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5章 体育祭
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ゴールデンウィークも明け、学校が始まった。
「ここが会議室ですよ。」
「ほうほう、ここが……」
放課後、私と山吹さんは会議室の前に来ていた。そう、体育委員の会議があるのだ。
今までここに用事などなかったため場所が分からなかった。しかし今道順も確認出来たから次からは一人でも来れる。多分。
山吹さんが率先して会議室へと入り、その後に続いて私も入る。
中は長机とパイプ椅子がずらりと並んでいるのが見えた。至って普通の会議室だ。ちらほら人も集まってきている。
キョロキョロと辺りを見回していると、ふっと目の前に見知らぬ人が立ちはだかる。眼鏡をかけた、いかにも勉強が得意そうな見た目の人だ。
「おお! 山吹 竜胆の隣に可愛らしい人が! お名前を聞いてもよろしいかい? 私は織田 晋治だ。是非とも名前で呼んでくれ!」
すっと私の手を取り、私の名前を聞く織田さん。名前でと言われても……
「あ、えと……」
「名乗らなくていいですよ。この変人には。」
「山吹さん……」
敢えて私のことを名前で呼ばない山吹さんは織田さんを睨む。山吹さんにしては珍しい行動だ。山吹さんって常に穏やかなイメージがあるからね。それに変人なんて呼んでるけど……いいのかな。
「生徒会長、さっさと会議始めたらどうですか?」
織田さん生徒会長かい。この学校は大丈夫だろうか。私のことを可愛らしいなんて言っちゃう人が生徒会長とか。
「なっ! 山吹 竜胆とは話していない! 私はこの可愛らしい人に聞いているのだ!」
「ひっ!」
織田さんの気迫に押され、山吹さんの背中に咄嗟に隠れる。
「可愛らしい人よ、是非とも名前を教えてくれないかい? 私はあなたの名前を呼びたい。」
ど、どうすれば……!
「生徒会長ー、早く会議始めますよー。」
まさに鶴の一声。茶髪の女の人が生徒会長を呼ぶ。
「……ああ、分かった。可愛らしい人よ、また後で。」
そう言って茶髪の女の人の方へ行った。
あー、怖かった。もう少しテンションを下げて話してもらえるとありがたいのだが……。
誰かさんを彷彿させる強引さを合わせ持った人だったなあ、というのが第一印象。どうしても左肩に意識が向く。ようやく傷が塞がりかけているのだ。なるべく痛い思いはしたくない。
「花蘇芳さん、大丈夫ですか?」
「はい……少し驚いてしまっただけです。」
「花蘇芳さん、先帰ってますか?」
「あ、いや、大丈夫です。ちゃんと会議に出席します。」
「……そうですか。無理そうならすぐ言ってくださいね?」
「分かりました。」
ふうわりと優しい笑みを私に向けてくれる。その笑顔で癒されました。この会議を乗り越えられそうだ。
「さて、会議を始めよう。まずは自己紹介からだな。」
織田さんの一声で会議は始まった。
結局委員全員が自己紹介をしたため、織田さんにも名前を知られてしまった。
まあ、名前を知られるのはいいけどさ、
「花蘇芳 藍さん!」
私に詰め寄るのはやめてほしい。会議が終わった瞬間に織田さんは私の元へ移動してきた。ずいっと顔を近づけて目をキラキラさせて……対処の仕方が分からない。
「花蘇芳さんが困っています。近寄らないでください。」
「だから山吹 竜胆には話していないだろう! そこを退くんだ!」
山吹さんと織田さんの間に火花が見える。バチバチしてる。
「……花蘇芳さん帰りましょう。変人と関わってもいいことはありません。」
私の手を掴みさっと会議室を出ようとする山吹さん。織田さんは「……仕方ない。花蘇芳 藍さん、また明日。」と見送ってくれた。それに会釈をして私も山吹さんに続いて会議室を後にする。
教室に戻ってきた。鞄を取りに来たのだ。
自分の席まで戻ってきたその時、山吹さんは私と目を合わせる。
「いいですか、一人であの変人に会わないように気をつけてください。」
「は、はい。」
山吹さんは小さな子供に言い聞かせるように念押しする。
「あの人は可愛らしい人間に対して強引に迫ってくるような変人です。」
「は、はあ……」
「……私も少し考えれば花蘇芳さんがあれの琴線に触れるタイプの人間だと分かるはずでした。後悔してもしきれないですね。」
くっ、と頭を抱えてぶつぶつ独り言を呟く山吹さん。そんなに怖い人なのか……。気をつけよう。
「ですから、体育祭の準備も私と共に行動しましょう。一人にはならないように気をつけてくださいね。」
「分かりました。気をつけます。」
