恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

文字の大きさ
40 / 448
第3章 剣術部非常事態宣言発令中、蒼穹の罪

未熟な愛、試される誠実

しおりを挟む
次に蒼穹が取り組んだのは、恭弥と月華の心のケアだった。

月詠の世話をしていない時間は、ほとんど二人のもとに足を運んでいた。けれど、蒼穹が何か特別なことをするわけではない。ただ、彼女は二人の一日を静かに見守っていた。

医師からは療養の延長を告げられ、すでに一週間が過ぎていた。

「なあ、月華は毎日そんなことばっかりしてて飽きないのか?」

蒼穹の問いに、月華は少し呆れたように笑った。

「姉さんには関係ないでしょ。私はこれで幸せなの。」

恭弥と月華の一日は、たいてい静かに進んでいた。二人でじゃんけんをしたり、映画を見たり、共通の漫画を読み合ったり。学校から届くプリントに並んで取り組む姿は、まるで仲の良い兄妹のようでもあった。手はいつも繋いだまま。夜も同じ部屋で、ただし監視役の凪沙が間に寝ていた。

月華が左利きだったのは、不幸中の幸いだったかもしれない。右手はずっと恭弥と繋がれていても、箸もシャーペンも難なく使えたのだ。

「でもね、私には――ただ、互いの傷を舐め合ってるようにしか見えないよ。そんなの、恋人って言えるの?」

蒼穹の声に、月華の眉がぴくりと動いた。

「関係ないでしょ。だいたい、こんなことになったのは姉さんのせいなんだからね。」

「それは、確かにその通りだね。ごめん。」

拍子抜けするほどあっさりと謝られ、月華はそれ以上言葉を続けられなかった。

けれど、蒼穹の挑発は止まらない。

「それでも、私にはわからないな。本当に、あなたたちが恋人同士だなんて。」

「じゃあ、姉さんの言う【恋人】って、何なのよ?」

月華はつい乗ってしまった。蒼穹は彼女の性格を知り尽くしている。こうして月華は、まんまと蒼穹の掌の上で転がされていく。

「そうね。月華にはまだ想像もつかないようなことができるなら、それが本物の恋人ってとこかしら。あんたには、無理でしょ?」

「できるわよ。姉さんが言ってるようなこと、私と恭弥でやってみせるわ。」

そう言って、月華は恭弥に唇を重ねた。

初めて誰かの前でキスをした羞恥と、ほんの少しの誇らしさ。頬が真っ赤に染まった。

「なによそれ、そんな子供みたいなキスで恋人面? 笑っちゃうわ。もっと大人のことしてると思ったのに。」

蒼穹の言葉に、月華の怒りは一気に爆発した。

「その先をしてないのは、恭弥が私を大事にしてくれてるからよ! 私たちは中学生なのよ、そんなの当然じゃない!」

言葉はまっすぐだった。けれど蒼穹はなおも攻める。

「中学生だから? 大切にしてるから? そんなのただの言い訳よ。本当は、恭弥があなたを好きじゃないから触れられないだけじゃないの? まだ、聖奈のことが好きなんだよ。」

その言葉は鋭く、深く、月華の心を突き刺した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...