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第2章 擦れ違いは突然に。聖奈の気持ち、月華の想い
喧嘩勃発!抑えきれない衝動
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ストレッチが終わり、筋力トレーニングへと移行する頃。男女は分かれてメニューをこなすことになった。その機を見て、恭弥は月詠のもとへと足を運んだ。
「なぁ、月詠。お前、月華に何言ったんだ? 月華があそこまで怒るって、お前がなんか変なこと言ったんだろ?」
言っても、月詠は無言で器具をいじっていた。苛立ちと焦りで、恭弥はもう一歩踏み込む。
「おい、聞こえてんだろ? なんで無視するんだよ!」
腕を掴んだ瞬間、月詠はその手を振り払い、低い声で返してきた。
「……恭弥が、昨日“付き合う”って言ったからだ。月華に迫ったから、あいつが意識しちまったんだよ。それに、朝だって妙に嬉しそうだったじゃねえか。」
「ち、違う! それは誤解だって! 月詠、お前も知ってるだろ!? 俺の好きなのは――聖奈姉さんだ。」
必死に伝えるも、月詠は一歩も引かなかった。
「じゃあ、今朝の20分、何してたんだ? 黙ってるってことは、やましい事したって証拠だろうが!」
「やましいことはしてない! 潔白だ!」
それでも月詠は怒りを爆発させ、突然拳を振り上げた。
「恭弥、人の女に手ぇ出すんじゃねぇ!!」
ドスッという鈍い音と共に、恭弥は地面に倒れ込む。その上に馬乗りになり、さらに殴ろうとする月詠。
「何が『やましい事はしてない』だ! してるから黙ってるんだろ!」
そこへ、騒ぎを聞きつけた日室と影山が飛び込んできて、月詠を恭弥から引き離した。
「やめないか! 何をやってるんだ、おまえらは!」
しかし、殴られた恭弥も怒りを抑えきれず、逆に月詠へと拳を返した。
「何もしてないって言ってんだろうが! 月華を怒らせたのはお前だろ!」
「だったら最初から、月華と付き合うなんて軽々しく言うなよ!」
拳と怒声が交差する騒動は、ついには女子たちの耳にも届いた。
「喧嘩? 綾野君と高坂君?」
「どうして?」
「月華さんのことでらしいよ。」
その言葉に、聖奈と月華は青ざめた顔で駆け出していた。
「……なんで、恭弥と月詠が喧嘩を……私のせい……?」
現場に到着すると、月詠は取り押さえられ、恭弥もまた仲間たちに抑えられていた。
「ちょっと、何があったの? 恭弥、月詠君……説明して!」
聖奈の一声に、月詠が叫ぶ。
「こいつが、俺の月華に手出したからだよ!」
「違う! 聞いてくれ、姉さん。月華とは何もしてない!誤解だ!」
しかし、月詠は追撃する。
「じゃあ、なんで朝遅れて来たんだよ!」
周囲の視線が恭弥に集中する。言い返すべき場面で、恭弥はあえて何も言えなかった。
その沈黙が、月詠にとっては「証拠」に映った。
「な? 言えないってことは――黒だ」
そのときだった。月華が、前に出た。
「……何もしてないよ。恭弥は、何もしてない。私が……寄り道しよって言ったの。でも恭弥は、何も言わず、私についてきてくれただけ。」
場が静まり返る。月詠だけがまだ険しい顔のままだった。
「だったら、なんで黙ってたんだ?なんでそう言わない?」
「私の我儘なことだったから、黙っててくれたの。……私が、バカだった。喧嘩になるくらいなら、最初から話すべきだったのに。」
月華の声は震えていた。だがそれでも月詠は信じなかった。
そして、月華は最後に言い放つ。
「お兄ちゃんのバカ! 大っ嫌い!」
そのまま、月華は走り去っていった。
「……今のは、どう見ても高坂、お前が悪い」
日室の静かな言葉が、月詠の胸に突き刺さった。
その日の放課後。部室の空気は、いつになく冷たかった。
「なぁ、月詠。お前、月華に何言ったんだ? 月華があそこまで怒るって、お前がなんか変なこと言ったんだろ?」
言っても、月詠は無言で器具をいじっていた。苛立ちと焦りで、恭弥はもう一歩踏み込む。
「おい、聞こえてんだろ? なんで無視するんだよ!」
腕を掴んだ瞬間、月詠はその手を振り払い、低い声で返してきた。
「……恭弥が、昨日“付き合う”って言ったからだ。月華に迫ったから、あいつが意識しちまったんだよ。それに、朝だって妙に嬉しそうだったじゃねえか。」
「ち、違う! それは誤解だって! 月詠、お前も知ってるだろ!? 俺の好きなのは――聖奈姉さんだ。」
必死に伝えるも、月詠は一歩も引かなかった。
「じゃあ、今朝の20分、何してたんだ? 黙ってるってことは、やましい事したって証拠だろうが!」
「やましいことはしてない! 潔白だ!」
それでも月詠は怒りを爆発させ、突然拳を振り上げた。
「恭弥、人の女に手ぇ出すんじゃねぇ!!」
ドスッという鈍い音と共に、恭弥は地面に倒れ込む。その上に馬乗りになり、さらに殴ろうとする月詠。
「何が『やましい事はしてない』だ! してるから黙ってるんだろ!」
そこへ、騒ぎを聞きつけた日室と影山が飛び込んできて、月詠を恭弥から引き離した。
「やめないか! 何をやってるんだ、おまえらは!」
しかし、殴られた恭弥も怒りを抑えきれず、逆に月詠へと拳を返した。
「何もしてないって言ってんだろうが! 月華を怒らせたのはお前だろ!」
「だったら最初から、月華と付き合うなんて軽々しく言うなよ!」
拳と怒声が交差する騒動は、ついには女子たちの耳にも届いた。
「喧嘩? 綾野君と高坂君?」
「どうして?」
「月華さんのことでらしいよ。」
その言葉に、聖奈と月華は青ざめた顔で駆け出していた。
「……なんで、恭弥と月詠が喧嘩を……私のせい……?」
現場に到着すると、月詠は取り押さえられ、恭弥もまた仲間たちに抑えられていた。
「ちょっと、何があったの? 恭弥、月詠君……説明して!」
聖奈の一声に、月詠が叫ぶ。
「こいつが、俺の月華に手出したからだよ!」
「違う! 聞いてくれ、姉さん。月華とは何もしてない!誤解だ!」
しかし、月詠は追撃する。
「じゃあ、なんで朝遅れて来たんだよ!」
周囲の視線が恭弥に集中する。言い返すべき場面で、恭弥はあえて何も言えなかった。
その沈黙が、月詠にとっては「証拠」に映った。
「な? 言えないってことは――黒だ」
そのときだった。月華が、前に出た。
「……何もしてないよ。恭弥は、何もしてない。私が……寄り道しよって言ったの。でも恭弥は、何も言わず、私についてきてくれただけ。」
場が静まり返る。月詠だけがまだ険しい顔のままだった。
「だったら、なんで黙ってたんだ?なんでそう言わない?」
「私の我儘なことだったから、黙っててくれたの。……私が、バカだった。喧嘩になるくらいなら、最初から話すべきだったのに。」
月華の声は震えていた。だがそれでも月詠は信じなかった。
そして、月華は最後に言い放つ。
「お兄ちゃんのバカ! 大っ嫌い!」
そのまま、月華は走り去っていった。
「……今のは、どう見ても高坂、お前が悪い」
日室の静かな言葉が、月詠の胸に突き刺さった。
その日の放課後。部室の空気は、いつになく冷たかった。
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