──の花束は落ちていく 〜『あなた次第』IF〜

君影 ルナ

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四月

13 桃side

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 未だに眠り続けるあいさんの背中と膝裏を持つ。さて、一応持ってきた木刀が役に立つね。背負ってある木刀に意識を向け、それの重さが倍になったことが肩に伝わる。よし。

 あいさんがこの手から落ちていかないようにしっかり持って支え、そのまま僕は木から飛び降りる。

「よっと。」

 膝を曲げて振動を抑えながら着地する。僕の背丈と同じくらいの高さからのジャンプだったけど、僕にかかればこれくらい朝飯前だよね。楽勝楽勝!

 多分この倍の高さからでも普通に着地出来ると思う。だって僕はすごいんだもん!

「さ、かーえろー。」

 あいさんってとっっても軽いんだねー、なんて考えながら寮に戻ったのだった。












 寮のリビングにあるソファにあいさんを寝かせ、僕のブランケットを掛けてあげる。朝ごはんの時間だからともう一度あいさんに呼び掛けてみるが返事はなかった。起きる気配もなかった。

「桃、ご飯食べましょう。目覚める気配無いですし。」
「うーん、そうだね。じゃあそうする。」

 あいさんをもう一度見つめ、起きる気配が無いのを確認する。いつ起きるかと気にしながらも僕自身の腹ごしらえをする。

 うん、今日の朝ごはんも美味しいね! お米はふっくらツヤツヤだし、お味噌汁はほっこりちょうどいい味だし、魚はほくほくだし、だし巻き玉子は出汁が効いてて美味しい!

 あいさんも早く起きてくれないかなー。一緒にご飯食べたいなー。


 僕の願望に反して、あいさんが目覚めたのは、次の日だった。












藍side

「ん……」

 ふっと目が覚める。あれ、ここは……どこ? 見知らぬ天井に困惑する。窓から陽の光が入り、今が日中であることだけは分かった。

 起き上がるとブランケットが私に掛かっていたようだ。そして今まで眠っていたここはソファ……

 ぐるりぐるりと見回すと、どうやら寮のリビングだったらしいことが分かった。しかし何故ここにいるんだろう。

 私は眠る前、あの丘の上にある木に登って……それで……帰ってきた記憶はないのに……

「あ、起きたー?」

 ぐるぐると考え込んでいた私の目の前に、ひょこっと桃さんがやって来た。
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