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第3章 剣術部非常事態宣言発令中、蒼穹の罪
手を伸ばすことのできなかった愛
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「嘘よ……!」
怒りに任せて、月華は自分の服に手をかけ、そして恭弥のシャツに手を伸ばした。
「ちょっと待って。それじゃ意味がないでしょ。自分から脱がせたって、恭弥の“好き”は見えてこないじゃない。彼が自分で動かなきゃ。」
蒼穹の声に、恭弥は目を伏せたまま、何もできずにいた。
「どうして……? 恭弥……私、本気なのに。恭弥に、全部をあげてもいいって、思ってるのに……。」
月華の切実な声に、ようやく恭弥の手がわずかに動いた――が、その先には進まなかった。
そして、蒼穹は、最後の一撃を放つ。
「ねぇ、恭弥がそれを本当にしたら、聖奈はどうなると思う? 知ったら、泣いちゃうよね。もしかしたら、立ち直れないかもよ。」
その言葉が、決定的だった。
恭弥の瞳から光が消え、そして……月華の手を離した。
「……どうして。どうしてなのよ……。」
月華の目に、涙が浮かんだ。もう一度繋ごうと手を伸ばそうとしたが、体が動かなかった。怖かった。今度こそ拒絶されたら、自分はもう壊れてしまうと、わかっていたから。
恭弥は、月華を見つめたまま、動けなかった。差し伸べたい。だけど、脳裏に浮かぶのは聖奈の顔で――手は動かなかった。
そして――
ふたりは形としては“解放”されたものの、心には深い傷だけが残った。
部屋を出た蒼穹を、凪沙が静かに見つめていた。
「蒼穹、やりすぎなんじゃないの? 二人とも、あんなに傷つけて……。」
蒼穹は、悲しげに目を伏せた。
「そうかもしれない。でもね……この痛みはまだ、浅いもの。私は、月華には心から愛してくれる人に、初めてを捧げてほしいの。情に流されたまま傷ついたら、彼女は一生、後悔する。私みたいに。」
蒼穹の声は、どこか遠くを見ていた。
「私の後悔は、晃介先生じゃなくて……月詠に、初めてを捧げたことなの。自分が犯した過ちで、家族を壊してしまったことが、ずっと私を苦しめてる。だから、妹には同じ思いをしてほしくなかったの。」
そして最後に、蒼穹は静かに続けた。
「恭弥のことはお願い。癒せるのは、聖奈の本当の気持ちだけ。月華のことは……私が責任を持つ。」
そう言い残し、蒼穹は夜の中、自宅へと帰っていった。
――その背中には、過去と痛みの重さが、静かに降り積もっていた。
怒りに任せて、月華は自分の服に手をかけ、そして恭弥のシャツに手を伸ばした。
「ちょっと待って。それじゃ意味がないでしょ。自分から脱がせたって、恭弥の“好き”は見えてこないじゃない。彼が自分で動かなきゃ。」
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「どうして……? 恭弥……私、本気なのに。恭弥に、全部をあげてもいいって、思ってるのに……。」
月華の切実な声に、ようやく恭弥の手がわずかに動いた――が、その先には進まなかった。
そして、蒼穹は、最後の一撃を放つ。
「ねぇ、恭弥がそれを本当にしたら、聖奈はどうなると思う? 知ったら、泣いちゃうよね。もしかしたら、立ち直れないかもよ。」
その言葉が、決定的だった。
恭弥の瞳から光が消え、そして……月華の手を離した。
「……どうして。どうしてなのよ……。」
月華の目に、涙が浮かんだ。もう一度繋ごうと手を伸ばそうとしたが、体が動かなかった。怖かった。今度こそ拒絶されたら、自分はもう壊れてしまうと、わかっていたから。
恭弥は、月華を見つめたまま、動けなかった。差し伸べたい。だけど、脳裏に浮かぶのは聖奈の顔で――手は動かなかった。
そして――
ふたりは形としては“解放”されたものの、心には深い傷だけが残った。
部屋を出た蒼穹を、凪沙が静かに見つめていた。
「蒼穹、やりすぎなんじゃないの? 二人とも、あんなに傷つけて……。」
蒼穹は、悲しげに目を伏せた。
「そうかもしれない。でもね……この痛みはまだ、浅いもの。私は、月華には心から愛してくれる人に、初めてを捧げてほしいの。情に流されたまま傷ついたら、彼女は一生、後悔する。私みたいに。」
蒼穹の声は、どこか遠くを見ていた。
「私の後悔は、晃介先生じゃなくて……月詠に、初めてを捧げたことなの。自分が犯した過ちで、家族を壊してしまったことが、ずっと私を苦しめてる。だから、妹には同じ思いをしてほしくなかったの。」
そして最後に、蒼穹は静かに続けた。
「恭弥のことはお願い。癒せるのは、聖奈の本当の気持ちだけ。月華のことは……私が責任を持つ。」
そう言い残し、蒼穹は夜の中、自宅へと帰っていった。
――その背中には、過去と痛みの重さが、静かに降り積もっていた。
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