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第3章 剣術部非常事態宣言発令中、蒼穹の罪
未熟な愛、試される誠実
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次に蒼穹が取り組んだのは、恭弥と月華の心のケアだった。
月詠の世話をしていない時間は、ほとんど二人のもとに足を運んでいた。けれど、蒼穹が何か特別なことをするわけではない。ただ、彼女は二人の一日を静かに見守っていた。
医師からは療養の延長を告げられ、すでに一週間が過ぎていた。
「なあ、月華は毎日そんなことばっかりしてて飽きないのか?」
蒼穹の問いに、月華は少し呆れたように笑った。
「姉さんには関係ないでしょ。私はこれで幸せなの。」
恭弥と月華の一日は、たいてい静かに進んでいた。二人でじゃんけんをしたり、映画を見たり、共通の漫画を読み合ったり。学校から届くプリントに並んで取り組む姿は、まるで仲の良い兄妹のようでもあった。手はいつも繋いだまま。夜も同じ部屋で、ただし監視役の凪沙が間に寝ていた。
月華が左利きだったのは、不幸中の幸いだったかもしれない。右手はずっと恭弥と繋がれていても、箸もシャーペンも難なく使えたのだ。
「でもね、私には――ただ、互いの傷を舐め合ってるようにしか見えないよ。そんなの、恋人って言えるの?」
蒼穹の声に、月華の眉がぴくりと動いた。
「関係ないでしょ。だいたい、こんなことになったのは姉さんのせいなんだからね。」
「それは、確かにその通りだね。ごめん。」
拍子抜けするほどあっさりと謝られ、月華はそれ以上言葉を続けられなかった。
けれど、蒼穹の挑発は止まらない。
「それでも、私にはわからないな。本当に、あなたたちが恋人同士だなんて。」
「じゃあ、姉さんの言う【恋人】って、何なのよ?」
月華はつい乗ってしまった。蒼穹は彼女の性格を知り尽くしている。こうして月華は、まんまと蒼穹の掌の上で転がされていく。
「そうね。月華にはまだ想像もつかないようなことができるなら、それが本物の恋人ってとこかしら。あんたには、無理でしょ?」
「できるわよ。姉さんが言ってるようなこと、私と恭弥でやってみせるわ。」
そう言って、月華は恭弥に唇を重ねた。
初めて誰かの前でキスをした羞恥と、ほんの少しの誇らしさ。頬が真っ赤に染まった。
「なによそれ、そんな子供みたいなキスで恋人面? 笑っちゃうわ。もっと大人のことしてると思ったのに。」
蒼穹の言葉に、月華の怒りは一気に爆発した。
「その先をしてないのは、恭弥が私を大事にしてくれてるからよ! 私たちは中学生なのよ、そんなの当然じゃない!」
言葉はまっすぐだった。けれど蒼穹はなおも攻める。
「中学生だから? 大切にしてるから? そんなのただの言い訳よ。本当は、恭弥があなたを好きじゃないから触れられないだけじゃないの? まだ、聖奈のことが好きなんだよ。」
その言葉は鋭く、深く、月華の心を突き刺した。
月詠の世話をしていない時間は、ほとんど二人のもとに足を運んでいた。けれど、蒼穹が何か特別なことをするわけではない。ただ、彼女は二人の一日を静かに見守っていた。
医師からは療養の延長を告げられ、すでに一週間が過ぎていた。
「なあ、月華は毎日そんなことばっかりしてて飽きないのか?」
蒼穹の問いに、月華は少し呆れたように笑った。
「姉さんには関係ないでしょ。私はこれで幸せなの。」
恭弥と月華の一日は、たいてい静かに進んでいた。二人でじゃんけんをしたり、映画を見たり、共通の漫画を読み合ったり。学校から届くプリントに並んで取り組む姿は、まるで仲の良い兄妹のようでもあった。手はいつも繋いだまま。夜も同じ部屋で、ただし監視役の凪沙が間に寝ていた。
月華が左利きだったのは、不幸中の幸いだったかもしれない。右手はずっと恭弥と繋がれていても、箸もシャーペンも難なく使えたのだ。
「でもね、私には――ただ、互いの傷を舐め合ってるようにしか見えないよ。そんなの、恋人って言えるの?」
蒼穹の声に、月華の眉がぴくりと動いた。
「関係ないでしょ。だいたい、こんなことになったのは姉さんのせいなんだからね。」
「それは、確かにその通りだね。ごめん。」
拍子抜けするほどあっさりと謝られ、月華はそれ以上言葉を続けられなかった。
けれど、蒼穹の挑発は止まらない。
「それでも、私にはわからないな。本当に、あなたたちが恋人同士だなんて。」
「じゃあ、姉さんの言う【恋人】って、何なのよ?」
月華はつい乗ってしまった。蒼穹は彼女の性格を知り尽くしている。こうして月華は、まんまと蒼穹の掌の上で転がされていく。
「そうね。月華にはまだ想像もつかないようなことができるなら、それが本物の恋人ってとこかしら。あんたには、無理でしょ?」
「できるわよ。姉さんが言ってるようなこと、私と恭弥でやってみせるわ。」
そう言って、月華は恭弥に唇を重ねた。
初めて誰かの前でキスをした羞恥と、ほんの少しの誇らしさ。頬が真っ赤に染まった。
「なによそれ、そんな子供みたいなキスで恋人面? 笑っちゃうわ。もっと大人のことしてると思ったのに。」
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「その先をしてないのは、恭弥が私を大事にしてくれてるからよ! 私たちは中学生なのよ、そんなの当然じゃない!」
言葉はまっすぐだった。けれど蒼穹はなおも攻める。
「中学生だから? 大切にしてるから? そんなのただの言い訳よ。本当は、恭弥があなたを好きじゃないから触れられないだけじゃないの? まだ、聖奈のことが好きなんだよ。」
その言葉は鋭く、深く、月華の心を突き刺した。
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