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「それじゃ、今日は聖女の歴史からですよ~」
麗かな春の昼下がり、新米聖女の教育係である青年フェイが、のんびりした調子で話し出す。
「一柱の女神があられました。大地を穿ち、海を――――」
開け放たれた窓から入るそよ風に明るい栗色の髪を擽られながら、食後の歴史の授業は最高の睡眠導入剤であると、ゾーイは身を持って学んでいる最中だ。その代わり、本来学ぶべき歴史は全く頭に入ってこない。
眠気に半眼になり、美人度を減少させても尚美しいゾーイは今年で21歳。もう勉強を受けなくても良い筈の年齢だ。
町の学校卒業以来の授業。錆び付いた上ボンヤリする頭に、何とかオガクズ以外の物を詰めようと単語を拾う。
「――――――と、いうのが帝国の巫女の歴史です」
「聖女じゃねーじゃん!」
歴史には覚醒効果もあるようだ。
「ちゃんと繋がるんですよー」
胡乱な目で見られても全く動じる風もなく、飄々と話を続ける。
「帝国の発展をみて、我が国も対抗策を考えますが、神の定めたる巫女が相手です。時の権力者は考えます……『神罰怖えな』と」
この授業は本当に必要なのだろうか。目は覚めたものの疑念は尽きない。
「そんな時です! ある、窮状に喘ぐ村から……」
「大変です、フェイさん!!」
扉が乱暴に開け放たれ、文官が息を切らして駆け込んで来た。
「真の聖女が現れました!」
「おお~! 凄いぞ、美人??」
「滅茶苦茶キレイな人ですよ!」
「マジで?!」
楽しげに話しだす二人をゾーイは口を開けたまま、ただただポカンと見ていた。
麗かな春の昼下がり、新米聖女の教育係である青年フェイが、のんびりした調子で話し出す。
「一柱の女神があられました。大地を穿ち、海を――――」
開け放たれた窓から入るそよ風に明るい栗色の髪を擽られながら、食後の歴史の授業は最高の睡眠導入剤であると、ゾーイは身を持って学んでいる最中だ。その代わり、本来学ぶべき歴史は全く頭に入ってこない。
眠気に半眼になり、美人度を減少させても尚美しいゾーイは今年で21歳。もう勉強を受けなくても良い筈の年齢だ。
町の学校卒業以来の授業。錆び付いた上ボンヤリする頭に、何とかオガクズ以外の物を詰めようと単語を拾う。
「――――――と、いうのが帝国の巫女の歴史です」
「聖女じゃねーじゃん!」
歴史には覚醒効果もあるようだ。
「ちゃんと繋がるんですよー」
胡乱な目で見られても全く動じる風もなく、飄々と話を続ける。
「帝国の発展をみて、我が国も対抗策を考えますが、神の定めたる巫女が相手です。時の権力者は考えます……『神罰怖えな』と」
この授業は本当に必要なのだろうか。目は覚めたものの疑念は尽きない。
「そんな時です! ある、窮状に喘ぐ村から……」
「大変です、フェイさん!!」
扉が乱暴に開け放たれ、文官が息を切らして駆け込んで来た。
「真の聖女が現れました!」
「おお~! 凄いぞ、美人??」
「滅茶苦茶キレイな人ですよ!」
「マジで?!」
楽しげに話しだす二人をゾーイは口を開けたまま、ただただポカンと見ていた。
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