生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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sideリラ

「お前の首の後ろ、そこに呪いの跡がある。」


呪いか…。


その呪いは恐ろしい。



こんな事を聞いても私はまだライアス様が好き。


「ここ、タトゥーみたいになってる。」


ルシアス様が急に隣に来て私の後ろの首に指を這わせた。


「っぁ/////」


くすぐったくて恥ずかしくてすごい声が出た。



「お前…。」


え!?何!?バカにするの!?また!?


「男にそんな声聞かせんな、何されるか分からねぇぞ。」


ルシアス様の色気は暴力だ。


その意地悪だけど、優しい低い声が本当に私の心臓を刺激する。


女ならきっと誰でもこうなるよ。


「わ、私に何かする人なんかいませんよ…。」


目線を逸らし、アタフタする私を見てルシアス様が少し笑った。


「いたらどうする?」


そんな質問を私にするの??


「だ、だから!いませんって!」


言い張ろうと顔を上げたら目の前にルシアス様の顔があった。


「っ//////」


顔が近い……


「で…でも呪いって解けるんですよね??」


私はその視線に耐えきれなくなり、話を無理矢理繋げた。


「あぁ、解ける。」


話をして、話。   


早くこの綺麗な顔と視線から逃れないと心臓が爆発する。


なんでルシアス様、視線を逸らさないの??


「どうやって解くんですか??」


解いたらこの愛情じみた感情は綺麗さっぱり消えるの?


ライアス様へのこの思いが嘘になるなら私には何が残る?


私はライアス様に拾われた恩がある。


それが獲物として拾われたとしても。


その恩を何も返さずにライアス様から遠ざかるのは嫌だ。


「有名なやつが一つあるだろ?」


有名なやつ??


「呪いを解くのに有名って??」


そんなものある?


「あるだろう、考えてみろ。」


ルシアス様は勿体ぶって教えてくれない。


私が必死に考えている顔を見てニヤニヤしてる。


呪いを解く…呪いを解く…

あ!

コレじゃない!?


「呪いをかけた人を血祭りに上げる!」


おとぎ話で出てくる悪い魔女や魔法使いはだいたいそうなる。


そして王子様とお姫様は幸せになる、が一般的だよね。


「は?血祭り?」

あれ?違うのかな??


「有名なやつって言ったよな??」


この感じはきっと違うんだ。


「はい、有名なやつです。」


それ以外何かあったかな?


「いや、お前…傭兵でもやってたのか?」

傭兵?


「どうしてですか??」


私がそんなに強そうに見える?


ルシアス様ったらきっと節穴だ。


「ったく。色気のねぇ女だな。」

!?

「し、失礼ですよ!」


残念ながらルシアス様の言う通りだけど!


「失礼だ?お前が俺にしてきたあれやこれはどうなるんだ?」


あ、あれや、これ??


「そ、そんなこと言ったらなんか変なことしたみたいじゃないですか!変態!」


あ!つい口が滑って…


「変態?お前何言ってんだ、男はみんな変態なんだよ。」


そんな堂々と言い切ります!?


「変態じゃない人だっています!!」


例えば…ライアス様、とか。


「馬鹿言うな、お前の愛しのライアスもとんだ変態だぞ。」


ただの変態ではなくとんだ変態??


「それはルシアス様です!ライアス様は紳士ですよ!」


変態とは似ても似つかない!


「へぇ、紳士な。」

「きゃっ/////」


なに!?なに!?


ルシアス様は私を急に抱っこした。


そして私をテーブルに座らせると、グッと顔を近づけてくる。


私は咄嗟に顔を背けてルシアス様に首筋を露わにしていた。


つい癖が出てしまった。


これはいつも、ライアス様に血を吸われる時の態勢だから…


「その紳士はお前にこんな態勢を覚えさせるくらいここに牙を突き立てたんだろ?」

「ひっ/////」


なんでこの人いちいち首筋とか触るの??

くすぐったいし変な声出る…////


「ヴァンパイアも獲物に牙を埋めたときいろんな意味で興奮する。何度も噛み付いてお前に何もしてないならアイツも違う意味で変態だな。…俺なら我慢しない。なんてごめんだ。」



この人は何が欲しいの?


「っ!!ちょっと!!ルシアス様/////」



なんで!?なんで押し倒したの!?


起きようとしても、私の肩を掴んだ手が離れない。


力強い!馬鹿力!!


「さっきの答え、わかったか?」


さっきの答え?


呪いを解く答えってこと??


「だから、ちま//////」


ルシアス様の香りが急に鼻をくすぐる。


「っ///////」



私の首筋にルシアス様の唇が触れた。


「お前が考えている間に、俺が他の男の牙も教えてやる。じっくり考えてろ。」


ルシアス様はそう言ってまた私の首筋にキスをした。


……?


ん……?



はっ!!!


わかった!!わかった!わかった!!


「キス!!!!」


あ、危ないところだった。


ルシアス様の牙が私の首筋を貫く寸前だった。


ルシアス様は私の答えを聞いて顔を上げる。


「じっくり考えろって言っただろ?おかげで食い損ねた。」


本当に私の血を吸うつもりだったみたい。


さっき、ルシアス様は血だけではごめんだって言った。


もし血を吸われていたら私はルシアス様に……////



「何真っ赤になってんだ。変態。」



へ、変態??


「ルシアス様だけには言われたくありません!!!」



ちなみに後から聞いたけど、私が咄嗟に出した答えは大正解だった。
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