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第12章 旭日中学剣術部の恋愛事情 後編
ラブ・トレ・ミッション!⑧~主将の異変と、心に走る衝撃~
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月詠が診察室の前でじっと立ち尽くしていると、タイミング悪く扉が開き、中から看護師たちの声が聞こえてきた。
「ねえ、今診察してる子って、旭日中学の剣術部の子だよね? 去年の全国大会で優勝してたって噂の……」
「やっぱりそうなんだ。どこかで見たことあると思ったけど……でも、あの足じゃ、もう試合は無理かもね。」
月詠の心臓が、ドクンと音を立てた。
「両足にヒビ、それに靭帯も……数か所断裂してるって聞いたよ。あと6週間で回復なんて、絶対無理じゃない?」
「うん、出場どころか、立つのだってまともじゃないって話……今年が最後の大会なんでしょ? かわいそうだけど、出場辞退ってことになるのかな。」
その会話を耳にして、月詠の目が大きく見開かれる。
(うそ……そんな状態だったのか、主将……)
けれど、すぐに別の声が飛び込んできた。
「ちょっと! あんたたち、患者さんのことをそんなふうに話して!」
厳しそうな声とともに、看護長らしき女性が現れ、若い看護師たちを叱りつける。
「すみませんっ……! すぐ戻ります!」
新卒らしい看護師たちは慌てて去っていった。
「まったく……まだ学生気分が抜けないのかしらね。」
女性は小さくため息をついてから、ふと廊下の先にいる月詠の姿を見つける。
「……あなた、大丈夫? 顔、真っ青よ?」
声をかけられても、月詠は返事ができなかった。自分でも気づかぬうちに、心がざわつきすぎていた。
女性はそっと月詠に歩み寄ると、やさしく声をかける。
「ちょっと別室で休みましょ。立っていられる?」
月詠はうなずくこともできず、ただそのまま連れていかれるように、隣の部屋へと通された。
部屋の中でベッドに腰掛けると、看護長は月詠の手首に指を添えて脈を計り、さらに額に手を当てる。
……と思った瞬間。
(ち、近い……!)
春香の顔が目の前にぐっと近づき、息がふっとかかる距離。月詠の心拍が一気に跳ね上がった。
「……脈が速くなってきてるわね。ちょっと横になって?」
その言葉にも、月詠はますますドギマギしてしまう。
思わず目をそらすと、首元から覗いた春香の襟元――ほんの少し、薄いピンクのレースが見えてしまい、さらに慌てて視線を戻した。
(やばい、絶対顔赤い……!)
「名前を教えてくれる? 手続きに必要だから。」
春香がやさしく問いかける。
「……長坂月詠です。十三歳、朝陽中学の一年です。」
声が小さくなってしまったが、春香はにっこりと笑った。
「ありがとう。ああ、やっぱり。今ホテルで訓練してる特別チームの子ね。私、このメディカルセンターで看護長をしている桃山春香って言うの。四月からここに来てるのよ。」
そう言って、首から下げたネームタグを見せてくれる。
「どう? 少しは落ち着いてきた?」
再び手を取って脈を確認する春香に、月詠は冗談まじりに口を開いた。
「……こんな若くて綺麗な看護長さんが近くにいたら……ドキドキしちゃって、逆に落ち着きません。」
春香はくすっと笑った。
「それ、褒め言葉として受け取っておくわね。」
そう言って微笑む春香の顔を、月詠は照れくさそうに見上げた。
(でも……それでも今、一番気になるのは……)
ふと凍夜の姿が脳裏に浮かぶ。
月詠の胸の奥には、ふわりと温かい春香の笑顔とは別の、言い知れぬ不安が残っていた――。
「ねえ、今診察してる子って、旭日中学の剣術部の子だよね? 去年の全国大会で優勝してたって噂の……」
「やっぱりそうなんだ。どこかで見たことあると思ったけど……でも、あの足じゃ、もう試合は無理かもね。」
月詠の心臓が、ドクンと音を立てた。
「両足にヒビ、それに靭帯も……数か所断裂してるって聞いたよ。あと6週間で回復なんて、絶対無理じゃない?」
「うん、出場どころか、立つのだってまともじゃないって話……今年が最後の大会なんでしょ? かわいそうだけど、出場辞退ってことになるのかな。」
その会話を耳にして、月詠の目が大きく見開かれる。
(うそ……そんな状態だったのか、主将……)
けれど、すぐに別の声が飛び込んできた。
「ちょっと! あんたたち、患者さんのことをそんなふうに話して!」
厳しそうな声とともに、看護長らしき女性が現れ、若い看護師たちを叱りつける。
「すみませんっ……! すぐ戻ります!」
新卒らしい看護師たちは慌てて去っていった。
「まったく……まだ学生気分が抜けないのかしらね。」
女性は小さくため息をついてから、ふと廊下の先にいる月詠の姿を見つける。
「……あなた、大丈夫? 顔、真っ青よ?」
声をかけられても、月詠は返事ができなかった。自分でも気づかぬうちに、心がざわつきすぎていた。
女性はそっと月詠に歩み寄ると、やさしく声をかける。
「ちょっと別室で休みましょ。立っていられる?」
月詠はうなずくこともできず、ただそのまま連れていかれるように、隣の部屋へと通された。
部屋の中でベッドに腰掛けると、看護長は月詠の手首に指を添えて脈を計り、さらに額に手を当てる。
……と思った瞬間。
(ち、近い……!)
春香の顔が目の前にぐっと近づき、息がふっとかかる距離。月詠の心拍が一気に跳ね上がった。
「……脈が速くなってきてるわね。ちょっと横になって?」
その言葉にも、月詠はますますドギマギしてしまう。
思わず目をそらすと、首元から覗いた春香の襟元――ほんの少し、薄いピンクのレースが見えてしまい、さらに慌てて視線を戻した。
(やばい、絶対顔赤い……!)
「名前を教えてくれる? 手続きに必要だから。」
春香がやさしく問いかける。
「……長坂月詠です。十三歳、朝陽中学の一年です。」
声が小さくなってしまったが、春香はにっこりと笑った。
「ありがとう。ああ、やっぱり。今ホテルで訓練してる特別チームの子ね。私、このメディカルセンターで看護長をしている桃山春香って言うの。四月からここに来てるのよ。」
そう言って、首から下げたネームタグを見せてくれる。
「どう? 少しは落ち着いてきた?」
再び手を取って脈を確認する春香に、月詠は冗談まじりに口を開いた。
「……こんな若くて綺麗な看護長さんが近くにいたら……ドキドキしちゃって、逆に落ち着きません。」
春香はくすっと笑った。
「それ、褒め言葉として受け取っておくわね。」
そう言って微笑む春香の顔を、月詠は照れくさそうに見上げた。
(でも……それでも今、一番気になるのは……)
ふと凍夜の姿が脳裏に浮かぶ。
月詠の胸の奥には、ふわりと温かい春香の笑顔とは別の、言い知れぬ不安が残っていた――。
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