恋も剣も本気です!青春剣士たちのラブ・グラディエーション ~気が付くとは~れむ状態!?~

てんちょう

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第22章 天空の本当の素顔と聖奈の覚醒

式神に奪われる聖奈——惹かれて、迷って

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海辺の空気が、波とともに静かに流れる。

恭弥は特訓に集中していた。だが、ふと視線を上げたその先に――咲と愛奈の姿があった。

ふたりは砂浜を歩いていた。咲はほのかに頬を染め、まるで誰かの言葉にうなずくような表情で。愛奈は、笑みを浮かべながら隣を歩く誰かにすっかり心を許しているようだった。

「咲、愛奈……?」

恭弥が声をかけても、ふたりは振り返らない。

まるで、そこに彼が存在していないかのように。

「おい、聞こえてないのかよ……!」

足を踏み出そうとした恭弥だったが、ふたりはそのまま、天空と並んでゆっくりと歩いていった。

握った拳が震える。何とも言えない胸の奥のざわめきが、喉まで込み上げてくる。

(あいつ……何をしてやがる……!)

そのとき、恭弥の視線の先に、さらに別の影が現れる。

大后――十二天将の一柱。その容姿は、まさに人智を超えた艶美。砂浜に立つだけで周囲の空気が変わるような存在感があった。

大胆な水着に身を包み、完璧に整ったプロポーションで周囲の視線を集めるその姿に、天空が近づいていく。

 『大后殿。その姿はまさに、神が創りし至高の造形。我の目は、貴女以外を映せなくなった。』

たった一言。たったそれだけで――

「ふふ……余計な言葉など、いらぬ。」

大后はわずかに笑い、天空の腕へとすっと寄り添った。

あっという間だった。咲も、愛奈も、大后までも――

「ふざけんなよ……っ! 何なんだよ、アイツ……!」

恭弥は奥歯を噛み締めた。

(見て見ぬふりかよ……俺が目の前にいるのに、あいつら全員……!)

拳を強く握る。何とも言えない焦燥が胸を締めつけていた。

次の瞬間――恭弥の視線が、ふとある一点に吸い寄せられる。

聖奈だった。

純白のワンピース水着に身を包み、砂浜の風を浴びて立っていた。

清楚な色合いに包まれたその姿は、どこか儚げでありながら、芯の通った強さを感じさせる。健康的に引き締まったウエスト。柔らかなカーブを描く胸元のライン。その全てが、風に揺れる長い髪と相まって、今までにないほど大人びた空気を纏っていた。

(……すげぇ綺麗だ……)

無意識にそう思ったその刹那、隣で何かが動いた。

「……見惚れるなって方が無理だよな。」

気づけば、天空がその視線の先に歩き出していた。

(おい……やめろ……!)

次の標的は、残された一人。聖奈だった。

(おい、待て……まさかお前……)

「天空、お前はアドバイスしているのか? それとも……ナンパしてるのか?」

恭弥は、怒り混じりの声で問いかけた。

天空は肩をすくめ、余裕の笑みを浮かべながら振り返る。

「もちろん、ナンパだよ。こんな美女ばかりが揃ってる場所で声をかけない方がイカれてるだろ?」

そう言って、天空はまっすぐに聖奈の元へと歩み寄り、自然な動作で彼女の左手をそっと取った。

「え……? ちょ、ちょっと……なにを……」

その瞬間、天空が微笑を浮かべて、まっすぐに言葉を届けた。

「君はあまりにも美しい。その目を逸らせないほど際立ったライン――誰もが目を奪われるほどの魅力があって、思わず僕の心臓も止まりそうだったよ。」

天空はそっと、彼女の手を包み込むように握った。その動きには一切の強引さがなく、ただ純粋に触れたいという想いだけが滲んでいた。

聖奈は思わず身体を引いたが、その手に伝わるぬくもりは、驚くほど優しかった。

(恭弥……ごめん、ちゃんと断らなきゃって、頭では思ってるのに……なのに、どうして……)
(この手のあたたかさ……優しくて、心にまで染み込んでくる……)

天空は目を細め、まるで宝物でも扱うように聖奈を見つめていた。

(なんで……こんなに、穏やかで……あったかいの……? この人の目、私の全部を包み込んでくる……)
(こんなの、誰にでもする言葉じゃない……よね?)
(恭弥、ごめん……私、比べちゃってる……でも、比べるたびに……胸が、苦しくなる)

天空は、そっと視線を落とすと、微笑みながらもう一度聖奈の姿を見つめた。

「君のその白は、清らかさだけじゃない。芯の強さと、包み込むような優しさも、すべてが滲み出ているんだ。」

引き締まったウエスト、柔らかな胸元、そのすべてが洗練されたバランスで形作られていて、まさに誰もが見惚れる理想の姿だった。海風に揺れる髪もまた、幻想のような美しさを加えていた。

まるで言葉の代わりに、その存在自体を褒め称えるように、天空の眼差しは揺るがなかった。

そして彼は、ほんの少し顔を近づけながら囁いた。

「……見惚れすぎて、時間が止まったかと思ったよ。」

その一言に、聖奈の心臓が跳ねる。

(なに、この感じ……まるで、全身が熱くなるみたい……でも……だめだよ、私には恭弥がいて……)
(でも……こんな風に真正面から私を見て、言葉をかけてくれたの……久しぶり……)

その直後、天空がそっと顔を寄せ、聖奈の耳元へと微かに吐息をかけた。

ふいに襲ったその感覚に、聖奈の身体がビクリと震える。

(くすぐったい……でも、いやじゃない……こんなこと、初めて……どうしよう……)
(私、こんな風にされたら……恭弥の顔が浮かぶのに、心が止まってくれない……)
(恭弥といた時間、忘れたわけじゃないのに……どうして……この人がくれるもの全部が、特別に見えるの……?)

天空の吐息に、思わず視線をそらしながらも、聖奈の頬はじんわりと熱を帯び、ゆっくりと朱に染まっていく。

その様子を見た恭弥の胸の奥が、焼けつくように疼いた。

(やめろ……あいつ、本当に聖奈に何しやがる……)

すぐ近くで交わされたその囁きに、恭弥は拳を強く握った。

(やめろ……あいつ、聖奈を……そんな風に俺の聖奈を、口説くんじゃねえ……)

そして天空はそのまま、小さな箱を取り出す。中には、誕生石をあしらった上品なリングが収まっていた。


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