恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第17章 聖奈の完全敗北と喜べない女子団体優勝

代表戦開始~咲と朱璃のガチ勝負!

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『これより、旭日中学対豊葦原鷹籠学園中等部との代表戦を始めます。』

その瞬間、観客席がぴたりと静まった。
息を呑む気配が広がる中、全ての視線がバトルフィールドへと集中する。

アウェイ感漂う中で、咲がゆっくりと現れた。
手には二本の愛刀――『阿修羅』と『夜叉』。
その表情には、いつもの柔らかな雰囲気はない。張り詰めた糸のような気配が、そのまま剣となって放たれていた。

対するのは、神聖な巫女装束を纏った少女――榎宮朱璃。
既に対峙する位置に立ち、言葉もなく、その存在感だけで空気を支配していた。

 

『なお、この試合では誹謗中傷の野次に対し、厳重な処置が科せられます。
発覚した場合は、ご退場いただくこともございますので、ご注意ください。
また、主審は佐伯に代わりまして、私、工藤が責任を持って務めさせていただきます。
それでは、間もなく代表戦を開始します。』

フィールドに立つ女性主審・工藤が、静かに歩み寄る。

「おおまかな事情は前任から聞いています。
場内の空気は独特ですが、どうか……悔いのない試合を。」

咲は軽く一礼した。

「ありがとうございます。でも、私は大丈夫です。」

朱璃も肩の力を抜かず、視線だけで返す。

「気にしないで。こんなもので折れるような精神じゃないわ。」

工藤が手を下げる。

二人は無言のまま、それぞれの構えに入った。

咲は二本の刀を肩で担ぎ、朱璃は『宵月』を中段に構える。

『それでは――代表戦、始め!』

合図と同時に、咲の身体が弾けるように後方へ跳んだ。

足場を割るほどの踏み込みで、一気に間合いを広げる。

「ガネーシャ、カーリー、インドラ!」

咲の声が響き、三種の術が同時展開された。

彼女の読みは“出足潰し”。近・中・遠すべての選択肢を封鎖し、一瞬で主導権を握るつもりだった。

爆発、斬撃、黒球の展開――。

だが、そのすべてが朱璃の周囲で“シュウッ”と音を立て、吸い込まれるように消えていく。

「私には、効かないよ。」


淡く光る衣装『花朱璃』が、青白く輝きを放っていた。

朱璃の肌には、ガネーシャの爆風すら届いていない。

(……っ! 吸収系!? 術式ごと無効化してる!?)

咲が思考を巡らせた次の瞬間――朱璃が動いた。

ほぼ無音の足運びで距離を詰めてくる。

十五メートル。八メートル。五メートル。

「……カーリー!」

焦った咲が術を起動。黒い球体が朱璃の周囲に浮かび、四方からの無差別攻撃が炸裂する。

しかし――

「無駄よ。そんなもの。」

咲の技は、またしても光にかき消された。

朱璃の足が止まらない。まるで、咲の手の内すべてが透けて見えているような動きだった。

「あなた……戦い方、変わってないのね。」

朱璃が、楽しそうに笑った。

「私はね、強い人としか刀を交えたくないの。雑魚は……嫌い。」

その一言が、咲の中の何かを揺らがせる。

(くっ……光縮で削りきるつもりだったのに……!
でも、この感じ――ゾクゾクする……やっぱり、楽しいな。)

咲の胸の奥で、“夜叉”がそっと目を開けた。

冷たい笑みを浮かべ、朱璃の姿を“美しい獲物”と見なす自分に気づいて、咲は震える。

(……ダメ。夜叉に飲まれかけてる。理性が削られていく……。)

夜叉の力を使えば、間違いなく勝利に近づく。

だが、その代償は大きすぎる。制御を失えば、敵味方の区別なく暴走する。

(今日の試合……まだ終わりじゃない。決勝も控えてる。夜叉は……危険すぎる。)

咲は静かに、左手の『阿修羅』に目を落とした。

そして――決断する。

(しょうがないな……ちょっと恥かかせるかもしれないけど。阿修羅でいくしかない。)

咲は決意を固めた。朱璃が完全に詰め寄るその直前――

彼女は『阿修羅』の起動に踏み切った。

一方の朱璃はというと、その表情には焦りの色ひとつない。

咲の放った術を、一つ……また一つと、軽やかに打ち砕いていく。

まるで「これで本気なの?」とでも言いたげな動きだった。
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