あなたの犬になりたい

ゆずみそ

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わんわんわんわん

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「ねえ、ケント様」

「なに?」

 なんとなく気怠くなりましたので、二人でソファーにだらけておりましたが、本題を思い出しました。

「学校には絶対に行かなければならないんですの? 寄宿舎だなんて。会えなくなってしまいますわ。家庭教師で間に合いませんの?」

「んー、仕事だからねぇ」

 私の髪と太腿を撫でながら……ん?

「学ぶのも仕事のうち、という事ですの?」

「いや、臨時講師として行くんだから仕事でしょ?」

 んん?

 ああもう、そのお尻の辺りで開拓に励む手をちょっとだけ休めてくださいな。頭が働きませんの。でも働き者の手も愛してますわ。

「秋から学校に行くというのは、講師のお仕事ですの? 生徒ではなくて」

「なんだい、勘違いしていたのかい。私も21だからね。まあ、まだまだ学ぼうという奴もいるけれど、折角声を掛けてもらったし、臨時なら仕事を試すには丁度いいでしょ?」

「ああっ」

 ケント様の素敵な亀様が、私にご挨拶を……しかも何度も。なんて礼儀正しいのー!!

「――あれ? 聞こえてないのかな。ふふふ、かわいい……。ああ、もっと進めたいな~」






 ずっとソファーの上に居たのに、倦怠感が凄いです。
 半ば眠りながらも何とか話を理解する事が出来ました。お仕事でしたのね。そして以前伺った時も、今日のような状態だったようです。
 
『今日のような状態』――私、愛されてる! 物理的に!!

 結果として、馬車の操縦が出来るような体調ではなくなったので、休憩を兼ねてお茶の席に招待されました。ケント様は書類仕事が残っているようで、彼のお母様であるロッド伯爵夫人と歓談して過ごします。

 いつか夫人を『お義母様』と呼ぶのが目標ですわーっ!

 楽しい時間を過ごし、体に生気が漲り意気揚々と馬車で帰ります!

 おほほほほ、お馬さんも調子が良いようね。後ろの方から何やら高い音がしたような気もしますが、車輪の音で良く分かりませんわ。まあ、後で馭者に確認してもらいましょう。

 そうと決まれば急いで帰らねば。今の私の実力ならば、もっと飛ばしても大丈夫! おっほほほほー!

 ――――シーラに凄く怒られました。

 お仕置きとして『お腹の肉揉み揉みの刑』を受けます。
 でもこれはきっと、引き締めのマッサージ効果を狙ったのではないのかしら。私の羞恥心を煽り代謝を上げることによって、効果の増大を図るとは。

 出来る侍女は宝ですわーっ!
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