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第17章 聖奈の完全敗北と喜べない女子団体優勝
母のぬくもり~でも目指すのは聖奈の隣~
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奏は、廊下の壁にもたれ、涙をこらえている恭弥の姿をそっと見つめていた。
「……恭弥、よく頑張ったわね。つらかったでしょう?」
その優しい声に、恭弥は顔をそむけた。
「べつに……大したことじゃねぇし。」
「ふふっ、そうやって強がるところだけ、反抗期なのね。」
奏は微笑みながら、自分のほうへ手招きをした。
「ほら、おいで。母さんが、ぎゅっとしてあげる。」
「はっ!? ……そんなの、恥ずかしいって。」
恭弥が赤くなって一歩退いたが、奏はクスッと笑って、自分から軽く抱き寄せた。
「泣いてもいいのよ。恭弥は、聖奈のために全力だった。それだけで、十分立派よ。」
その言葉に耐えきれず、恭弥は小さく肩を震わせながら、目元を拭った。
「……何もできなかった。守るって決めてたのに、逆に聖奈を傷つけて……。」
少年のような不安げな声が、奏の胸のあたりでかすかに響いた。
「でもね、“そばにいたい”って気持ちが、あの子を支えるの。言葉よりも、その存在が力になるのよ。」
奏が優しく頭を撫でると、恭弥はふっと力を抜いて身体を預けた。
そのとき、奏の柔らかな体温にふれるような体勢になり、ふわりと包まれる感触に、恭弥の耳がじんわりと熱く染まる。
「……母さん、ちょっと……近いって……。」
「なに言ってるの、もう。まだまだ子どもなんだから。」
奏は笑いながらも、恭弥の頭を押さえたまま、離さなかった。
「でもさ……やっぱり、聖奈の方が心地よさってだと落ち着くかも。」
冗談交じりに言ったその一言に――
「……この口かしら?余計なこと言うのは?」
奏がふっと笑い、恭弥の頬を軽くつまんだ。
「いてっ! つ、つまむなって!」
恭弥は勢いよく逃げようとしたが、すぐ後ろにいたつぐみに軽くぶつかってしまう。
「おやおや、いい男が来たぞ。このお姉さんが抱きしめてあげよう!」
揶揄うようにつぐみが恭弥に抱き占めると、恭弥は顔を真っ赤にして小さくなった。
母とはまるで違うふわりとした柔らかさと心地よさ、そして香水の匂いが恭弥を包んだ。
照れ隠しのように、慌てて離れると、恭弥は医務室の扉にそっと近づき、中の様子を聞こうと耳を寄せた――が。
「うわっ!」
ちょうどその瞬間、扉が開いて鼻を直撃した。
「……ドアの前に立ってたら、そりゃ当たるだろ。」
恭介が出てきて、あきれたように言った。
鼻を押さえながら涙目の恭弥だったが、出てきた聖奈の姿を見た瞬間、真剣な目に戻る。
「……聖奈、さっきは……ごめん。」
言葉をかけるが、聖奈は短く視線を向けただけで、静かに会場へと向かっていった。
追おうとした恭弥の肩を、恭介がそっと押さえた。
「今は、彼女の決意を見守れ。次は……お前の番だ。」
恭弥は一瞬だけ迷ったが、小さく頷き、その背中を見送った。
奏と恭介もまた、その姿を、少しだけ誇らしげに見つめていた。
「……恭弥、よく頑張ったわね。つらかったでしょう?」
その優しい声に、恭弥は顔をそむけた。
「べつに……大したことじゃねぇし。」
「ふふっ、そうやって強がるところだけ、反抗期なのね。」
奏は微笑みながら、自分のほうへ手招きをした。
「ほら、おいで。母さんが、ぎゅっとしてあげる。」
「はっ!? ……そんなの、恥ずかしいって。」
恭弥が赤くなって一歩退いたが、奏はクスッと笑って、自分から軽く抱き寄せた。
「泣いてもいいのよ。恭弥は、聖奈のために全力だった。それだけで、十分立派よ。」
その言葉に耐えきれず、恭弥は小さく肩を震わせながら、目元を拭った。
「……何もできなかった。守るって決めてたのに、逆に聖奈を傷つけて……。」
少年のような不安げな声が、奏の胸のあたりでかすかに響いた。
「でもね、“そばにいたい”って気持ちが、あの子を支えるの。言葉よりも、その存在が力になるのよ。」
奏が優しく頭を撫でると、恭弥はふっと力を抜いて身体を預けた。
そのとき、奏の柔らかな体温にふれるような体勢になり、ふわりと包まれる感触に、恭弥の耳がじんわりと熱く染まる。
「……母さん、ちょっと……近いって……。」
「なに言ってるの、もう。まだまだ子どもなんだから。」
奏は笑いながらも、恭弥の頭を押さえたまま、離さなかった。
「でもさ……やっぱり、聖奈の方が心地よさってだと落ち着くかも。」
冗談交じりに言ったその一言に――
「……この口かしら?余計なこと言うのは?」
奏がふっと笑い、恭弥の頬を軽くつまんだ。
「いてっ! つ、つまむなって!」
恭弥は勢いよく逃げようとしたが、すぐ後ろにいたつぐみに軽くぶつかってしまう。
「おやおや、いい男が来たぞ。このお姉さんが抱きしめてあげよう!」
揶揄うようにつぐみが恭弥に抱き占めると、恭弥は顔を真っ赤にして小さくなった。
母とはまるで違うふわりとした柔らかさと心地よさ、そして香水の匂いが恭弥を包んだ。
照れ隠しのように、慌てて離れると、恭弥は医務室の扉にそっと近づき、中の様子を聞こうと耳を寄せた――が。
「うわっ!」
ちょうどその瞬間、扉が開いて鼻を直撃した。
「……ドアの前に立ってたら、そりゃ当たるだろ。」
恭介が出てきて、あきれたように言った。
鼻を押さえながら涙目の恭弥だったが、出てきた聖奈の姿を見た瞬間、真剣な目に戻る。
「……聖奈、さっきは……ごめん。」
言葉をかけるが、聖奈は短く視線を向けただけで、静かに会場へと向かっていった。
追おうとした恭弥の肩を、恭介がそっと押さえた。
「今は、彼女の決意を見守れ。次は……お前の番だ。」
恭弥は一瞬だけ迷ったが、小さく頷き、その背中を見送った。
奏と恭介もまた、その姿を、少しだけ誇らしげに見つめていた。
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