」
またそれだ。
あくまで「食事のため」と言い張るジーク様。
でも、その耳が赤いことは見逃さなかった。
「……ありがとうございます。大切にしますね」
私は魔石を手に取った。ひんやりとしているのに、どこか温かい波動を感じる。
私はそれを、店一番目立つレジ横の棚に飾ることにした。
「ふふ、なんだかジーク様に見守られているみたいで、安心します」
「ッ……!?」
私が無邪気に笑いかけると、ジーク様が盛大に咽せた。
「ゴホッ! ……き、貴様、そういうことをサラリと言うな」
「はい? 事実ですよ?」
「……はぁ。これだからお前は」
彼は深いため息をつくと、諦めたようにコーヒーを啜った。
「……ところで、その石には『虫除け』の効果もある」
「虫除けですか? 夏場には助かりますね!」
「……物理的な虫ではない。お前に寄り付こうとする有象無象の『悪い虫』のことだ」
彼の目がギラリと光った気がした。
悪い虫? ゴキブリのことかな?
(さすが辺境伯様。衛生面にも気を使ってくれるなんて、本当に優しい人だわ)
私は改めて感謝の眼差しを向けた。
カウンターの下でルルだけが、少し後ずさりしてドン引きしていたけれど、言葉が通じないのが悔やまれる。
「よし! これで安心して営業できますね。今日は張り切って、子供たちが大好きなメニューを作ろうかな!」
私は青く輝く魔石に見守られながら、次なるメニューの構想を練り始めた。
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