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番外編
柊木 茜の休日(前編)
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茜side
玄関でトントン、とつま先を地面に叩いて靴を履く。
「じゃあ出掛けてくるなー。」
「行ってきます。」
「はーい。」
ちょうど廊下にいた藤が返事をしてくれた。それに対しておー、と更に返事をし、俺とりんの二人で寮を出る。
今日は曇天。気分はスカッとしないが、まあ、別にどうでもいい。それ以上にワクワクしているからな。クッと口角が上がったのが分かった。
「機嫌良いですね。」
「まあな。さて……」
隣町まで行きますか。ジャリ、と意気込んで土を踏む。
電車に揺られ、やっとこさ隣町に着いた。ふー、移動時間長かったなー、と一息つく。まあ、これからのことを考えるとそれも苦労ではないがな。……隣にいるりんは少し疲れた顔をしているけれども。体力ねえな。
俺が目的地の扉を開けると、チリンと扉に付いたベルが鳴る。
「いらっしゃ……また君達か。」
喫茶ストレリチアのマスター、杜若 龍二サンは、やって来た客が俺達だと認識すると少しだけ頬が固くなった。そんなに嫌そうにしなくてもいいのに。
「うっす。龍二サン、今日こそ俺を弟子にはしてくれないっすかー?」
「また来ました。いつも茜がすみません。」
「竜胆くん、よく来たね。いやいや、話し相手が増えてまあまあ楽しいから謝らなくていいよ。」
「それは良かったです。」
「ちょ、無視しないでくれよ。」
「……弟子は取らない主義なんでな。」
「えー、そこをなんとかー。」
とまあいつものやり取りをする。ここまでが挨拶であるかのような気がするが、まあ、弟子の件はいつも駄目元で言ってるからな、いい返事は貰えた試しがない。
ああ、だがいつかは根負けさせたいとは思っている。
「二人ともいつものでいいのか?」
「うっす。」
「お願いします。」
ここにも(りんを道連れにして)通い慣れてきたからか、『いつもの』で通じるようになった。
実はこういうの夢だったんだよな。マスター、いつもの。……いやー、やっぱり言ってみたいワード一位だわ。毎回ワクワクする。
やっべえ、ニヤニヤしないように顔の筋肉を総動員させて真顔を維持させなきゃだわ。一人でニヤニヤしてたら変人だと思われかねねぇ。
「茜、変顔してます?」
「いや?」
やべー、りんにバレてら。さすが兄貴だ。
「ふっ」
あんなにニヤニヤしないように頑張ったのに結局見破られてしまい、何故か面白くなってきて思わず俺は吹き出してしまった。
玄関でトントン、とつま先を地面に叩いて靴を履く。
「じゃあ出掛けてくるなー。」
「行ってきます。」
「はーい。」
ちょうど廊下にいた藤が返事をしてくれた。それに対しておー、と更に返事をし、俺とりんの二人で寮を出る。
今日は曇天。気分はスカッとしないが、まあ、別にどうでもいい。それ以上にワクワクしているからな。クッと口角が上がったのが分かった。
「機嫌良いですね。」
「まあな。さて……」
隣町まで行きますか。ジャリ、と意気込んで土を踏む。
電車に揺られ、やっとこさ隣町に着いた。ふー、移動時間長かったなー、と一息つく。まあ、これからのことを考えるとそれも苦労ではないがな。……隣にいるりんは少し疲れた顔をしているけれども。体力ねえな。
俺が目的地の扉を開けると、チリンと扉に付いたベルが鳴る。
「いらっしゃ……また君達か。」
喫茶ストレリチアのマスター、杜若 龍二サンは、やって来た客が俺達だと認識すると少しだけ頬が固くなった。そんなに嫌そうにしなくてもいいのに。
「うっす。龍二サン、今日こそ俺を弟子にはしてくれないっすかー?」
「また来ました。いつも茜がすみません。」
「竜胆くん、よく来たね。いやいや、話し相手が増えてまあまあ楽しいから謝らなくていいよ。」
「それは良かったです。」
「ちょ、無視しないでくれよ。」
「……弟子は取らない主義なんでな。」
「えー、そこをなんとかー。」
とまあいつものやり取りをする。ここまでが挨拶であるかのような気がするが、まあ、弟子の件はいつも駄目元で言ってるからな、いい返事は貰えた試しがない。
ああ、だがいつかは根負けさせたいとは思っている。
「二人ともいつものでいいのか?」
「うっす。」
「お願いします。」
ここにも(りんを道連れにして)通い慣れてきたからか、『いつもの』で通じるようになった。
実はこういうの夢だったんだよな。マスター、いつもの。……いやー、やっぱり言ってみたいワード一位だわ。毎回ワクワクする。
やっべえ、ニヤニヤしないように顔の筋肉を総動員させて真顔を維持させなきゃだわ。一人でニヤニヤしてたら変人だと思われかねねぇ。
「茜、変顔してます?」
「いや?」
やべー、りんにバレてら。さすが兄貴だ。
「ふっ」
あんなにニヤニヤしないように頑張ったのに結局見破られてしまい、何故か面白くなってきて思わず俺は吹き出してしまった。
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