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事例 壱 『コウシュ村』
拾陸
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和室もだいたい探索した。そう胸を張って言えるくらいには調べ尽くしたと思っていた。
が、しかし。
ヒュウ……
「っ……!?」
襖は閉まっているはずなのに、窓なんてものも無い部屋なのに、氷のように冷たい風が突如として髪を遊ばせた。その異様な冷風に、頭皮を始め全身をゾクリとした寒気が襲う。
「もう……やだ……」
次から次へと異変が起こりすぎて、好奇心よりもやっぱりいち早くこの家から出るべきだろうかと心が揺れる。
「……、」
……よし、この風の出どころだけ調べて、もう帰ろう。何度も言うが『分からないこと』が怖いから、さ。
絶えずヒュウヒュウとか細い風が吹き、和室の空気を冷たく変えていく。盆提灯の火もそれに揺れていた。
それらの情報を頼りに、風の出どころを探していく。
「こっちの方、かな……」
そしてどうやらその風は仏壇の方から吹いているらしいことが分かった。が、仏壇の近くに窓なんてあるはずもなく──そもそもおかしいことにこの部屋に窓は一つもない──、一体どこから吹いているのか全く見当がつかない。
「えぇー……どこから吹いてるんだよぉ……」
これまた分からないからこその恐怖が体を駆け巡る。一応仏壇の後ろを確認してみたりしたが、風が通り過ぎるような隙間は見当たらない。さて、どうしたものか。
「……ん? もしかして座布団からか?」
キョロキョロと見回していると、どうやら仏壇の目の前に置いてある座布団から吹いているらしいことが分かった。
座布団に手を向けると、確かに他よりも強く風を感じたから。
……いや、なんで座布団から風が吹くんだ? まさか最近の座布団は扇風機みたいな機能も持っていたのか?
そんな自分でも何言ってんのか分からなくなるようなことを考えながらも、ボロボロズタズタな座布団に直接触れて調べてみることにした。
「座布団から、というよりは……その下の床から、か?」
人差し指と親指で座布団を摘み、ペラ、と剥いでみると、その下から四角い金属製の枠が顔を出した。
まるで座布団で隠していたようにすら見えるソレ。明らかに『この下には何かありますよ』と言っている。
これは……確認するべきだろうか?
これ以上は藪蛇のような気もするが、調べ尽くしてこそ初めて安心できるというものだ。調べるしかない。
と言ってもこの金属枠には取っ手が付いていないから、押すことはできても引くことができない。唯一付いているモノと言ったら鍵穴っぽい窪みだけ。
押してもびくともしないし、これに合う鍵を探さなければ開かないようだ。
しかし鍵、かぁ……
どこにあるのかなんて見当も付かず、どうしたものかと頭を悩ませる。
「鍵さーん、出ておいでー……」
これで出てきたら苦労はしないのだが。
しかし先程見てほしいと言わんばかりに紙が降ってきたところを見ると、可能性はゼロではないような気がしている。
数秒耳を澄まして返答を期待してみると……
カタン……
軽いモノが落ちたような音がかすかに聞こえてきたのだった。
が、しかし。
ヒュウ……
「っ……!?」
襖は閉まっているはずなのに、窓なんてものも無い部屋なのに、氷のように冷たい風が突如として髪を遊ばせた。その異様な冷風に、頭皮を始め全身をゾクリとした寒気が襲う。
「もう……やだ……」
次から次へと異変が起こりすぎて、好奇心よりもやっぱりいち早くこの家から出るべきだろうかと心が揺れる。
「……、」
……よし、この風の出どころだけ調べて、もう帰ろう。何度も言うが『分からないこと』が怖いから、さ。
絶えずヒュウヒュウとか細い風が吹き、和室の空気を冷たく変えていく。盆提灯の火もそれに揺れていた。
それらの情報を頼りに、風の出どころを探していく。
「こっちの方、かな……」
そしてどうやらその風は仏壇の方から吹いているらしいことが分かった。が、仏壇の近くに窓なんてあるはずもなく──そもそもおかしいことにこの部屋に窓は一つもない──、一体どこから吹いているのか全く見当がつかない。
「えぇー……どこから吹いてるんだよぉ……」
これまた分からないからこその恐怖が体を駆け巡る。一応仏壇の後ろを確認してみたりしたが、風が通り過ぎるような隙間は見当たらない。さて、どうしたものか。
「……ん? もしかして座布団からか?」
キョロキョロと見回していると、どうやら仏壇の目の前に置いてある座布団から吹いているらしいことが分かった。
座布団に手を向けると、確かに他よりも強く風を感じたから。
……いや、なんで座布団から風が吹くんだ? まさか最近の座布団は扇風機みたいな機能も持っていたのか?
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「座布団から、というよりは……その下の床から、か?」
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これは……確認するべきだろうか?
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しかし鍵、かぁ……
どこにあるのかなんて見当も付かず、どうしたものかと頭を悩ませる。
「鍵さーん、出ておいでー……」
これで出てきたら苦労はしないのだが。
しかし先程見てほしいと言わんばかりに紙が降ってきたところを見ると、可能性はゼロではないような気がしている。
数秒耳を澄まして返答を期待してみると……
カタン……
軽いモノが落ちたような音がかすかに聞こえてきたのだった。
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