死神ちゃんと天使くん 【完結】

君影 ルナ

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第4部 現世にて

31 最終話

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 けんけんが私達の輪に入ってきてしばらく経った。二人の意味不明な会話にも慣れてきた頃、私の机の中にお手紙が入っていた。それを見ると、

「放課後教室に残れ、か……」

 そう書かれていた。未だに地味子のくせに、だの何だの言われているが、言う方も暇なのだろうか。うーん、分からん。

 また『鈴佳くんに近付くな!』と言われるのだろう。めんどくさいなぁ。

 でも無視して帰ってしまうとそれもそれで次の日五月蝿く言われるから、仕方なく残っているしか選択肢はない。




 ということで今、放課後になってしばらくしても教室に残り、ウロウロと歩き回っている。

「あ、どうせなら換気しちゃおうかな?」

 今の季節だと少しだけ肌寒いかもしれないけれども、身も心もしゃんとする気がするし。

 ガラ、と開けて身を乗り出す。あ、死ぬわけじゃないよ。外の空気を吸いたかっただけだから。

 すぅ、と息を吸い込むと、少しひんやりした空気が肺に入ってくる。

「へぇ、ちゃんと待ってたんじゃない。」
「……。」

 いじめっ子、もとい鈴佳ファンが教室に入ってきた。私は振り向かない。

「返事もろくに出来ないのー?」
「……。」

 この人達は何言ってもさらに怒りを炎上させる特殊な力を持っているからね。何も言わないのが得策なんじゃないかなって思う。

「あんたみたいな地味子が鈴佳くんと一緒にいるなんておかしいのよ!」
「消えればいいのに!」

 その言葉と共にドンッ、と肩を押される。

「あ、」

 身を乗り出したままだったのを思い出す。この学校にはベランダなんてものもなく、窓を超えたらすぐ地面なのだ。

 自分の体がふわりと浮くのが分かった。


  あれ? この浮遊感、前にもあったような……

 ジジジ、と頭の中に映像が流れる。



『さよう、なら……』

『決めた。君はアンジュだ!』

『……す、すすす好き、です。多分。恋なんてしたことないからよく分かりませんが、多分これは好きだということなんだと思います。』

『私はねえ、生きていた時、どこにも居場所がなかったんだよ。』

『じゃあ、またどこかで。』




「……ああ、思い出した。」

 私は前世で飛び降り自殺をして、死神となって、鈴佳……アンジュやけんけんと出会ったことを。

 ああ、なんで忘れていたのだろう。あんなに大事なことだったのに。

 今まで意味が分からないと思っていた話を思い出すと、二人とも天使や死神だった頃の記憶があるということが分かった。

 ああ、やっぱり私は忘れていたのだ。

「忘れててごめん、『アンジュ』、『けんけん』……」

 全身に痛みを感じたところで、意識はなくなった。



end
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