50 / 63
事例 壱 『コウシュ村』
21
しおりを挟む
鍵を開けた先にあったのは、下へと伸びる梯子。この家一番の真っ暗さに『気が進まないなぁ……』と口をへの字に曲げる。
降りたくはないなぁ、と悪あがきとして今一度廊下に続く襖を開けてみる。
が、勿論開く筈もなく。落胆するしかできなかった。
「降りるのかぁー……嫌だなぁ……」
だってそもそも日記の言葉を使えば『化け物』を閉じ込めておくための──呼び方もそうだが、入り口だけでもこんな隠され方をしているんだ。ろくなモノは見つからないだろう──、それこそ牢屋みたいなモノでもあるのだろう。
一般家庭にそれがあるなんて思いたくもないが。
と、ここまで嫌なことをツラツラと考えていたが、はたと気がついた。
「そもそもこの村自体、一般的とは言えそうにない、もんな……?」
この村がいつまで機能していたかは分からないが、生贄を捧げ続ける風習を大事にするのは今のニホンから見たら一般的とは言いがたいもんな?
じゃあこの家も一般的でなくても何らおかしくはない、ということになるのではなかろうか。
よく分からんが、そう無理にでも己を納得させたことでほんの少し何かスッキリする気分になった。
「……、」
……いや、何もスッキリする場面ではなかったな。
「……まあ、いいや。まずは脱出するためにも、ここ、降りなきゃな。」
腹を括る気持ちで一つ深呼吸をしてから、梯子に手をかけていく。
…………
「うわぁー……」
梯子を降りきった先にあったのは、僕の想像通りのモノで。ここに化け物と呼ばれていた誰かが閉じ込められていたのだろう。
牢屋の向こうの壁一面に赤い塗料──血とは思いたくはなかったったので、表現をマイルドにお送りします──で恨み辛みがビッシリ書き込まれていた。
この光景こそ、あの姿なき声が真に見せたかったものなのだろうか。己が課せられた理不尽はこれなのだ、と。
ということは、ここに閉じ込められていた誰か、つまり生贄……日記風に言えば化け物、が姿なき声の主?
「……ん?」
だとしたらおかしくはないか? だってその生贄って言うのはお婆さんが逃がしたって……
いや、逃げた生贄の話と、日記に書かれていたモノの時代が違う?
それだと頻繁にいけ生贄が逃げ出していることになる。いや、逃げられたのならそもそも悪霊となって『村に』化けて出る意味は……
なんだ、何かがおかしい。なんだ、なんだ? 僕は何を見落としている?
答えを探して、僕は暫くの間その場から動くことは叶わなかった。
降りたくはないなぁ、と悪あがきとして今一度廊下に続く襖を開けてみる。
が、勿論開く筈もなく。落胆するしかできなかった。
「降りるのかぁー……嫌だなぁ……」
だってそもそも日記の言葉を使えば『化け物』を閉じ込めておくための──呼び方もそうだが、入り口だけでもこんな隠され方をしているんだ。ろくなモノは見つからないだろう──、それこそ牢屋みたいなモノでもあるのだろう。
一般家庭にそれがあるなんて思いたくもないが。
と、ここまで嫌なことをツラツラと考えていたが、はたと気がついた。
「そもそもこの村自体、一般的とは言えそうにない、もんな……?」
この村がいつまで機能していたかは分からないが、生贄を捧げ続ける風習を大事にするのは今のニホンから見たら一般的とは言いがたいもんな?
じゃあこの家も一般的でなくても何らおかしくはない、ということになるのではなかろうか。
よく分からんが、そう無理にでも己を納得させたことでほんの少し何かスッキリする気分になった。
「……、」
……いや、何もスッキリする場面ではなかったな。
「……まあ、いいや。まずは脱出するためにも、ここ、降りなきゃな。」
腹を括る気持ちで一つ深呼吸をしてから、梯子に手をかけていく。
…………
「うわぁー……」
梯子を降りきった先にあったのは、僕の想像通りのモノで。ここに化け物と呼ばれていた誰かが閉じ込められていたのだろう。
牢屋の向こうの壁一面に赤い塗料──血とは思いたくはなかったったので、表現をマイルドにお送りします──で恨み辛みがビッシリ書き込まれていた。
この光景こそ、あの姿なき声が真に見せたかったものなのだろうか。己が課せられた理不尽はこれなのだ、と。
ということは、ここに閉じ込められていた誰か、つまり生贄……日記風に言えば化け物、が姿なき声の主?
「……ん?」
だとしたらおかしくはないか? だってその生贄って言うのはお婆さんが逃がしたって……
いや、逃げた生贄の話と、日記に書かれていたモノの時代が違う?
それだと頻繁にいけ生贄が逃げ出していることになる。いや、逃げられたのならそもそも悪霊となって『村に』化けて出る意味は……
なんだ、何かがおかしい。なんだ、なんだ? 僕は何を見落としている?
答えを探して、僕は暫くの間その場から動くことは叶わなかった。
0
あなたにおすすめの小説
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/10:『つかまれる』の章を追加。2026/1/17の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/9:『ゆうじんのかお』の章を追加。2026/1/16の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/8:『ついてきたもの』の章を追加。2026/1/15の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/7:『かわぞいのみち』の章を追加。2026/1/14の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/6:『まどのそと』の章を追加。2026/1/13の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/5:『おちゃ』の章を追加。2026/1/12の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/4:『かみ』の章を追加。2026/1/11の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる