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事例 壱 『コウシュ村』
漆
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あれからしばらく村の外を中心に見て回ったが、目ぼしいものは見つからない。
家々には未だ一軒も入れていないし、かろうじて使えそうだと思ったのは家の門の前に落ちていたこの懐中電灯だけだろう。
雪のおかげで薄暗い程度で済んでいるが、それでも探し物をするには心許ない明るさをこれでカバーしてくれるだろう。
期待しているぞ、お前が自分の相棒だ、と心の中で懐中電灯に語りかけ孤独感を癒しつつ、探索を続ける。
そして村の奥の方まで歩いてきたことで、この村の異質さに目がついた。
確かにあちこち荒れ果てている。それは誰の目にも明らかだ。だがその荒れ方が時間経過での荒れ方でしかなく、廃れる直前までこの村で普通に人間が生活していたように見えたのだ。
つまり人的に壊されたように見えるモノをほとんど見つけられなかった、ということで。
こう、まるで一気に神隠しにでも遭ったかのような、という例えが当てはまりそう。
まあ、窓から見える家の中の範囲内だけでそう推測しているにすぎないが、その可能性を否定できる要素はまだないので、それは頭の片隅にでも置いておく。
まあ、少し情報収集に進展があったと喜んでおこう。そうでもしないと本当、メンタルが大変なんだ。
あのお婆さんと人形の生首、そして人の気配が全くないのに鳴ったあのメロディ。
そんなバックグラウンドがあっての静寂ってだけで怖すぎて泣きそう。……嘘ついた、探索しながらもう既に半泣きくらいはしている。
「……ん?」
そんな風に独り言を脳内で繰り広げながら歩いていると、調べられそうな家を一つ見つけた。
玄関が半開きになっていて、中に入れそうなのだ。
まるで誘導されているかのようで気味が悪いが……調べるほかないだろう。嫌だけど。情報はいくらあっても良いからな。本当、嫌だけど。入りたくないけど。
その家の外壁のシミがどうも『泣き叫んでいる顔』みたいに見えてより一層気味が悪い。入りたくない。
しかし情報のため、情報のため、と己に言い聞かせてそれを見ないふりして、入りたくない気持ちが九割を占めている中それを何とかギュウギュウに押し殺してから、その家に入る。
するとまずツンと鼻についたのは埃とカビの臭いだった。
「ゴホッ、暗っ」
そして外から見ても窓の数が異様に少ないなとは思っていたが、これは昼間でも電気をつけないと真っ暗だな、というのが第一印象だった。
あと、暗いと怖いなー、という気持ちで一杯だ。勿論、今も半泣きである。
もしガラスなどが割れていたとしてもこの暗さなら見えないだろう。だから土足で失礼します、と誰に言い訳しているか分からない一言でもって玄関を上がる。
まるで返事のようにギィ、と床が軋んだのには心臓が跳ねたが、それは置いておいて良いだろう。
玄関から続く廊下をギィギィ音を立てて歩いていくと、幾つか部屋に繋がる扉が左右に伸びていた。
これを全て調べるのは骨が折れるなぁ、とため息を一つ吐いてから、手前の部屋へと入ることにした。ああ、嫌だなぁ……
家々には未だ一軒も入れていないし、かろうじて使えそうだと思ったのは家の門の前に落ちていたこの懐中電灯だけだろう。
雪のおかげで薄暗い程度で済んでいるが、それでも探し物をするには心許ない明るさをこれでカバーしてくれるだろう。
期待しているぞ、お前が自分の相棒だ、と心の中で懐中電灯に語りかけ孤独感を癒しつつ、探索を続ける。
そして村の奥の方まで歩いてきたことで、この村の異質さに目がついた。
確かにあちこち荒れ果てている。それは誰の目にも明らかだ。だがその荒れ方が時間経過での荒れ方でしかなく、廃れる直前までこの村で普通に人間が生活していたように見えたのだ。
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こう、まるで一気に神隠しにでも遭ったかのような、という例えが当てはまりそう。
まあ、窓から見える家の中の範囲内だけでそう推測しているにすぎないが、その可能性を否定できる要素はまだないので、それは頭の片隅にでも置いておく。
まあ、少し情報収集に進展があったと喜んでおこう。そうでもしないと本当、メンタルが大変なんだ。
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そんなバックグラウンドがあっての静寂ってだけで怖すぎて泣きそう。……嘘ついた、探索しながらもう既に半泣きくらいはしている。
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