あなたの犬になりたい

わふーん！

　ところで私達、一線超えちゃいました。

　上を脱いだら下があるのです。
　あの後、両サイドをレースのリボンで結んだ、繊細な作りのおパンツを披露したのです。

　勿論ケント様は、即座に中心の切れ込みに気づかれました。
　
　ご開帳した私は観察眼を存分に発揮されるケント様によって隅々まで暴かれます。「ごめん、もうダメだ」の言葉と共に、偉大なる亀様が私の別荘にお泊まりを決定されました。

　いつも玄関迄でしたものね。
　これからは「どっちが本宅？」というくらい、滞在時間を増やしていただく予定ですわ！

　赤毛さんとワンちゃんについては――

「で、何故ワンちゃんさんと赤毛さんがいらしたんですの？」

　より仲良く親密になった空気に便乗して、ズバリ聞きました。

「あー……、犬を育ててみようと思って」

　脇肉を揉みながら話してくれました。
　彼女は学校の先生で（男子しかいないんですのよ？！　危険を顧みない、教育熱心な素晴らしい先生でしたのね！）、ブリーダーの方から一時的に犬を預かっていらっしゃった。
　その話を聞いたケント様はブリーダーという職業に興味を持ち、色々と伺っていたと。今日もブリーダーの方と数頭の犬を交えて、庭でお話しされていた。
　その中のあの犬が、私の匂いを嗅ぎつけ、まあ、あのような状態になったと。

「早く君と結婚したくて……。猟犬の需要もあるし、学校で繋がりを持った貴族に良い値で売れないかなと。不安にさせてごめん」

　良いんですのよおおぉぉー！！
　そういう事ならば良いんですのよっ！

　一点の曇りなく相思相愛で、これまで以上に素晴らしい濃密な時間を過ごしましたわ。

　ただ思い返すのは、ワンちゃんと戯れる、あのケント様の笑顔……。

　やはり、犬の特性というのは侮れないようです。ここはケント様が離れられないように、私も取り入れるべきでしょう。

　早速昼に遭ったワンちゃんを真似て、わたしも腰を振ってみました。

　効果は抜群ですわ～！

　寒くなったら、例のモコモコ服も試してみましょう。







　私と亀様はかなり同棲に近い関係を築いていますが、やはり丸ごと一緒に暮らしたいですわ。
　その為には持参金をどうにかしなくちゃいけないのですが、中々上手くいってはくれません。

　思わずため息を吐いてしまいました。

「あらお嬢様、どうなされたんですか」

　シーラに心配を掛けてしまいました。いけませんね。

「少し考え事をしていたんだけど……何か気分転換になるような事は無いかしら」

「んー、気分転換とはちょっと違いますけど、丁度ご相談したい事があったんですよね」

　シーラが相談なんて珍しい。これは張り切って受けねば！

「あのネグリジェなんですけど」

　色違いや機能もバリエーション豊富となり、もはや『乙女の聖なる武器』、略して聖器と化したアレですの？

「出産した従姉妹の授乳用に使ってもいいですか？」



　――――――再び雷撃を受けたのでした。
　


　一般の方相手の授乳服の売り上げと、貴族相手の聖器の売り上げを足して、無事にケント様に嫁ぐ事が出来ました。

　大切な戦力の侍女達を、新会社の役員として雇用。
　業績は順調で、モフモフシリーズにもコアなファンがついております。
　私も目先を変えたい時には愛用しておりますわ。
　
　今度は犬モコに聖器の機能を付ける予定です。

　一日も早く皆様にお届けできるように努めますわ。
　
　私とケント様の試着が終わる日を、首を長くしてお待ち下さいませ♡







　亀様の話じゃありませんわよ。




（おしまい）