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一章
五十六
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「まあ、キャンサーが相手をしてくれるならちょうど良かったのかもしれんがな。」
怒りが収まったらしいサジタリアスは一つ溜息をついてそう言った。ついでに言えばこめかみを摩っている。苦労の種に頭が痛くなっているのだろう。まあ、だとしてもも私はしーらない。
「なになに? ボクが強いって話?」
「違う。今のところ自分が体力作りや魔法を教えていたのだが、実戦的なものは何一つ出来ていない。自分もアリーズも遠距離系だからな。」
「成る程ね。じゃあボクが張り切って……」
そこで言葉を切ったキャンサーは私の方をチラリと横目で見てきた。そこに少しの殺気が混ざっていたのも見えたけど、まあ、少しだからそんなに怖くはないね。
「マロンを倒してあげる。」
「負けないよ。……といってもまだ私は発展途上だからね、なんとか頑張るよ。」
「フフフ、ボクに負けないように頑張ってネ。」
キャンサーは不敵に笑った。そんな顔も良いとか狡いよなぁ……
さて、やっと鍛錬場に着いた。しかしここには既に騎士っぽい人達がたくさんいて、それぞれが鍛錬していた──いや、多分『っぽい』ではなく実際騎士なのだろう──。いつも私が鍛錬している時はいない人達に、私は驚いていた。
(十二星座の人達以外にも、騎士はいるんだなぁ……)
まあ、当たり前といえば当たり前なのだが。トップが圧倒的な実力を持っていたとしても、たった十三人でこの世界を守るのには限度がある。だからこその騎士なのだろう。
「「「「お疲れ様ですっ!」」」」
サジタリアスとキャンサーに気がついた騎士達は大声で挨拶をする。へぇ、こう見るとやっぱりサジタリアスやキャンサーは偉い人なんだなぁ……。そんなよく分からない感想が頭をよぎる。
「サジタリアス様、キャンサー様、今日はどのようなご用事でしょうか。」
騎士の中でも一際目立つ人が一人、サジタリアスとキャンサーの前に現れて礼をする。
「あー、そういえばこの時間は君達がここを使う時間だったっけ。サジタリアス、どうする?」
「一角だけ貸してはくれないか? 鍛錬の為に。」
「ああっ、もちろん良いですよ! お二人の鍛錬は他の奴らの良い刺激にもなりますから!」
「有難く使わせてもらう。」
ほえー、二人とも先程までのゆるゆる感はなく、ビシッと威厳のある雰囲気を醸し出している。幾分か顔も引き締まって見えるのは気のせいだろうか。
「ほらマロン、行こ?」
「あ、う、うん……」
キャンサーに腕を取られ、そのまま借りた一角まで連れられる。すると騎士達からの『なんだあのちんちくりんは』という視線が私に突き刺さる。
あーもー、私自身分かってるのに! この人達と並ぶと私は(顔面的に)埃みたいだって! それなのにわざわざ分かっていることを(視線で)指摘しなくても良いじゃん!
内心ぷくっと頬を膨らませ、地団駄を踏む。
「マロン? どうしたの?」
「……別にー。」
キャンサーが私の顔を覗き込む。くっ、そのキラキラした顔面どうにかならんの!?
と、内心八つ当たりしてしまう。それ程キラキラしている。くっ、悔しくなんかないもん!
怒りが収まったらしいサジタリアスは一つ溜息をついてそう言った。ついでに言えばこめかみを摩っている。苦労の種に頭が痛くなっているのだろう。まあ、だとしてもも私はしーらない。
「なになに? ボクが強いって話?」
「違う。今のところ自分が体力作りや魔法を教えていたのだが、実戦的なものは何一つ出来ていない。自分もアリーズも遠距離系だからな。」
「成る程ね。じゃあボクが張り切って……」
そこで言葉を切ったキャンサーは私の方をチラリと横目で見てきた。そこに少しの殺気が混ざっていたのも見えたけど、まあ、少しだからそんなに怖くはないね。
「マロンを倒してあげる。」
「負けないよ。……といってもまだ私は発展途上だからね、なんとか頑張るよ。」
「フフフ、ボクに負けないように頑張ってネ。」
キャンサーは不敵に笑った。そんな顔も良いとか狡いよなぁ……
さて、やっと鍛錬場に着いた。しかしここには既に騎士っぽい人達がたくさんいて、それぞれが鍛錬していた──いや、多分『っぽい』ではなく実際騎士なのだろう──。いつも私が鍛錬している時はいない人達に、私は驚いていた。
(十二星座の人達以外にも、騎士はいるんだなぁ……)
まあ、当たり前といえば当たり前なのだが。トップが圧倒的な実力を持っていたとしても、たった十三人でこの世界を守るのには限度がある。だからこその騎士なのだろう。
「「「「お疲れ様ですっ!」」」」
サジタリアスとキャンサーに気がついた騎士達は大声で挨拶をする。へぇ、こう見るとやっぱりサジタリアスやキャンサーは偉い人なんだなぁ……。そんなよく分からない感想が頭をよぎる。
「サジタリアス様、キャンサー様、今日はどのようなご用事でしょうか。」
騎士の中でも一際目立つ人が一人、サジタリアスとキャンサーの前に現れて礼をする。
「あー、そういえばこの時間は君達がここを使う時間だったっけ。サジタリアス、どうする?」
「一角だけ貸してはくれないか? 鍛錬の為に。」
「ああっ、もちろん良いですよ! お二人の鍛錬は他の奴らの良い刺激にもなりますから!」
「有難く使わせてもらう。」
ほえー、二人とも先程までのゆるゆる感はなく、ビシッと威厳のある雰囲気を醸し出している。幾分か顔も引き締まって見えるのは気のせいだろうか。
「ほらマロン、行こ?」
「あ、う、うん……」
キャンサーに腕を取られ、そのまま借りた一角まで連れられる。すると騎士達からの『なんだあのちんちくりんは』という視線が私に突き刺さる。
あーもー、私自身分かってるのに! この人達と並ぶと私は(顔面的に)埃みたいだって! それなのにわざわざ分かっていることを(視線で)指摘しなくても良いじゃん!
内心ぷくっと頬を膨らませ、地団駄を踏む。
「マロン? どうしたの?」
「……別にー。」
キャンサーが私の顔を覗き込む。くっ、そのキラキラした顔面どうにかならんの!?
と、内心八つ当たりしてしまう。それ程キラキラしている。くっ、悔しくなんかないもん!
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