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26.ショウちゃんのアドヴァイス
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「さて、次だ」とショウチャンは言って、少し間をおいたあと話し始めた。
「まず、石だな。あれはなにか、ということなんだが、一言で言えば、あれはブックマークのようなものなんだ。ぼくはあの石を目印にあの世からやってくる。まあ、なくても来れないことはないが、検索するのでちょっと時間がかかるんだ。しかしあれがあれば、きみの子孫の代になってもすぐに来ることができる。それだけのものなんだけどね。」
ブックマーク! ぼくはまた、あの石が正一位様の本体かと思っていた。それにしてはあんな何の飾りっ気もない箱に無造作に入れて、押し入れの隅に突っ込んでおくなんて、ご先祖様も罰当たりなことをするもんだ、と思っていた。本来ならお社でも建てて祀らなくちゃいけないんじゃないか? おまけにぼくのパパときたら、おばさんといっしょになっておもちゃにして遊んでいたんだ。罰が当たらなかったのが不思議なくらいだ、なんて思っていた。
しかし、イシ、ステルナって言いながらショウチャンは出てきた。石を捨てたりしたら、やっぱり祟られるのかなあ。
「祟る?なんでぼくが祟らなくちゃいけないの? あの石は、その昔、君の先祖との取り決めによって守護することを約束した証しとして君の家にあるものなんだよ。石を捨てるということは、守護される必要がなくなったということで、ぼくは約束から解放されるわけで、やれやれってなもんさ。
もし、そのために何か悪いことが起こったとすれば、それはぼくのせいじゃない。ぼくが来なくなったのをいいことに、ぼくになりすまして奉られたいと考えた別のものの仕業だよ。
いいかい、ここんところをよく憶えておいてほしい。祀ってくれなければ祟るぞと言ってくるやつがいたら、一切無視していいから。それはぼくじゃないし、そういうやつらは相手にしなければ、なんにもできやしないんだ。振り込め詐欺と似たようなものさ。ほうっておけばなんの被害もない」
ふーん。でも悪いことが起こったりしたら考えちゃうよね、祟りじゃないかって。例えば交通事故にあっちゃったとかさ・・・
「それは自分が不注意だったからじゃないか?」
なんか肩が凝るようになったとか、頭が重くなったとか、体の具合がおかしくなったとかさ。
「それは自分が不摂生だったからじゃないか? 細かいことにはくよくよせず、規則正しい生活をすればたいてい治るよ」
でもさ、道を歩いていたら、上から看板かなんかが落ちてきて当たって死んじゃったとかあるでしょう。
「あ、それは偶然だ。運が悪かった。」
へー。ショウちゃんて幽霊のくせに、幽霊なんて信じないって言いそうだ。
ショウちゃんはハハハと笑った。笑いながら言った
「いや、幽霊っていってももとは人間だし、人間といってももとは幽霊だし、本当はきみらとぼくらはあんまりかわりないんだ。違うことといえば、人間には体があり、幽霊には体がない、ということさ。体がないんだから、本当はなんにもできない。せいぜい、うらめしや~と言うくらいのもんさ。ま、脅かしたり、そそのかしたりすることはできる。それくらいだ」
ぼくはあらためてショウちゃんを見た。ショウちゃんは、ちょうど窓枠にそって腰掛けているように見えたが、よくよく気をつけて見ると、窓枠には腰掛けておらず、実際は宙に浮いていた。姿が半透明なのでやっぱり幽霊なんだなとは思うが、窓枠にそって長々と足をのばし、腕組みをしている格好を見ていると、まるで近所のお兄さんみたいだった。
「そこまで何か質問は?」
ショウちゃんは聞いた。質問疑問といえば、山のようにある。例えば名前はなんというか? とかさ。
「名前は長たらしいんで、多分覚えられないと思うよ。ショウちゃんでいいよ」
先ほど、体がないと何もできない、と言っていたけど、ショウちゃんはできるんじゃない? 何しろ正一位だし。それってものすごく偉いんでしょう?
「アハハハ、正一位ったってただの階級だよ。会社の部長、課長、という意味合いくらいしかないよ。ぼくもこの世に関してはなにも出来ない」
じゃ、子孫を守るとかいっても、実際は守れないとか・・・?
「まあ例えば、ここに強盗が入ってきて、きみにナイフを突きつけたとする。実際、ぼくはなにもできない。霊力で強盗をあざやかに投げ飛ばすとか、急に頭痛を起させるとか、きみがさっきチラッと想像していた様な事はなにもできない。そうだな、ぼくとして一番有効で適切な対処方としてはおばさんの所に行って、とにかく警察に電話をかけろ、と言うくらいかな」
ぼくは混乱した。じゃあ、じゃあさ、ショウちゃんはなんで出てきたわけ?
「このことを言うためさ」
ショウちゃんはマジ顔になってぼくを見つめた。ぼくはいっそう混乱した。それを言うことがどういうふうにぼくを守ったことになるのだろうか?
「うん、やっと本題だ」
ショウちゃんは座りなおした。座りなおすというよりも窓枠から足を下ろして(下ろしたようにみえただけだけれど)真正面をぼくに向けた。
「ぼくが守るのは、霊感があるがゆえにこうむる危険から君たちを守るということなんだ。きみは二晩ほど金縛りにあったね。あれは邪悪な霊がきみとコンタクトを持とうとしてやってきたんだ。眠っている途中で、きみの表面意識と潜在意識の境目に空白が出来た時、その空白の部分に入り込もうとするやつがいたんだ。これは危ないと思ってぼくはとんできた」
「まず、石だな。あれはなにか、ということなんだが、一言で言えば、あれはブックマークのようなものなんだ。ぼくはあの石を目印にあの世からやってくる。まあ、なくても来れないことはないが、検索するのでちょっと時間がかかるんだ。しかしあれがあれば、きみの子孫の代になってもすぐに来ることができる。それだけのものなんだけどね。」
ブックマーク! ぼくはまた、あの石が正一位様の本体かと思っていた。それにしてはあんな何の飾りっ気もない箱に無造作に入れて、押し入れの隅に突っ込んでおくなんて、ご先祖様も罰当たりなことをするもんだ、と思っていた。本来ならお社でも建てて祀らなくちゃいけないんじゃないか? おまけにぼくのパパときたら、おばさんといっしょになっておもちゃにして遊んでいたんだ。罰が当たらなかったのが不思議なくらいだ、なんて思っていた。
しかし、イシ、ステルナって言いながらショウチャンは出てきた。石を捨てたりしたら、やっぱり祟られるのかなあ。
「祟る?なんでぼくが祟らなくちゃいけないの? あの石は、その昔、君の先祖との取り決めによって守護することを約束した証しとして君の家にあるものなんだよ。石を捨てるということは、守護される必要がなくなったということで、ぼくは約束から解放されるわけで、やれやれってなもんさ。
もし、そのために何か悪いことが起こったとすれば、それはぼくのせいじゃない。ぼくが来なくなったのをいいことに、ぼくになりすまして奉られたいと考えた別のものの仕業だよ。
いいかい、ここんところをよく憶えておいてほしい。祀ってくれなければ祟るぞと言ってくるやつがいたら、一切無視していいから。それはぼくじゃないし、そういうやつらは相手にしなければ、なんにもできやしないんだ。振り込め詐欺と似たようなものさ。ほうっておけばなんの被害もない」
ふーん。でも悪いことが起こったりしたら考えちゃうよね、祟りじゃないかって。例えば交通事故にあっちゃったとかさ・・・
「それは自分が不注意だったからじゃないか?」
なんか肩が凝るようになったとか、頭が重くなったとか、体の具合がおかしくなったとかさ。
「それは自分が不摂生だったからじゃないか? 細かいことにはくよくよせず、規則正しい生活をすればたいてい治るよ」
でもさ、道を歩いていたら、上から看板かなんかが落ちてきて当たって死んじゃったとかあるでしょう。
「あ、それは偶然だ。運が悪かった。」
へー。ショウちゃんて幽霊のくせに、幽霊なんて信じないって言いそうだ。
ショウちゃんはハハハと笑った。笑いながら言った
「いや、幽霊っていってももとは人間だし、人間といってももとは幽霊だし、本当はきみらとぼくらはあんまりかわりないんだ。違うことといえば、人間には体があり、幽霊には体がない、ということさ。体がないんだから、本当はなんにもできない。せいぜい、うらめしや~と言うくらいのもんさ。ま、脅かしたり、そそのかしたりすることはできる。それくらいだ」
ぼくはあらためてショウちゃんを見た。ショウちゃんは、ちょうど窓枠にそって腰掛けているように見えたが、よくよく気をつけて見ると、窓枠には腰掛けておらず、実際は宙に浮いていた。姿が半透明なのでやっぱり幽霊なんだなとは思うが、窓枠にそって長々と足をのばし、腕組みをしている格好を見ていると、まるで近所のお兄さんみたいだった。
「そこまで何か質問は?」
ショウちゃんは聞いた。質問疑問といえば、山のようにある。例えば名前はなんというか? とかさ。
「名前は長たらしいんで、多分覚えられないと思うよ。ショウちゃんでいいよ」
先ほど、体がないと何もできない、と言っていたけど、ショウちゃんはできるんじゃない? 何しろ正一位だし。それってものすごく偉いんでしょう?
「アハハハ、正一位ったってただの階級だよ。会社の部長、課長、という意味合いくらいしかないよ。ぼくもこの世に関してはなにも出来ない」
じゃ、子孫を守るとかいっても、実際は守れないとか・・・?
「まあ例えば、ここに強盗が入ってきて、きみにナイフを突きつけたとする。実際、ぼくはなにもできない。霊力で強盗をあざやかに投げ飛ばすとか、急に頭痛を起させるとか、きみがさっきチラッと想像していた様な事はなにもできない。そうだな、ぼくとして一番有効で適切な対処方としてはおばさんの所に行って、とにかく警察に電話をかけろ、と言うくらいかな」
ぼくは混乱した。じゃあ、じゃあさ、ショウちゃんはなんで出てきたわけ?
「このことを言うためさ」
ショウちゃんはマジ顔になってぼくを見つめた。ぼくはいっそう混乱した。それを言うことがどういうふうにぼくを守ったことになるのだろうか?
「うん、やっと本題だ」
ショウちゃんは座りなおした。座りなおすというよりも窓枠から足を下ろして(下ろしたようにみえただけだけれど)真正面をぼくに向けた。
「ぼくが守るのは、霊感があるがゆえにこうむる危険から君たちを守るということなんだ。きみは二晩ほど金縛りにあったね。あれは邪悪な霊がきみとコンタクトを持とうとしてやってきたんだ。眠っている途中で、きみの表面意識と潜在意識の境目に空白が出来た時、その空白の部分に入り込もうとするやつがいたんだ。これは危ないと思ってぼくはとんできた」
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