恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第19章 新たなる力ー―しゃべる刀は無限の可能性!

家族の温かさ

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聖奈と恭弥は、玄関のドアを開けた。

「……ただいま。」

聖奈の声に、家の中の空気がふっと揺れる。
リビングには、奏と恭介、朝陽に凪沙、恭歌、そして無口な兄・聖夜まで――みんなが揃って、心配そうにこちらを見ていた。

その瞬間、真っ先に動いたのは奏だった。
聖奈に駆け寄ると、何も言わずにぎゅっと抱きしめた。

「おかえりなさい、聖奈ちゃん。今日はね、いっぱい甘えていいの。
無理して元気なふりしなくていいから。時間をかけて、ゆっくり戻ってきて。
私たちはずっと、聖奈ちゃんの味方だから――安心して、泣いていいのよ。」

あたたかい言葉と、母のぬくもり。
その輪の中に、家族みんなが一人ずつ、加わっていく。

「……聖奈、つらかったんでしょ? どうして言ってくれなかったの?」

恭歌が涙まじりに言う。「私は血の繋がった姉なんだから、もっと頼ってよ。」

「私だって、聖奈のこと、本当の妹だと思ってる。

なんでも話してくれていいんだよ……!」

朝陽の優しい声に、聖奈の肩が小さく揺れた。

「そうそう。姉さんたちより、全国の厳しさは私の方がよく知ってるってば。
愚痴でも泣き言でもいいからさ、どんとこい! 相談くらい、いくらでものるから。」

凪沙の言葉には、軽さと強さが混ざっていた。

そして、最後に聖夜がぽつりとつぶやいた。

「……剣術のことも、女のことも、俺にはよくわからん。

でも、聖奈が泣きたいときは、俺の胸を貸してやる。……お前は、大事な妹だからな。」

いつもは無口な兄の、不器用な優しさ。
そのひとことが、家の中にあたたかな空気を広げた。

「今日のことは、聖奈にとって、大きな節目だったんだろう。」

恭介の低く穏やかな声が続く。

「無理に元気になる必要はない。だが、もし――もう一度、歩き出すなら。俺はお前に、新しい力を託すつもりだ。
だから、今は……心の休養を取れ。」

その言葉に、聖奈はようやく息を吐いた。そして、不思議そうに顔を上げる。

「……え、なに? なんでみんな、こんなにやさしいの? 怖いんだけど……。」

家族の顔を見渡す聖奈に、奏がにっこり笑って答えた。

「だって、聖奈ちゃんが今日、試合で負けて落ち込んでると思ったから。」

「ええ……! そ、それでこの総出っ……。でも、ありがとう。パパ、奏ママ、兄さん、姉さんたち……。
私は、もう大丈夫。ちゃんと、前を向いてる。だから、そんなに心配しないでよ。……っていうかさ、ちょっと驚いたよ。」

聖奈は聖夜をちらっと見て、少し引きつった笑みを浮かべた。

「とくに聖夜兄さん。『俺の胸で泣け』って……どこで仕入れたのその台詞?あの無口な兄さんが、そんなこと言うとか……思い出すだけで、鳥肌立つんだけど。」

そう言いながら、自分の腕をさすって見せた。

「でも、ありがとう。……みんな、ありがとう。私を、こんなふうにあたたかく迎えてくれて。」

その時だった。

「ねえ、でもさ――」

恭歌が急に声をひそめて、いたずらっぽく聖奈に近づいた。

「どうやって立ち直ったの? 大会中はあんなに落ち込んでたのに……。」

恭歌の視線が、するどく恭弥に向いた。朝陽と凪沙も、その目線を追う。

「ふふん。聖奈のやる気スイッチを押したのは、兄姉たちじゃなくて……恭弥?」

「ねえねえ、恭弥になんて言われて慰められたの?」

「まさか、『今夜はずっとそばにいるよ』とか言われたんじゃない?」

凪沙が勝手に妄想をふくらませて、ニヤニヤしている。

「言ってないし!」

恭弥が即座に否定した。

「俺は、そんなキザなこと言わない!」

「じゃあ、どうやって聖奈ちゃんを元気にしたの?」

めったに茶化さない朝陽までもが、興味津々で聞いてくる。

「そ、それは……。」

「それは~?」

「……俺の目標である聖奈でいてくれとか、一緒に特訓しようとか……。まあ、そんな感じ。
別に大したことじゃないし、聞かなくていいだろ。」

恭弥が照れくさそうに目をそらすと、今度は恭歌が聖夜を指さした。

「聖夜、あんたより恭弥の方が、女心わかってるんじゃない?あの“俺の胸で泣け”発言、正直ちょっと引いたわ。」

朝陽もこくんと頷いた。

「うん……たしかに、聖夜はルックスはいいのに、言葉がね。ぶっきらぼうすぎるの。」

凪沙が笑いながら追い打ちをかける。

「まさか、兄さんがそんなセリフ言うとはね~。もうキモい通り越して、レアキャラ発言だよ。
永久保存したいくらい。」

「うるさい……。もう、何も言わん……。」

聖夜は小さく唸って、そっぽを向いた。

奏も恭介も笑っていた。みんなが、あたたかく、笑っていた。

そんな家族の中心で――
聖奈は、いまの自分にできる一番の笑顔を、みんなに向けた。

それは、今日という最悪の一日を、最高のものに変える笑顔だった。
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