お飾り聖女

ゆずみそ

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四話

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 荷物を纏めると言っても、僅かなものだ。
 本大会出場の為の旅費を渡されたので、王都へ観光がてら来ただけだ。
 およそ一週間過ごせる程の荷物しかない。移動も含めれば二週間程だが、足りない物は現地調達で何とかなる。

 洗顔に使った布や櫛など、少し片付けただけであっという間に終了してしまった。

 トランクを提げ、部屋をザッと見渡して忘れ物が無いかを確認。帽子を片手にクルリと向きを変えると「ゾーイさん」「ヒッ」
 直ぐ後ろにフェイが立っていた。

「ななななんで黙って背後に立ってるんですか!?」

「それはですね~、先程の部屋に戻ったら、貴方居ないじゃないですか。私とした事が、授業は休みと自分で言ったのを忘れていたんですよね。何となく? 腹いせに? ちょっとビックリさせようと思って」

「おい待て神官」

 朗らかな男と逆にゾーイからは表情が抜け落ちていく。

「私、神官じゃありませんよ~」

「え?」

「それより、一緒に真の聖女を見に行きましょうよ! 中々の方が来ましたよ」

 さあさあ早くと持っていたトランクを奪い、背中を押してくる。

「いや貴方、神官じゃなかったの?」

「そうですよ。教育係に選ばれた、ただの一般貴族ですよ」

「“一般貴族”ってなんだよ」

 一般的な貴族ですよ~などと話している間に、神殿の何処かの部屋の前に来た。

「連れてきたぞー!」
 
 伺いも躊躇いもなく扉を開けてズカズカと入っていく。

 小さな声で「失礼します」と言いながら、ゾーイも足を踏み入れた。

 まず最初に目に入ったのは、キラキラと光を反射した金の髪。
 ゾーイよりは幾つか年下であろうか。健康的に日に焼けた肌に艶々の唇、大きな緑の目、それから地の黒が隠しきれていない眉毛と睫毛……。

「凄い!! どうやってそこまで脱色したの?!!」

 ゾーイは駆け寄り、間近で女性の全身をジロジロと見聞する。

「ワーオ、スタイル良い。筋肉が程よく付いてるね。お手入れ上手、肌が綺麗。こんなに色抜いてるのに、髪の痛みも抑える努力してるね! エライ! どうやってるの? ね、情報交換しない?」

 ゾーイの勢いに呆気に取られていた周囲だったが、黙っていた彼女が漏らした呟きに、ようやく状況を思い出した。

「あんた誰……」






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