恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第2章 擦れ違いは突然に。聖奈の気持ち、月華の想い

求め合う二人、寄り添うのは罪か愛か

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恭弥のスマホに、ひっきりなしにメールが届いていた。
『月華がまだ戻っていないので探して。』

同じ文面のメッセージが何通も。既読もつけないまま、彼はただ宛てもなく歩き続けていた。午後十時を回っても、恭弥の心は聖奈に振られた傷で重く沈んだままだった。

気がつけば、足はある神社の裏山に向かっていた。かつて、月華と偶然二人きりで来たことのある場所――秘密のようで、どこか懐かしくて、誰も知らない逃げ場。月詠ですら知らないその場所に、無意識のうちに引き寄せられていた。

道なき道を進みながら、木々の隙間から漏れる月明かりに導かれるように裏山の奥へ。そこに、ぼんやりとした人影が浮かび上がった。

「……月華?」

目を凝らすと、それは間違いなく月華だった。膝を抱えて体育座りし、目元は泣きはらしたように腫れている。

「ここにいたのか……ずっと。」

恭弥が声をかけると、月華は微かに頷いた。

「嫌なことがあると、ここで一人で落ち込んでたの。……でも、恭弥がこの場所を覚えてたなんて、ちょっとびっくり。」

「俺も自分で驚いてるよ。なんでか、足が勝手に向いててさ……今日は、色々ありすぎた。」

そう言って、恭弥は月華の隣に腰を下ろす。どちらからともなく沈黙が落ちたが、やがて月華が切り出した。

「……何かあったんでしょ。泣きそうな顔、してる。」

その言葉に、恭弥の目に溜まっていた涙が、堰を切ったように流れ出した。

「……聖奈姉さんに、告白したんだ。はっきり、俺の想いを……でも、振られた。俺を、弟としか見れないって……。」

その告白は、月華の胸にずしんと響いた。

「そっか……やっぱり、私のせいなのかな。朝のあれが原因?」

「違う。あれもあったけど……最終的に、姉さんの中に俺は男として残らなかったんだと思う。月華のことも聞かれた。だから俺、正直に全部話して……でも、それでもダメだった。」

再び涙が落ちる。月華は静かに、恭弥を抱きしめた。

「疲れたよね……私も。好きな人に、誤解されて、振られて。……ねえ、恭弥、もういいじゃない?私たち、付き合っちゃおうよ。」

恭弥は目を見開いたが、その表情に迷いはなかった。

「慰め合いでいい。私、恭弥のこと……本気で好きだよ。ずっと、ずっと前から。」

その言葉が落ちきる前に、恭弥は月華の唇を奪っていた。
月詠以外の誰かとする初めてのキス。月華の唇は震えながらも、それに応えるように深く絡めた。
口の中に、微かに鉄の味が滲む。きっと、どこかで噛んでしまったのだろう。でも、そんな痛みさえも、今は甘く感じた。

――夜が明けるまで、二人は言葉もなく、ただ互いの温もりを確かめ合った。

スマホに届く無数の着信やメッセージにも気づかぬまま、二人はその裏山で二晩を過ごした。飢えと寒さに耐えかねて下山したとき、捜索願が出されていた彼らを警察が保護した。

警察署の待合室で、奏、朱里、そして恭介と修輔が駆け付ける。顔を合わせるや否や、恭介が恭弥の頬を叩き、修輔も月華を叩いた。だがその直後、二人を強く抱きしめた。

「親をどれだけ心配させたと思ってる……でも、よかった。無事で……。」

恭介が語るその言葉に、恭弥はゆっくりと事情を話し始めた。聞き終えた恭介は、しばらく沈黙した後、こう言った。

「誤解は解ける。だが、信頼はすぐには戻らない……その痛みも、きっとお前たちの選択の一部なんだな。」

涙を流しながら頷く二人。奏も、朱里も、ただ黙ってその肩を包み込んだ。

帰宅すると、そこには朝陽や蒼紫、そして月詠と刹那まで勢ぞろいしていた。張りつめた空気の中、先に声を出したのは月詠だった。

「……ずっと二人きりだったのか。でも……無事でよかった。本当に……恭弥、疑ってごめん。月華も……許してほしい。」

そう言って手を差し出した月詠に対し、月華の表情は冷たいままだった。

「兄さん、手を放して。それから、みんなに言っておくわ。私と恭弥、付き合うことにしたから。」

その一言は、場を凍らせた。そして月詠は、まるで何かを失ったように俯き、聖奈はその場で崩れるように気を失った。

その時、凪沙が一歩前に出て、恭弥に問いかける。

「……本気で言ってるの?聖奈のこと、好きだったんじゃなかったの?」

恭弥は冷たい眼差しのまま答えた。

「ああ。好きだった。でも、もう終わったんだ。だから、俺は月華といる。それだけだ。」

その声は感情の奥底に渦巻く復讐心すら感じさせ、家族たちは言葉を失った。

――こうして、恭弥と月華の選んだ道は、二つの家族の運命を揺さぶる大きな渦となって、静かに始まりを告げたのだった。
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