恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第17章 聖奈の完全敗北と喜べない女子団体優勝

第二戦、決意の斬撃――茜の執念が薔薇を砕く

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ノーヴィス・エイシィル学園中等部との決勝戦、第ニ戦――次鋒戦が幕を開けた。

対するは、観客の人気を集める“華麗なる魔剣士”リシア。試合前から、その優雅な立ち振る舞いと美貌で、男女問わず声援が飛ぶ。

「可愛いぞ、リシアちゃん!」
「魅せて! その魔法の剣舞!」
「華麗に、勝って――!」

だが、茜はまったく気にしていなかった。

(……私は金山先輩の代わりに、ここに立っている。三年の誇りを背負ってるんだ。絶対に、負けられない。)

拳を握りしめながら、自身に言い聞かせる。勝利だけが、今の自分にできる証明。姫香が生んだ勢いを受け継ぎ、聖奈、咲――そして、あのベンチに座る仲間たちに繋げるために。

主審が試合開始の合図を告げた。

「次鋒戦、始め!」

その瞬間、茜は音を置き去りにしてリシアへと突進した。

「ローズ・エンド。」

リシアは黒薔薇を舞わせる。四方八方から放たれる鋭利な棘が茜を包囲する。だが――茜は止まらなかった。回避もせず、剣も構えず、そのまま突破を選ぶ。

「なっ……!」

観客席がどよめく中、茜の身体は次々と薔薇に貫かれていく。腕、肩、腹部――だが一歩も退かない。

(痛い。でも、聖奈さんの心の痛みに比べたら、これくらい……!)

茜はそのまま距離を詰め、ついにリシアの間合いへ踏み込んだ。

「この距離――私の領域!」

リシアはすぐにローズソードを構える。しかし、その瞬間、見てはいけないものを見た。

茜の目。それは先ほどフィオネを圧倒した姫香と同じ、“本気”の眼差しだった。

一瞬、呼吸が止まる。

「フェンリル!」

茜の愛刀が、リシアのローズソードに激しく擦られた。剣同士が火花を散らしながら、軋む。数度の交錯で、ローズソードの表面には細かい傷が刻まれていった。

リシアはすぐに距離を取る。しかし、茜の執念は止まらない。

「逃がさない――!」

茜は再び突っ込む。リシアは焦燥を押し隠しながら、第二の切り札を放つ。

「……出し惜しみはもうやめる! インディゴ・ローズ・エンド!」

黒薔薇に加え、鮮やかな青薔薇が空間を染め上げた。その攻撃は先ほどまでとは桁違いの破壊力を持って茜を襲う。

(青薔薇……!)

茜の身体に幾つもの穴が開く。鮮血が舞い、彼女の足取りが一瞬だけ鈍った。

「さすがにもう……!」

誰もがそう思った。だが――茜は叫んだ。

「負けない! 私は絶対、負けられないんだああああ!」

傷だらけの身体を引きずるように、茜は再び一歩、また一歩とリシアに迫る。

「な、なんでよ!? なんで、倒れないの……!?」

リシアの美しい顔が恐怖に歪む。

「試合って……もっと、華やかで美しくあるべきじゃないの!?」

リシアは咆哮するようにローズソードを振り下ろした。

「ローズソード・インディゴモードッ!」

黒薔薇の刃は青く染まり、強度が跳ね上がった。しかし――それでも茜のフェンリルは止まらない。

「フェンリル――」

茜の剣が何度も何度も、ローズソードの同じ一点を正確に、無慈悲に削り続ける。

「クラッシャー・ボンバー・ファング!」

加速された一撃が、寸分の狂いなくヒビの中心に叩き込まれた。

「きゃあああああああああ!」

青い剣は爆ぜるように砕け散った。

「これで終わり――フィッシング・ファング!」

剣を失い、呆然と立ち尽くすリシアの胸元へ、フェンリルが突き刺さった。

二撃、三撃――そして、リシアは気を失い、その場に崩れ落ちた。

主審の旗が振られる。

「リシア選手、戦闘不能。勝者――旭日中学、桃井選手!」

茜は血まみれの右手を高く突き上げた。その姿に、会場がしばし息を呑む。そして、次の瞬間――地鳴りのような拍手と歓声が響いた。

ベンチでは、聖奈がわずかに身を震わせていた。

(どうしてそこまで……どうして、茜ちゃん……姫香も……なんで……)

隣でそれを見ていた咲が、静かに言った。

「……分かったみたいね。」

聖奈がハッとして顔を向ける。

「今のチームは、聖奈が背負っていた時とは違う。誰か一人じゃなくて、全員が戦ってるの。」

咲の声は静かだったが、冷たさを含んでいた。

「だから、あなたが中心である必要はないの。でも、約束は守るわ。……次の中堅戦、せいぜい私たちの足を引っ張らないようにしてね。」

静まり返った空気の中、聖奈の胸の奥がギリ、と軋んだ――。

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