28 / 36
二章 六月のほたるい
27
しおりを挟む
コムギside
生徒会室に移動し始めた茨水様と珈夜さん。一般生徒の私が雲の上の存在である茨水様について行って良いものかとアタフタしていると、茨水様は私の方を向いて天女の微笑みを浮かべた。
はわわその微笑みは幾らですか! 私お金そんなに持ってませんっ!
「緊張なさらないでくださいな。ちょっとお茶に付き合って頂きたいだけですから。」
そう言ってくれたけど、何か裏があるんじゃないかって考えちゃうのは私の悪い癖。何でもかんでも悪い方に考えてしまうのだ。
良いのかなぁ、大丈夫かなぁ、とオロオロしながらも、お二人にちゃんとついて行く。お茶したいというお願いを突っぱねる度胸もないし。
生徒会室に着くと、ソファーを勧められた。茨水様の対面にあるそれに座り、心地良い感触を確かめていると、目の前のテーブルにホカホカなお茶が置かれた。
それを置いたのは生徒会メンバーの緑さん。さささ三年生だ年上だどうしよう失礼のないようにしなきゃお礼言わなきゃ……と、グルグルとまた考え込んでしまう。
「緑さんありがとうございます。」
「いえいえ~。緑茶を淹れるのは得意ですから~。僕も飲みたかったしちょうど良かったよ~」
「緑さんの淹れたお茶、とても美味しいですから私も飲めて嬉しいです。」
「あ、嬉しいこと言ってくれるじゃ~ん」
茨水様と緑さんがのほほんと会話する。ああ私もお礼言わないと! 緊張でカラカラに乾いた喉を叱咤し声を上げる。
「おおおお茶あああありがとうございましたっ!」
「いいえ~どういたしまして~」
ああ優しい方だ。この学校の生徒会メンバーは皆さんお優しいのですかっ!?
ああ、やっぱりこの方々は雲の上の存在だぁ……
「で、ついさっき出て行ったばかりなのに、もう見つけたのか?」
あ、紅蓮さんだ。なんか目つき怖……いえいえ! なんでもありませんっ! 私は何も考えていませんよ! 威圧感があるとか!
「いいえ、紅蓮さん。この方は……言いがかりをつけられていらして……あ、証拠も音声だけですがバッチリ取りましたから」
「まぁた生徒会長サマは何かに首突っ込んだのか?」
「また、と言われましても……私そんなに無鉄砲ではありませんよ。」
「違う違う。また他人のためにウンヌンカンヌン言うつもりだろう?」
「は、はぁ……」
す、すごい光景を目の当たりにしている気分だ。校内新聞や集会の時前で演説したりしている様を見ると、茨水様はとてもしっかりしたお方なんだと思っていた。
が、目の前のやり取りを見ると、茨水様もやっぱり普通の人間なんだと理解出来てしまった。
「それよりも湖麦さんのお話ですよ!」
あと茨水様って、意外と話題を変えるのが下手だよね。さっきも思っちゃったけど。
生徒会室に移動し始めた茨水様と珈夜さん。一般生徒の私が雲の上の存在である茨水様について行って良いものかとアタフタしていると、茨水様は私の方を向いて天女の微笑みを浮かべた。
はわわその微笑みは幾らですか! 私お金そんなに持ってませんっ!
「緊張なさらないでくださいな。ちょっとお茶に付き合って頂きたいだけですから。」
そう言ってくれたけど、何か裏があるんじゃないかって考えちゃうのは私の悪い癖。何でもかんでも悪い方に考えてしまうのだ。
良いのかなぁ、大丈夫かなぁ、とオロオロしながらも、お二人にちゃんとついて行く。お茶したいというお願いを突っぱねる度胸もないし。
生徒会室に着くと、ソファーを勧められた。茨水様の対面にあるそれに座り、心地良い感触を確かめていると、目の前のテーブルにホカホカなお茶が置かれた。
それを置いたのは生徒会メンバーの緑さん。さささ三年生だ年上だどうしよう失礼のないようにしなきゃお礼言わなきゃ……と、グルグルとまた考え込んでしまう。
「緑さんありがとうございます。」
「いえいえ~。緑茶を淹れるのは得意ですから~。僕も飲みたかったしちょうど良かったよ~」
「緑さんの淹れたお茶、とても美味しいですから私も飲めて嬉しいです。」
「あ、嬉しいこと言ってくれるじゃ~ん」
茨水様と緑さんがのほほんと会話する。ああ私もお礼言わないと! 緊張でカラカラに乾いた喉を叱咤し声を上げる。
「おおおお茶あああありがとうございましたっ!」
「いいえ~どういたしまして~」
ああ優しい方だ。この学校の生徒会メンバーは皆さんお優しいのですかっ!?
ああ、やっぱりこの方々は雲の上の存在だぁ……
「で、ついさっき出て行ったばかりなのに、もう見つけたのか?」
あ、紅蓮さんだ。なんか目つき怖……いえいえ! なんでもありませんっ! 私は何も考えていませんよ! 威圧感があるとか!
「いいえ、紅蓮さん。この方は……言いがかりをつけられていらして……あ、証拠も音声だけですがバッチリ取りましたから」
「まぁた生徒会長サマは何かに首突っ込んだのか?」
「また、と言われましても……私そんなに無鉄砲ではありませんよ。」
「違う違う。また他人のためにウンヌンカンヌン言うつもりだろう?」
「は、はぁ……」
す、すごい光景を目の当たりにしている気分だ。校内新聞や集会の時前で演説したりしている様を見ると、茨水様はとてもしっかりしたお方なんだと思っていた。
が、目の前のやり取りを見ると、茨水様もやっぱり普通の人間なんだと理解出来てしまった。
「それよりも湖麦さんのお話ですよ!」
あと茨水様って、意外と話題を変えるのが下手だよね。さっきも思っちゃったけど。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる