恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第12章 旭日中学剣術部の恋愛事情 後編

ラブ・トレ・ミッション!恭弥と茜のゼログラ合宿⑤~恋の重力、ゼロになんてできない~

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恭弥はまだ少し顔を赤らめたまま、茜をそっと椅子に座らせた。茜もジャージの前をきちんと合わせて、静かに息を整えている。

すると、部屋の奥から咲の声が聞こえてきた。

「……どうしたの? まだ時間じゃないよね?」

咲が静かに近づいてきて、恭弥と茜を交互に見た。

「茜が、ちょっと限界近かったみたいで。無理させたくなかったから、一度戻ったんだ。俺はもう少ししたら、また行くよ。」

恭弥がそう説明すると、咲はじっと彼を見つめた。そして、ふとした瞬間に口元をゆるめて、少しだけ意地悪そうな笑みを浮かべる。

「あらそう。……でも入る前から“茜”って呼んでたとはいえ、なんだか戻ってきたときの空気が違う気がするのよね。ふたりっきりのバーチャル空間で、何があったのかしら?」

「えっ、いや……特になにも……」

咲の問いかけに焦ったように返す恭弥。だがその足元に、突然ずしっと重みがのしかかった。

「うわっ、いった……!」

見ると、咲が無言で彼の足を踏んでいた。

「……他意はないって顔、してないけど?」

「ち、違うって!ほんとに、誤解だってば!」

必死で釈明する恭弥の様子を、咲は冷めた目でじっと見つめる。その視線は、やがて茜へと向かっていった。

「それにしても……茜ちゃん、なんで恭弥のジャージ着てるの?」

一瞬、空気がぴりっと張りつめる。

でも、その緊張をほどいたのは茜だった。

「これは……私、トレーニング中に結構汗をかいちゃって……服が少し透けちゃったみたいで……。それで、恭弥君が気を利かせて貸してくれたの。」

落ち着いた口調でそう言う茜は、堂々としていて、どこか安心感があった。

咲はその答えに小さく頷いたあと、再び恭弥を見た。

「……へぇ。まあ、そういうことなら……私がロッカールームまで行って、茜ちゃんの着替え持ってきてあげるわ。」

「……ありがとう。お願いできますか?」

茜が丁寧に礼を言うと、咲はふっと微笑んでその場を後にした。

咲が部屋を出て行ったあと、ふたりの間に少しだけ安堵の空気が流れる。

「……ふぅ。あぶなかったね。」

茜が小声でつぶやいた。

「うん……咲、ほんと鋭いからな。隠し事とか、すぐ見抜かれる。」

恭弥は苦笑しながら言ったが、その表情にはどこか懐かしさも混じっていた。

「でも……姫柊先輩って、婚約者だったんだよね?」

その言葉に、恭弥は少しだけ間を置いてから、首を横に振った。
「……実は、もう婚約はしてないんだ。咲は今後、家の事情で誰かと結婚させられるかもしれないって話が出てて……それで、俺の方から“そういうふうに見せかける”って感じで一時的に“婚約してることにしてた”んだ。でも、それもちゃんと終わらせたよ。まだ周りには言ってないけど。」

「そっか……じゃあ、今は……」

茜が目を輝かせながら続きを聞こうとしたその時、恭弥は少しバツが悪そうに視線をそらした。

「……実は今、聖奈と……それから、咲とも付き合ってる。」

「えっ……ふたりと?」

茜の目が大きく見開かれる。

恭弥は少し気まずそうにしながらも、真剣な表情で続けた。

「咲は、最初は“助けになれればいい”って思ってた。でも、気づいたら……ちゃんと好きになってた。聖奈のことも咲のことも、どっちも大切で……どっちかなんて選べなかった。」

「……聖奈さんって、お姉さん……だよね?」

「うん。母親は違うけどさ……それでも、気持ちは止められなかった。」

茜は小さく息を吸って、しばらく黙り込んだ。恭弥が少し気にするように様子をうかがうと――

「……じゃあ、私もその中に入ってもいい?」 

ぽつんと、でもはっきりとした声で、茜は言った。 

「えっ……」

恭弥は思わず言葉を詰まらせる。

茜は頬をほんのり赤らめながら、続けた。

「私も、恭弥君のこと……初めて出会ったときから、ずっと気になってたの。最初はただ、かっこいいなって思ってただけ。でも時間がたつほど、その気持ちはどんどん膨れ上がっていって……今日一緒に練習して、話して、触れて……優しさも、まっすぐなところも知って……もっと知りたいって思った。」

茜はそっと視線を恭弥に向ける。

「私の心の中は、恭弥君で埋め尽くされているの。だから、私も……。」

そして、少しだけ拗ねたように、頬をふくらませながら言い添えた。

「二人と付き合ってるなら、もう一人くらい増えても……別に問題ないよね?」

恭弥は呆気に取られたまま、ぽかんと茜を見つめていた
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