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事例 壱 『コウシュ村』
拾
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フッと目が覚めた。あれ、俺は一体何をしていたんだっけ……? 状況が飲み込めない中、寝起き特有の働かない頭を必死に動かしていく。状況把握が今、最も必要である気がしたから。
「……」
どうやら俺はクローゼットの中にいるらしい。クローゼット特有のハンガーパイプが頭上でキラリと一瞬だけ光って見えたからな。
だが、何故こんなところに俺はいるんだ? まさか何かから隠れていた、とかだろうか。ほら、ホラーゲームものに良くあるアレ。今の状況がそれに似ているのだ。
今度はほんの少しだけ開いた扉の隙間から部屋を覗いてみる。随分荒れ果てている、という印象しか持てなかった。まあ、隙間があまりにも小さくてそれ以外何も見えなかったとも言うが。
「……」
もし、もし何かから隠れていたのだとしたら、ここから出るのには慎重になった方が良いだろう。ホラー展開において慎重な人ほど生存率高い的な意味で。
まあ、この状況がホラー展開かはまだ定かではないのだが。何も起こってないし。
でも何も起こっていない今ですら充分『何も分からない』ことが怖いんだ。だからホラー展開と最悪なケースを想像することにした。ビビリ舐めんな。
ただ、なぁ……。ずっとここに隠れていても何の情報も入ってこないからなぁ。人の気配がしなければ一度出てみるのも手か。
だって、助けてくれる『誰か』はもう……
そこまで考えて不意にズキッと頭が痛んだ。あれ、何だっけ、何を考えていたんだっけ。
……まあ、いいや。深く考えても良いことはない。それなら、と砂粒くらいしかない勇気を掻き集めて僅かな隙間からジィッと部屋の中を観察し、誰もいないことを確認する。
「……」
何の気配も物音もしない。シィン……と静かな耳鳴りだけが五月蝿く響いていた。
一応この場で出来る限りの注意は払ったつもりだ。だから……
(えいっ!)
音は立てないように、しかし心中では相当の勢いをつけてクローゼットから出てみる。
「……、」
サラッと辺りを見回してみての感想と言えば『うわ、明らかに廃屋です。』だった。
どこかしこボロボロで目も当てられない。こんな場所に自分が今の今まで居ただなんて、ちょっと考えたくもない。
というかさ、これって無断で家に入ったとか言わないよね? いくら廃屋(仮)だとしてもそんなことしたら……罪になるのでは?
「え、早く出よう。」
こんなの誰かに見つかったら、とヒヤヒヤしながら抜き足差し足でリビング(仮)を出る。廊下に続く扉は開いてたから、余計な音を立てなくて良かった。
あ、ちょっと待って。廊下に出てみて分かったけど、相当廊下が暗い。いや、もうこれは暗いだけじゃ済まないくらいだな? 真っ暗と名付けたいくらいには暗いな?
一旦リビング(仮)に戻り、フッと息を整えた。幽霊が出そうとか考えてはいない。断じて。
閑話休題。
さて、俺がこのリビング(仮)にいたということは、多分廊下を通って来たはずだ。そしてあんな暗いところを通ったなら、何かしらの明かりを持っていたに違いない。
リビング(仮)ですら暗いんだ。探し物をするには向かないがそうも言っていられない。何か明かり……ライターとか懐中電灯とかが無いか、キョロキョロと辺りを見回してみることにした。
「……」
どうやら俺はクローゼットの中にいるらしい。クローゼット特有のハンガーパイプが頭上でキラリと一瞬だけ光って見えたからな。
だが、何故こんなところに俺はいるんだ? まさか何かから隠れていた、とかだろうか。ほら、ホラーゲームものに良くあるアレ。今の状況がそれに似ているのだ。
今度はほんの少しだけ開いた扉の隙間から部屋を覗いてみる。随分荒れ果てている、という印象しか持てなかった。まあ、隙間があまりにも小さくてそれ以外何も見えなかったとも言うが。
「……」
もし、もし何かから隠れていたのだとしたら、ここから出るのには慎重になった方が良いだろう。ホラー展開において慎重な人ほど生存率高い的な意味で。
まあ、この状況がホラー展開かはまだ定かではないのだが。何も起こってないし。
でも何も起こっていない今ですら充分『何も分からない』ことが怖いんだ。だからホラー展開と最悪なケースを想像することにした。ビビリ舐めんな。
ただ、なぁ……。ずっとここに隠れていても何の情報も入ってこないからなぁ。人の気配がしなければ一度出てみるのも手か。
だって、助けてくれる『誰か』はもう……
そこまで考えて不意にズキッと頭が痛んだ。あれ、何だっけ、何を考えていたんだっけ。
……まあ、いいや。深く考えても良いことはない。それなら、と砂粒くらいしかない勇気を掻き集めて僅かな隙間からジィッと部屋の中を観察し、誰もいないことを確認する。
「……」
何の気配も物音もしない。シィン……と静かな耳鳴りだけが五月蝿く響いていた。
一応この場で出来る限りの注意は払ったつもりだ。だから……
(えいっ!)
音は立てないように、しかし心中では相当の勢いをつけてクローゼットから出てみる。
「……、」
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どこかしこボロボロで目も当てられない。こんな場所に自分が今の今まで居ただなんて、ちょっと考えたくもない。
というかさ、これって無断で家に入ったとか言わないよね? いくら廃屋(仮)だとしてもそんなことしたら……罪になるのでは?
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こんなの誰かに見つかったら、とヒヤヒヤしながら抜き足差し足でリビング(仮)を出る。廊下に続く扉は開いてたから、余計な音を立てなくて良かった。
あ、ちょっと待って。廊下に出てみて分かったけど、相当廊下が暗い。いや、もうこれは暗いだけじゃ済まないくらいだな? 真っ暗と名付けたいくらいには暗いな?
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さて、俺がこのリビング(仮)にいたということは、多分廊下を通って来たはずだ。そしてあんな暗いところを通ったなら、何かしらの明かりを持っていたに違いない。
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