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15 月光と陽光の出会い
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ラルside
私は小さな頃から表情を表に出すのが苦手で、それが冷めた子供という印象に繋がってしまっていたのだと思う。
父母共に、常に無表情な私を可愛がることはなく、ただひたすらにライトバーグ侯爵家を継ぐ者として膨大な量の勉強を強いられていた。
この頃にはもう人嫌いの気が私の中に居座り始めたのだと思う。
しかし無表情な私でも、どうやら顔と身分はいいらしい。外に出ればいつも女は私を囲んできゃんきゃんと騒ぐ騒ぐ。
十になる頃には顔と身分だけを見て擦り寄ってくるやつらばかりである事実に辟易し、より一層人が嫌いになっていったのは必然だった。
人嫌いになった私は、誰も彼も近付くなと言わんばかりのオーラを出し、結果、誰も寄り付かなくなった。
それでいい、もう誰も私に関わるな。そんな風に孤独を歩いていた。
そんな私にも転機は訪れた。私を照らしてくれる太陽と出会ったのだ。
それが後の婚約者であるマリアルモンテ・ヒダン、陽だまり令嬢と呼ばれているその人だった。
マリーと出会ったのは十三歳の時。行きたくもなかったお茶会でのことだった。
今思えばあのお茶会に行って良かったと心から思う。マリーと出会えたのだから。
あの時の出会いといえば……
いつも通り一人無表情で紅茶を飲んでいた。誰も寄り付かないので気は楽だったのだが、そこに一人の令嬢がやって来た。
「あ、あの……ライトバーグ様、ですよね? 私、××と申します。少しお話を……」
見知らぬその人は私の近付くなオーラを感じ取ることもせずに近寄ってきたのだ。はっきり言って嫌悪を感じた。
しかしそれを態度に出していたはずなのに嫌悪令嬢はベラベラ喋り倒していた。私のやめろオーラを感じ取れないなど……
この地獄から抜け出したいと百回程考えていたその時、
「あら、もしかして××様ではありませんか?」
「え……? あっ、陽だまり様!」
「私も少しお話に入れてくださらない?」
「もちろんですわ!」
陽だまりと呼ばれた令嬢が嫌悪令嬢に話しかけてきた。嫌悪令嬢は私のことを忘れたかのようにそれは楽しそうに陽だまり令嬢と喋り始めた。
これは私が離脱しても文句を言われないのでは、と考えつき、そっとその場を後にした。
少し離れたところで見ていたが、陽だまり令嬢はそれから少しばかり嫌悪令嬢と話をして、また別の人に話しかけに行っていた。それも一人で楽しんでいなさそうな人を選んで。
あ、ほらまた一人で楽しんでいなさそうな令嬢の元へ行った。
「私の元には……来てくれないだろうか。」
ぽつりとそう零してからはっと気が付いた。あの陽だまり令嬢には嫌悪感を抱かなかったことに。
むしろ話しかけて欲しいとまで思ったのだった。
私は小さな頃から表情を表に出すのが苦手で、それが冷めた子供という印象に繋がってしまっていたのだと思う。
父母共に、常に無表情な私を可愛がることはなく、ただひたすらにライトバーグ侯爵家を継ぐ者として膨大な量の勉強を強いられていた。
この頃にはもう人嫌いの気が私の中に居座り始めたのだと思う。
しかし無表情な私でも、どうやら顔と身分はいいらしい。外に出ればいつも女は私を囲んできゃんきゃんと騒ぐ騒ぐ。
十になる頃には顔と身分だけを見て擦り寄ってくるやつらばかりである事実に辟易し、より一層人が嫌いになっていったのは必然だった。
人嫌いになった私は、誰も彼も近付くなと言わんばかりのオーラを出し、結果、誰も寄り付かなくなった。
それでいい、もう誰も私に関わるな。そんな風に孤独を歩いていた。
そんな私にも転機は訪れた。私を照らしてくれる太陽と出会ったのだ。
それが後の婚約者であるマリアルモンテ・ヒダン、陽だまり令嬢と呼ばれているその人だった。
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今思えばあのお茶会に行って良かったと心から思う。マリーと出会えたのだから。
あの時の出会いといえば……
いつも通り一人無表情で紅茶を飲んでいた。誰も寄り付かないので気は楽だったのだが、そこに一人の令嬢がやって来た。
「あ、あの……ライトバーグ様、ですよね? 私、××と申します。少しお話を……」
見知らぬその人は私の近付くなオーラを感じ取ることもせずに近寄ってきたのだ。はっきり言って嫌悪を感じた。
しかしそれを態度に出していたはずなのに嫌悪令嬢はベラベラ喋り倒していた。私のやめろオーラを感じ取れないなど……
この地獄から抜け出したいと百回程考えていたその時、
「あら、もしかして××様ではありませんか?」
「え……? あっ、陽だまり様!」
「私も少しお話に入れてくださらない?」
「もちろんですわ!」
陽だまりと呼ばれた令嬢が嫌悪令嬢に話しかけてきた。嫌悪令嬢は私のことを忘れたかのようにそれは楽しそうに陽だまり令嬢と喋り始めた。
これは私が離脱しても文句を言われないのでは、と考えつき、そっとその場を後にした。
少し離れたところで見ていたが、陽だまり令嬢はそれから少しばかり嫌悪令嬢と話をして、また別の人に話しかけに行っていた。それも一人で楽しんでいなさそうな人を選んで。
あ、ほらまた一人で楽しんでいなさそうな令嬢の元へ行った。
「私の元には……来てくれないだろうか。」
ぽつりとそう零してからはっと気が付いた。あの陽だまり令嬢には嫌悪感を抱かなかったことに。
むしろ話しかけて欲しいとまで思ったのだった。
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