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番外編(続)
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「さて来週には修学旅行が始まります。ということで……」
学級委員長の竜胆さんが話し合いを進める。体育祭の話し合いの時のように藤さんは竜胆さんの席に座っていた。
「ねえねえ藍ちゃん、修学旅行楽しみだね。」
「はい。」
小中学校の頃は修学旅行にも行かなかった。髪色と目の色がバレたら大変だろうから。
まあ、中学の時はそれ以前の時点でバレてはいたけど、行ってもきっと楽しめないと理解していたからね。
だから修学旅行も初めてでワクワクしてしまう。
「何を持っていけばいいでしょう。お菓子? それともトランプ?」
「どっちも持ってってもいいんじゃない? 移動中とか暇だろうし。」
「なるほど! 持っていきます!」
ああ、楽しみだなあ。
あ、暇つぶしなら今机の中にあるこの前借りた恋愛小説を……一度返してもう一度借りようかな。貸出期間どれくらいか忘れたし。よし、そうしよう。放課後に図書館行こう。
「……で、修学旅行の前に、来年のクラス分けのテストがあります。皆さん頑張りましょう。」
「げっ、テストかよ……」
藤さんは竜胆さんのその言葉に嫌そうな表情になる。まあ、分からんでもない。学生にとってテストは嫌なイベントベストスリーに入ると思うし。
「藤さん、テスト勉強の進捗はどんな感じですか?」
「んー、まあまあ、かな。藍ちゃんは?」
「私もまあまあですね。」
花学に来るまでは字面の通り寝る間を惜しんで……というか眠れない故の暇つぶし感覚でずっと勉強していたので成績は良かったのだが、最近は眠くなって夜しっかり寝てしまう。だからまあまあ。
「そっか。来年もお互いA組であることを祈ろうね。」
「ですね。」
「帰ろー?」
「あ、ちょっとこれから寄る所があるので先に帰っていてください。」
「はいよー。」
放課後になった。まだA組にいるうちに言っておかなければと藤さんと竜胆さんにそう告げる。
「藍さん、何かあったんですか?」
「本を返してまた借りてこようかと思って。」
「へぇ……」
私のその言葉に竜胆さんは考え込んだ。どうしたのかな?
首を傾げると藤さんはぷっと笑う。
「あー、はいはい。じゃあ先帰ってるねー。皆にも言っとくから。」
ひらひらと手を振りながらA組を出ていった藤さん。何か分かっているかのような様子だったけど……?
「ということで私も付いていきます。さ、行きましょう。」
「え……え?」
『ということで』? どういうことでだ? え、分からないの私だけ? どこがどうなって話が繋がっているんだ?
……うーん、分からなすぎて頭が痛くなってきたかも。こめかみの辺りを摩る。
「ほら、置いていっちゃいますよ。」
そうしているとぐい、と手を引かれた。あれ、なんかこの前も手を引かれたよね……? なんだ、私は子供扱いされているのか。
「竜胆さん、私子供じゃないですよ。もう高校生です。」
「? 分かってますけど?」
あれ? 話が噛み合っているようで噛み合っていない……?
「子供じゃないので手、繋がなくても大丈夫ですよ。」
「私が繋ぎたいのでこのままで大丈夫です。」
あれ、やっぱり話が噛み合ってないような……? うーん、会話って難しい。
眉間に皺が寄るのが分かった。
学級委員長の竜胆さんが話し合いを進める。体育祭の話し合いの時のように藤さんは竜胆さんの席に座っていた。
「ねえねえ藍ちゃん、修学旅行楽しみだね。」
「はい。」
小中学校の頃は修学旅行にも行かなかった。髪色と目の色がバレたら大変だろうから。
まあ、中学の時はそれ以前の時点でバレてはいたけど、行ってもきっと楽しめないと理解していたからね。
だから修学旅行も初めてでワクワクしてしまう。
「何を持っていけばいいでしょう。お菓子? それともトランプ?」
「どっちも持ってってもいいんじゃない? 移動中とか暇だろうし。」
「なるほど! 持っていきます!」
ああ、楽しみだなあ。
あ、暇つぶしなら今机の中にあるこの前借りた恋愛小説を……一度返してもう一度借りようかな。貸出期間どれくらいか忘れたし。よし、そうしよう。放課後に図書館行こう。
「……で、修学旅行の前に、来年のクラス分けのテストがあります。皆さん頑張りましょう。」
「げっ、テストかよ……」
藤さんは竜胆さんのその言葉に嫌そうな表情になる。まあ、分からんでもない。学生にとってテストは嫌なイベントベストスリーに入ると思うし。
「藤さん、テスト勉強の進捗はどんな感じですか?」
「んー、まあまあ、かな。藍ちゃんは?」
「私もまあまあですね。」
花学に来るまでは字面の通り寝る間を惜しんで……というか眠れない故の暇つぶし感覚でずっと勉強していたので成績は良かったのだが、最近は眠くなって夜しっかり寝てしまう。だからまあまあ。
「そっか。来年もお互いA組であることを祈ろうね。」
「ですね。」
「帰ろー?」
「あ、ちょっとこれから寄る所があるので先に帰っていてください。」
「はいよー。」
放課後になった。まだA組にいるうちに言っておかなければと藤さんと竜胆さんにそう告げる。
「藍さん、何かあったんですか?」
「本を返してまた借りてこようかと思って。」
「へぇ……」
私のその言葉に竜胆さんは考え込んだ。どうしたのかな?
首を傾げると藤さんはぷっと笑う。
「あー、はいはい。じゃあ先帰ってるねー。皆にも言っとくから。」
ひらひらと手を振りながらA組を出ていった藤さん。何か分かっているかのような様子だったけど……?
「ということで私も付いていきます。さ、行きましょう。」
「え……え?」
『ということで』? どういうことでだ? え、分からないの私だけ? どこがどうなって話が繋がっているんだ?
……うーん、分からなすぎて頭が痛くなってきたかも。こめかみの辺りを摩る。
「ほら、置いていっちゃいますよ。」
そうしているとぐい、と手を引かれた。あれ、なんかこの前も手を引かれたよね……? なんだ、私は子供扱いされているのか。
「竜胆さん、私子供じゃないですよ。もう高校生です。」
「? 分かってますけど?」
あれ? 話が噛み合っているようで噛み合っていない……?
「子供じゃないので手、繋がなくても大丈夫ですよ。」
「私が繋ぎたいのでこのままで大丈夫です。」
あれ、やっぱり話が噛み合ってないような……? うーん、会話って難しい。
眉間に皺が寄るのが分かった。
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