その言葉を聞いてようやくほっとした顔をする山吹さん。
「では帰りましょう。」
「はい。」
「ここが会議室ですよ。」
「ほうほう、ここが……」
放課後、私と山吹さんは会議室の前に来ていた。そう、体育委員の会議があるのだ。
今までここに用事などなかったため場所が分からなかった。しかし今道順も確認出来たから次からは一人でも来れる。多分。
山吹さんが率先して会議室へと入り、その後に続いて私も入る。
中は長机とパイプ椅子がずらりと並んでいるのが見えた。至って普通の会議室だ。ちらほら人も集まってきている。
キョロキョロと辺りを見回していると、ふっと目の前に見知らぬ人が立ちはだかる。眼鏡をかけた、いかにも勉強が得意そうな見た目の人だ。
「おお! 山吹 竜胆の隣に可愛らしい人が! お名前を聞いてもよろしいかい? 私は織田 晋治だ。是非とも名前で呼んでくれ!」
すっと私の手を取り、私の名前を聞く織田さん。名前でと言われても……
「あ、えと……」
「名乗らなくていいですよ。この変人には。」
「山吹さん……」
敢えて私のことを名前で呼ばない山吹さんは織田さんを睨む。山吹さんにしては珍しい行動だ。山吹さんって常に穏やかなイメージがあるからね。それに変人なんて呼んでるけど……いいのかな。
「生徒会長、さっさと会議始めたらどうですか?」
織田さん生徒会長かい。この学校は大丈夫だろうか。私のことを可愛らしいなんて言っちゃう人が生徒会長とか。
「なっ! 山吹 竜胆とは話していない! 私はこの可愛らしい人に聞いているのだ!」
「ひっ!」
織田さんの気迫に押され、山吹さんの背中に咄嗟に隠れる。
「可愛らしい人よ、是非とも名前を教えてくれないかい? 私はあなたの名前を呼びたい。」
ど、どうすれば……!
「生徒会長ー、早く会議始めますよー。」
まさに鶴の一声。茶髪の女の人が生徒会長を呼ぶ。
「……ああ、分かった。可愛らしい人よ、また後で。」
そう言って茶髪の女の人の方へ行った。
あー、怖かった。もう少しテンションを下げて話してもらえるとありがたいのだが……。
誰かさんを彷彿させる強引さを合わせ持った人だったなあ、というのが第一印象。どうしても左肩に意識が向く。ようやく傷が塞がりかけているのだ。なるべく痛い思いはしたくない。
「花蘇芳さん、大丈夫ですか?」
「はい……少し驚いてしまっただけです。」
「花蘇芳さん、先帰ってますか?」
「あ、いや、大丈夫です。ちゃんと会議に出席します。」
「……そうですか。無理そうならすぐ言ってくださいね?」
「分かりました。」
ふうわりと優しい笑みを私に向けてくれる。その笑顔で癒されました。この会議を乗り越えられそうだ。
「さて、会議を始めよう。まずは自己紹介からだな。」
織田さんの一声で会議は始まった。
結局委員全員が自己紹介をしたため、織田さんにも名前を知られてしまった。
まあ、名前を知られるのはいいけどさ、
「花蘇芳 藍さん!」
私に詰め寄るのはやめてほしい。会議が終わった瞬間に織田さんは私の元へ移動してきた。ずいっと顔を近づけて目をキラキラさせて……対処の仕方が分からない。
「花蘇芳さんが困っています。近寄らないでください。」
「だから山吹 竜胆には話していないだろう! そこを退くんだ!」
山吹さんと織田さんの間に火花が見える。バチバチしてる。
「……花蘇芳さん帰りましょう。変人と関わってもいいことはありません。」
私の手を掴みさっと会議室を出ようとする山吹さん。織田さんは「……仕方ない。花蘇芳 藍さん、また明日。」と見送ってくれた。それに会釈をして私も山吹さんに続いて会議室を後にする。
教室に戻ってきた。鞄を取りに来たのだ。
自分の席まで戻ってきたその時、山吹さんは私と目を合わせる。
「いいですか、一人であの変人に会わないように気をつけてください。」
「は、はい。」
山吹さんは小さな子供に言い聞かせるように念押しする。
「あの人は可愛らしい人間に対して強引に迫ってくるような変人です。」
「は、はあ……」
「……私も少し考えれば花蘇芳さんがあれの琴線に触れるタイプの人間だと分かるはずでした。後悔してもしきれないですね。」
くっ、と頭を抱えてぶつぶつ独り言を呟く山吹さん。そんなに怖い人なのか……。気をつけよう。
「ですから、体育祭の準備も私と共に行動しましょう。一人にはならないように気をつけてくださいね。」
「分かりました。気をつけます。」
その言葉を聞いてようやくほっとした顔をする山吹さん。
「では帰りましょう。」
「はい。」
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